㈱FPコンサルツ広場　FPの幸せ探検隊

海上保安大学校に入学して２ヶ月が過ぎた６月ぐらいから射撃訓練が始まる。

拳銃などと言うものはテレビか映画の世界でしか見ていないものだから持つ手が震えたのを覚えている。

いきなり射撃が出来るのかと期待をしていたが最初にやるのは基本の基本、分解及び組み立てである。

射撃訓練で主に使ったのがニューナンブ回転式拳銃３８口径だった。
笑われるかも知れないがニューナンブとは日本のメーカーで現ミネベア工業製だったのは後で知った、名前もナンブ？だし、ニューがあるからにはただのナンブもあるだろう？日本語らしい響きだとは思っていたが。

射撃訓練では２５メートル離れた直径１０センチの的をめがけて打つ、この黒丸に入れば１０点、直径が大きくなるにつれ９点、８点と点が少なくなっていく。

全部で１０発打って８０点以上は当たり前、拳銃はちゃんと当たるように設計されている。
ニューナンブは５連発だから１回玉を入れ替えなければならない、この時は学校給食で使われいたアルミ製の茶碗に薬きょうを出し、左手でリボルバーを反時計回りに回転させながら真鍮色の実弾を１発つつ込めていく。

この行為が何故か好きだった、シーンと静まり返った射撃場に求められるプロの行為である。
この時、「ぽろ！カラン～ン」なんて音を出すと白い眼で見られる。

射撃音だがテレビドラマのようなバキューンなんて音はしない、ちょうど車のタイヤがパンクしたような「パン」という乾いた音がする。



１０発全部打ち終わると手をあげて大声で「打ち終わり！」と叫び、指を劇鉄から離し指示があるまで待つ。

ターゲットまで測定に行くと時々１１発当たっているやつがある、隣のやつの流れ弾だったり、兆弾といって一度地面に当たったやつが反射して当たったいるものがある、教官は即座に「はい、兆弾あり、７８点不合格」とか言う。

主にニューナンブと言ったがブローニングを使わなくてはならない学生もいた、あきらかに進駐軍の払い下げである、こいつが左で射撃していると薬きょうが飛んできて開襟シャツの中に入ることがある、熱い。

精度はあきらかにニューナンブのほうが良かった、それでも拳銃によって癖があり同じように打っても上下左右にぶれて玉が集まる。
精度のいい拳銃を使うことが出来たものは運がいい。