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2005年04月05日
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4日、我が校の離任式があった。異動や退職で、学校を離れていく先生や職員を送るための式だ。今年度は、11人の主役が舞台に上がった。

ベテランの先生方にまじって、私も送られる側に居た。体育館に全校児童が並ぶ前に立ち、一人一人が挨拶をする。7年8年とこの学校で過ごしてこられた先生が多い中、私は2年間だけの在籍だったけれど、たくさんの子供たちの顔が浮かんできて、こみあげる思いを抑えるのがたいへんだった。
教師という立場ではなく、たかがパートの給食のおばちゃんだったが、子供に対する愛情は変らない。ただ、いつも白衣と三角巾とマスクの姿でいる私を、どれだけの子供が覚えているのか不安になる。私服の私を知らないから。だんだんと挨拶の順番が近づいてくるにつれ、そればかりが心配になってきた。人前にたつのに慣れていないことと、素晴らしい先生方と同じ席に並んでいることで、めちゃくちゃ緊張していたにも関わらず、そんなことばかりが気になり、落ち着かないこと甚だしい。

挨拶の冒頭で、とうとう自己紹介をしてしまった。なによりもみんなの言葉や笑顔が、どんなにか励みになっていたかを、子供たちに伝えたかった。挨拶を交わし、言葉を交わし、笑顔を交わし、そうした毎日の中で、本当にやりがいのある仕事をさせてもらったことを、心から感謝していると伝えたかった。膝がふるえ、声がふるえ、何をしゃべったかあまり記憶にないが、思いは伝わったのだろうか。

花束をいただき、新6年生の代表に送る言葉をいただき、全校児童が両脇に並ぶ花道を歩いて退場。先生たちとの想い出は、数え切れないほどあるだろうが、私はめったに子供たちの前に出ない立場だったので、交流のあった子たち以外にはどんなふうに送られるのか。
そんな心配は無用だった。かたい握手をしてくれた子、ハイタッチで笑顔を見せてくれた子、給食おいしかったよと声をかけてくれた子、泣き出してしまった2年生の女の子もいた。グッと胸にこみ上げるものを抑え、私はありがとうを連発するしかなかった。こんなにいい思いをしていいのだろうか。すべてのことに感謝したひとときだった。

夜には料理屋さんで、送別会が行われ、私もお招きいただいた。この場でも乾杯の前に一人一人の挨拶があり、昼間の舞台上での挨拶とは違う緊張がおそってきた。なんといっても、聞いてくれているのがすべて教師の方々なのだ。せめてビールの2、3杯でもひっかけてからにしてもらいたいと思っていた。
送られる側の先生の中に、普段から給食に関心を寄せてくださっていたベテランの女の先生がいらっしゃる。この先生のご挨拶を聞いた時、私はこみ上げるものをついに抑えきれなくなった。この宴を催してくれたこと、この学校で過ごせたことへの感謝の言葉に続いて、私たち調理員に対しての労いをお話ししてくださったのだ。熱い思いや愛情をもって、子供たちのために食事を作っている調理員がいるということは、とても素晴らしいと。長年勤めた学校を去るにあたってのご挨拶の中に、私たちを称える言葉を仰っていただいて、私にとっては驚きと同時に、きちんと見ていてくれた人がいたんだということに感動で胸がいっぱいになってしまった。

こんなふうにちゃんと評価してくださる方がいるのに、私はだいぶさぼっていたなぁと、かえって身が縮む思いもある。やりたいことがあってもできない言い訳をし、これくらいやっていればいいかななんて考えてたこともたくさんあった。もっともっとできたことがあったんじゃないか、もっともっとおいしくする工夫もあったんじゃないか...やれたのにやらなかった...そんな思いもわいてきて、嬉しさとともにさらに精進しなければならないと、背筋を伸ばし気持を新たにした。

お酒の席で、初めて先生方とご一緒させてもらったが、教室で会う先生とはちがった面がかいまみえてとても楽しい時間を過ごした。名残り惜しく、ニ次会までおつき合いさせてもらった。本当に、いい人たちに恵まれて過ごした2年間だったことを、改めて感じた。忙しさにまぎれて、なんと傲慢な日々を送っていたことだろう。一日一日を大切に、今を大切にしていかなくては、自分を評価してくれている人に申し訳ない。誰かが見ていてくれる、見守っていてくれるということが、こんなにも嬉しく自信に繋がっていく。

今日から、新しい職場でスタートをきった。今までは4人の調理員と栄養士さんとで頑張ってきたけれど、今度は調理員19人という職場だ。今日一日では、とてもじゃないが顔も名前も覚えきれない。それでも、緊張感いっぱいでかたくなっている私を、温かく歓迎してくれた新たな仲間の存在が、また私のやる気を導き出してくれた。どこに行っても誰と一緒でも、すべては自分が決めること。感謝の気持を持ち続け、慣れという甘えが顔を出さないように、常にモチベーションを保っていこうと思ったこの二日間だった。

7日は入学式。暖かな陽ざしが春の訪れを告げている。桜が満開になるのも間もなくだ。





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最終更新日  2005年04月05日 23時48分37秒
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