昨日は、私の銭湯通いについてのブログだったけど、
今日は父親について。何を隠そう、彼も大の銭湯マニアなので。
とは言っても、私と比べ、キャリアが全然違う!
父親の銭湯LOVEは半世紀以上も続いているのだから!
ド田舎育ちの父親は、大家族の長男。
家には風呂が無かったのだけど、当時それは当たり前のことだった。
よほどの金持ちでなければ、家に風呂場というものは無かったそうだ。
ちなみに彼は今年で73歳。「今は、ほんまにええ時代や」と口癖のように言う。
ってなワケで、父親の少年時代。銭湯に行けるのは、月に数えるほど。
今でこそスーパー銭湯を初め、まるでテーマパークのようなものが
次々と出来て来ているが、その時代の銭湯は今とは比べものにならないぐらい
質素で、“イモの子を洗う”という表現がピッタリなほど
あまり衛生的でなかったし、雰囲気も殺風景だったそうだ。
しかし、幼い頃から父親は銭湯に行くことが何よりも楽しみだった。
「明日、行くよ」と言われれば、その夜は眠れないほどワクワクしていたらしい。
そして、現在。
その情熱は、未だ燃え続けている。
父親は、金曜日を“銭湯デー”と決め、文字通り1日中そこで過ごす。
お弁当まで持って行く気合の入れようだから、見事なものだ。
今朝も、母親が握ったオニギリと水筒いっぱいのお茶をリュックに詰め、
まるで遠足に行く子供のようにルンルン気分で出かけて行った。
父親には行き着けのスーパー銭湯が3軒ある。
気分に応じて行き分けているのだけど、
今日は自転車を20分ほど走らせた先の海が見える露天風呂付きのところへ。
家を出たのが、午前10を少し過ぎた頃。
そして、帰宅したのが・・・
一体、何時だったと思います!?
午後8時前!!!
「腹減った~!死にそうや~!」と玄関を開けるや否や、叫ぶ父親。
そりゃそうでしょ。オニギリとお茶を持って行ったとは言え、
そんなに長時間居ては、お腹が空くの当たり前だわ。
ってか、1日中そこで何してんの?
本当に、銭湯にずっと居るの?退屈じゃないの?
しかし、父親は一度入浴料を払い、銭湯に入ると帰るまで出て来ないらしい。
勿論、湯船に浸かりっぱなしではなく、出て休んだり、
サウナに入ったりもする。ただし、オニギリを食べるために
脱着場の休憩スペースに行く以外は、ずっと浴場内に居るのだとか。
退屈するか否かに関しては、「なんで退屈する必要があるねん?」と。
露天風呂から海を眺めていると、時間なんてアッと言う間に過ぎるそうだ。
本当はオニギリを食べる時間も勿体無いほど、ずっと浴場内に居たいとのこと。
銭湯効果のお陰かどうかは定かではないが、70代の父親はとても若々しい。
背筋もシャンとしているし、いつも実年齢より10歳は若く見られている。
勿論、毎週たくさん汗を流し、体内の老廃物を
すべて出し切っているのも大きな理由かもしれない。
けれど、私は思う。
きっと、少年時代に思い存分味わえなかった楽しみを今、
満足が行くまで堪能できているからだろう。
銭湯から帰って来た父親の顔は、実に輝いている。
「今は、ほんまにええ時代や。」
そんな表情を見ると、彼がいつも口癖のように言うこの言葉が
何故が胸にジーンと響くのだ。