㈱FPコンサルツ広場　FPの幸せ探検隊

海上保安大学校に入学すると全寮制で４年と６ヶ月呉で暮らすことになる。

入学すると寮生活に早くなれるため１週間のオリエンテーションというのがある。

４年生の有志７人ほどが春休みにもかかわらず１週間大学に残り新入生を地獄の底から鍛えなおす任務を受けている。

教官などは一人もいない寮に角刈りの人相の悪い上級生が待ち受けているのだ。
「○○学生！」
「はい」
「こ　え　が　小さ～い！！！」
腕立て２０回！

上級生に出会ったら「オス！」と言って敬礼しろ！
上級生の答礼が終わるまでそのままの姿勢で直立不動だ、わかったな！

「オス！」
声が小さい！！

あちらこちらでオスの連発だ。

休憩時間になると１年生だけ集められて４人一組の部屋に入れられる。

僕は思った、こんな生活４年も続けられない、
すると加賀谷という１年が言う
「こんなの演技に決まってるだろ、気の弱いやつを追い出す儀式だよ」

現に、僕らの後輩で真夜中に塀を乗り越え、逃げ出して翌日電話で「もう辞めますので荷物を送り返してください」と言って辞職したやつがいたらしい。

上級生の演技だと思うとこちらも気が楽になる、オーバーアクションで返答してやるわけだ、声が小さいといわれれば上級生が驚くような大声で「オース！」と答えてやった。

眠れない夜をすごし６時３０分（マルロクサンマル）総員起こし

ただちに毛布をきちんと四角くたたみ、シーツのしわを伸ばす、校庭に集合して
「てんつき体操」だ！

てんつき体操？　そんな体操聴いたことないぞ、と考えてる暇なく大空に向かって両手を突き上げる、「いいな、これが天突き体操だ！」

体操が終わり腕立て伏せを５０回終えると寮に帰る、寝室に帰るとシーツが引っ剥がされ上級生が待っている「しわがよっていた、腕立て２０回！」

地獄の１週間が終わり他の上級生が帰省から帰ってきた。

みんなにこにこしている、歩き方も規律正しくない、「オース！」と挨拶しても
「ご苦労さん」やら「おつかれさん」と言う上級生もいる。

やっぱり加賀谷は正しかったんだ。