カストルをはじめ、恒星への興味
ふたご座流星群を見ていて、そのふたご座の明るい星、 どっちがカストルでどっちがポルックスだったっけ?と、突然不安が襲ってきました。 で、忘れたことはきちんと調べ直そう、ということで、星図を開いたわけですが、 地平線から先に生まれる(昇ってくる)のが、兄のカストル 後から昇ってくる方が、弟のポルックス、と覚えればいいんだ・・・ と、思うことにしました。 さあ、あとは、名前が逆にならないようにしなきゃ・・・(笑) さてその、星図やウィキペディアを見ていると、カストルは3重星であり、 3重星のそれぞれが恒星二つからなる連星である、 つまりカストルと呼んでいる星は実は6つの星から形成されている(6重連星)と書いてあります さらに読み進めると、一番明るいカストルAは1.93等、カストルBは2.97等 この二つまでは望遠鏡で見れば連星と確認できる、と書いてあります。 でも見たことないな~~。 というわけで、Imaging Source社ののCCDで撮ってみるか・・・と思いました。カストル posted by (C)ホシミスト_3013 なるほど、二つの星に分離して見ることができますね~。 この二つの星と連星を作っている伴星は、分光観測で見ることができるのだそうです。 さらに3つ目の連星系は、この二つの星の12倍離れたところにあるそうで、 かなり暗く、矮星2つから形成されているのだそうです。 さて、このカストルAとカストルBの見かけ上の距離ですが、 このままではピンとこないので、同じ日に同じ拡大率で撮影した木星(ピンボケかな?) を、比較でアップしてみます。 大赤斑の見かけの大きさと変わらないくらいの距離なんですね・・・2013.12/14の木星 posted by (C)ホシミスト_3013 ところで、ブロ友のどらBOBさんの日記を見ていて、私も疑問に思ったことがあったので、 ちょっと調べてみました。 恒星の名前についてです。 名前が付いている恒星は、なぜ名前が付いているのか? 一体どれくらいの恒星に名前があるのか? ということについて、私も知らなかったな~、と思ったからです。 たとえば、オリオン座のベテルギウス、とか、さそり座のアンタレス、とか 名前がついた星がありますよね。 これらの名前は、かなり古くから、明るい星に対して、便宜的に用いられていたもの。 それをまとめただけで、 国際天文学連合など、誰かが命名権を持つというものではないそうです 1等星2等星、変光星や連星などの特殊なもの、に固有名が付いているそうです。 その数は、ウィキペディアで調べる限り217個。 では、もし、すべての星に固有名をつけるとしたら、いくつ名前が必要なのでしょう? そもそも、銀河系の可視質量(ダークマターをのぞく質量)は、太陽の約1千億倍。 つまり、太陽と同じ大きさの恒星に換算すると、銀河系の恒星の数は1千億個ある と推算されているわけです。 太陽より質量の大きい星が多ければ数はそれより減り、 太陽より質量の小さい星が多ければ数はそれより増える、ということで この銀河系には約1千億個の星がある、という言い方は、それくらい不確かなもの、 ということだそうです。 その上、銀河系の質量も以前は太陽の2千億倍と推定されていたようですし。 ちなみにこの宇宙には天の川銀河と同じような銀河が1千億以上あると言われていますので 全宇宙に星はいくつある?と言われると、1千億×1千億個、以上、ということになりますね 100垓0000京0000兆0000億0000万0千000個! もちろんこの銀河系内の星であっても、 銀河系の中心の陰になって見えない部分もありますから、 1千億すべての星が見えるわけではありません。 いずれにせよ何百億もの固有名詞を用意するのは、不可能に近いですね・・・ なので、各星座で明るい順番にα・β、とギリシャ文字を割り振って行く方法で 固有名詞の代わりにしているわけです(1603年 バイエルの全天恒星図)、 たとえば、この、カストルが、ふたご座α星、ポルックスがふたご座β星という風に。 (ときどきこのように明るい順番ではないときもあるようです) ギリシア文字ではなく数字だけで表わす、 ○○座△番星、という言い方は、1712年にイギリスで使われ始めたそうです。 バイエルが明るい順に番号をつけたのに対し、イギリスのフラムスティードは 西から順番に番号をつけたそうで、カストルはふたご座66番星、になるのだそうです。 フラムスティード番号は全部で2554の天体に割り振られているそうですが、 ただしこれは、イギリスから観測できる星に限られており、 南天の星には適用されていないのだとか。 北半球から見える星に関してはフラムスティードがバイエルより多く名付けていますが 南半球の星星に関しては、バイエルの名前しかないわけで、 この二つの星表を合わせても、番号がついた星は全天で数千個にすぎない、ということです。 その後、1855年にドイツのボン天文台から観測された32万個に番号を振り、 それに1886年に南天の星を12万個追加した、BD という略号を冠した星表が作られ、 カストルはBD +32 1581(赤緯32度にある1581番の星)となるそうです。 全天を1回で網羅した星表は、ヘンリードレイパーカタログ、と名付けられており、 ハーバード大学天文台で1918~1924にかけて編纂されたそうです。 これは全天で約22万5千個の星に番号を割り振ったそうです。 カストルはカストルAがHD60179、カストルBがHD60178だそうです。 1966にはスミソニアン天文台が、9等星までの258,997個の星に番号を振り(SAO)、 BD星表やHD星表との対応表も付属しているとのこと。 これでは多すぎる、と、肉眼で見える6等星まで(実際には6.5等星まで)の星に番号を つけたのが、イェール輝星目録。 6等星までで約4800個の星があるらしいので、 そのくらいの数と思われます。 では一番星の数が多い星表は・・・ USNO-B1.0という、アメリカ海軍天文台が作成したもので、 21等星までの、10億4261万8千261個の星に番号が割り振られているのだとか。 (星表に乗っていない調査対象の星の数も含めると36億4320万1千733個) こうなると、アマチュアが撮る星野写真に写ってくる、この銀河系内の星については ほぼ番号が割り振られている、と思ってもいいですね。 つまり、望遠鏡で見ているこの星の名前はなんですか?と聞かれた時には、 人の名前のような固有の名称はないが、全天で10億を超える星に番号が割り振られている、 なので、その星には、その中の、何番、という風に名前があるはずなのですが、 残念ながら10億個もの星と名前を照合することは私には不可能なので、 名前はあるはずだけど、私には答えられないんです、 と返事をすればよいことになりますね(笑) 何億もの星にそれぞれ名前が付けられるわけがないでしょう?とは言えないわけです。 少なくとも10億の星には番号があるわけですから・・・ スミソニアンの星表は、インターネットで公開をされているそうですが、 たとえ10億が20万に減ったとしても、自分の写真とそれを照らし合わせる気力は、 自分にはないですね~、 というのが、私なりの答えになりますか・・・・・(笑)