選挙に寄せて3~真の政治家・真の支持者
我がボスKは市長選でも敗れ、「刺客市長誕生」から2年が経とうとしている。先日あるニュースが新聞紙上をにぎわせた。とあるテーマパークが親会社と事実上決裂したと。親会社はヨーロッパの某国にある。曰く「経営について何度も様々な要望をしてきたが、聞き入れられなかった」と。あとは所在地の県と市が引き取るしかない。何を隠そう、そのテーマパークの社長はがまさに「刺客市長」だったのだ。立候補~当選するまで、新聞やテレビは、そのテーマパークの経営を立て直した男として絶賛されていたのだ。彼に投票した市民は何とも思わないのか? 本当に何とも思わないのか?「政治は人である」が我がボスKの基本姿勢である。いったいどんな政治家を「よい政治家」と言うのであろうか。残念ながら、今の日本は一般国民にとって政治を語ることがはばかられるように、政治家にはロクな人間がいないとでも言うように、「悪の象徴はいかなる善を持ってしても勝てない」的に、マスコミが国民を扇動をし、あきらめさせている気がしてならない。サルコジ大統領の誕生した、先のフランスの大統領選の期間と重なって私たち家族はパリに長期滞在していた。彼らフランス国民は自分がどの党や候補者を支持するのか、それはなぜかを明確にし、熱い議論を繰り返す。友人同士、支持する政党は当然違う。しかし、とにかくとことん議論するのだ。支持政党が違うからといって仲が悪いわけではない。サルコジとロワイヤル。案外この二人も絶賛されているわけではない。この二人に絞られる前には当然いろんな人たちの名前が浮かんでは消えた。3番目に支持されているバイル氏も国民の18.9%の支持を得ていたのだ。消えた人の中には政策の失敗あり、汚職あり。日本と変わりはしないのだ。シラク前大統領だってなにやら黒い噂がつきまとい、捜査の対象になりかねないらしい。「サルコジだよ。バイルがダメならサルコジ!」「サルコジは内務大臣の時にとんでもないバカな政策をごり押ししたからロワイヤル」「今回はロクな候補者がいないからね。究極の選択だ」「ロワイヤル、なんの実績もないのになんで彼女なの?女性には今ひとつ支持されていない」「社会党も他に人材がいないのか。保守政党・共和国連合がコケたのだから今こそチャンスはなず」「ドビルパンが失策さえしなければなあ」と、いろいろな声を聞いた。日本と同じなのだ。決して現政権を両手放しで称えているわけではないし、政策に汚点もある。しかし、彼らは決して政治に失望してはいないし、日本のマスコミの様なレベルの低い報道の仕方はしない。と言うより、フランス国民は様々なレベルの報道を取捨選択しているのだ。新聞によってもはっきり色が分かれている。それが本来報道のあるべき姿ではないのか。政治は疑惑追及のみをやるのではない。何か一つの不祥事、政治家として言ってはならぬ失言を繰り返し取り上げ、執拗に報道をする。大事なことは他にもっともっとたくさんあるのに・・・である。~~~さて、話は逆戻りするが、「2度目の刺客」を送られた我がボスKの戦いは、本当に辛いものであった。しかし、これも神様からの思し召しであろうか、人間の本当の姿を目の当たりにした、貴重な経験であった。企業団体から派遣された人々は、当然トップの意志で動く。トップが支持しないならば、彼らは選対本部に送られてくるはずもない(個人の意志はわからないが)。小さなグループで献身的に支持してくれていたはずの人たちも、見事に手のひらを返し、去っていく。昨日まで立派なことを述べていた人間が、いとも簡単に去っていく。政権与党でなければ仕事が回ってこない。親族の就職もままならないのであれば、彼らが有利に動く候補者になびくのは当然のことである。そう。一部の人たちにとって「よい政治家」とは、まさに自分に、自分の身の回りに利益をもたらしてくれる政治家のことを指すのだ。「2度目の刺客・市長候補」は、地元財界に益をもたらす救世主(?)として、多くの支持を得た。財界トップである某百貨店の首領は、徹底的に社員や下請け業者との協力体制に敷いた。びっくりしたのは、友人がその百貨店で買い物をした時のことだ。店員がお釣りを差し出す際の小さなお盆(?)の上に候補者の名刺を貼り付け、客がお釣りを取ると写真を目の当たりにする仕掛けとなっていたのだ。なんというやり方だ。ここまで徹底的な、えせサブリミナル効果!開票結果(投票率43.31%)刺客候補 95,635票我がボスK 68,940票M党推薦候補 58,165票経済界の候補者が、政党公認で立候補表明してからわずか一ヶ月。政党の後ろ盾のない元代議士は見事に敗れた。マスコミ報道も明らかに刺客候補者寄りの中、実に6万9千人が彼の名前を書いてくれた。この票数をどう考えるかは個々に任せるとして・・・。敗れた我々が忘れてはならないのは、「僕は○○の社長から、『おまえのところには仕事をまわさん』とまで言われた。それが許せない」と勇気を持って先頭に立って応援してくれた人たち。「党の県議団(市議会会派)からは白い目で見られるけれど、私が受けた恩を仇で返すわけにはいかない」と胸を張って応援してくれた地方議員の方々。そして、初出馬の時から、地味に細々とではあるが黙々と支えてくれる人たち。~彼らが「やはり国政に復帰して欲しい」と願う限りは、Kも志半ばで逃げるわけにはいかないのだ。何とか生き残る道を模索しなければ・・・。郵政造反組に「踏み絵」を踏ませるようなことさえなければ、KはいまもJ民党員であったに違いない・・・。私自身も、政治に対してフランス人のように熱く語りたかった。しかし・・・。今の各政党は、一度バラバラにならなければならないのではなかろうか。