脳科学者・中野信子氏が、自身の半生と脳科学を通して現代社会を考察の『
脳の闇 (新潮新書) 』
(新潮新書)は、「素人にとてもわかりやすく説明してくれる脳と体の入門書」と、好評である。
本書は、「小説新潮」に5年にわたる連載原稿を一冊に凝縮。
脳科学にもとづいてヒト脳の仕組みとはたらきをひもときながら、承認欲求と不安、行き過ぎた正義と他者へのバッシング、ポジティブ思考の落とし穴など、人が無意識のうちに抱えこんでしまう深い闇と、それがもたらす現代社会の病理について解き明かしている。
p104- 誰しもが陥る正義中毒
私はそもそも人間に一夫一婦制は向いていないという考え方なので、著名人の不倫報道に驚きもしないし、むしろ自分の意思をはっきりと世間に示すことができるのは心の健康の問題としては望ましいのではないかとすら思うのだが、世の中の大多数の人はそうではないようだ。
こういったニュースが流れる中でよく聞かれるのが「許せない」という言葉である。
会ったことも話したこともなく、利害関係にある相手でもないのに、よくそんなことが言えるな、と思うが、これが非合理的な人間の本質であると考えるとにわかに面白味を帯びてくる。