>>自民・林芳正氏 ー早くも“次期総理”に名乗り!!
source:文藝春秋 2021年11月号
林芳正・前参議院議員へのインタビュー全文 は「文藝春秋」11月号(10月8日発売)に掲載されている。
岸田文雄政権がスタートとしたやさき,岸田首相の出身派閥「宏池会」のナンバー2
林芳正・前参議院議員(60)が「文藝春秋」(11月号)のインタビューに応じ,「岸田政権の次」を狙う野心を明かした。
林氏の所属する「宏池会」は、吉田茂元首相の直系の弟子である池田勇人元首相に源を発する「保守本流」の牙城である。林氏は、いまこそ保守本流がその本領を発揮すべき時だと強調する。
▼次期総裁候補に名乗り出る
林芳正氏は「今回は8月16日付で参院議員の辞職願を提出したので、私に(自民党総裁選の)出馬資格はありませんでしたし、同じ宏池会の岸田文雄会長が出馬されたので、岸田総裁実現のために奔走しました。今後は身を粉にして岸田政権を支えたいと思っております。
同氏は今年7月,11月の衆院選で山口3区から鞍替え出馬することを表明している。
林氏はみずからの国家ヴィジョンを「着実で穏やかな成長こそが最大の安全保障」と主張する。
「中国のような覇権主義丸出しの成長路線ではなく、国際社会から共感をもって受け止められる経済成長を志向することです。それが日本の安全保障を盤石にしてくれるはず」とする。
だが、現在の日本は「着実で穏やかな成長」に程遠く、低成長に喘いでいる。現在の日本の“敗因”を、林氏はこう分析する。
「日本が抱える問題が最もよく表れているのが、半導体です。かつて『日の丸半導体』は世界シェアの5割を占めていましたが、現在は1割にまで落ち込みました。ところが皮肉なことに、工場の数ではいまだに世界トップなのです。つまり、合併をせず、小規模で低効率な生産を続けてきたわけです。
敗因は、連続性を重視しすぎたことです。今日と同じことを明日も明後日も続けていれば、このまま成長し続けていけるだろう。そう考え、思い切ったチャレンジはしてこなかった。その隙に、巨大な投資や合併など非連続的な変革で勝負に出た韓国や台湾に追い抜かれてしまったのです。電池や5Gなど、他の分野においても敗因は同じだと思います。我々は現在フロンティアに立たされていて、これまでのような教科書はありません。次々と新しいものを考え、生み出さないと生き残っていけないのです」
低成長を脱するために、政府はどうすればよいのだろうか?
「『どの分野が有望か』『どの分野を伸ばしていくべきか』ということは、あくまで民間や市場が決めるべきだと考えています。これまで日本は官が先にお墨付きを与え、そこに資金や人材を投じるという形をとっていましたが、政府が『次はこれだ』と方向性を押しつけるべきではありません。
むしろ、フロンティアを切り開く異能の人々がなるべく出て来やすい環境を整備することが、政府の仕事です。そして、ひとたび創造的破壊をする開拓者が出てきたら、そうした企業に対して政府が税制優遇などで後押しをしていくべきです。民間企業がリスクをとってでも行動しやすいように環境を整備するのが、新しい時代の産業政策になるでしょう。そこはまさしく政治の役割です」
(文藝春秋 2021年11月号)