韓国の元大統領であり、2000年にノーベル平和賞を受賞した金大中(キム・デジュン)が本日午後、天に召されました。85年の生涯でした。
「私は5度死線をさまよい、6度の監獄生活をした・・・」と氏がかつて語ったように、その波乱に満ちた政治家人生は一つの試練からまた次の試練への連鎖。投獄、自宅軟禁、亡命。拷問も受け、幾度か暗殺未遂にも遭いました。また、「金大中事件」として知られる拉致事件の被害者にもなり、海に投げ込まれる寸前に殺害が断念されたというそれこそ文字通り死に直面した経験も。さらに、「光州事件」へと発展したデモの首謀者として一度は死刑判決も受けました。
金大中をそれでも駆り立て続けたのは、民主主義への熱き思い。その政治活動や大統領在任中の手腕を支持する者も、そうでない者もいるかもしれない。しかし、韓国という当時は軍事独裁政権下にあった国で、民主化に貢献した実績は誰もが認めざるをえないのではないでしょうか。
神様は金大中に85年の命をお与えになった。氏はその85年という限りある人生を余すところなく活用し、信念のためにすべてを捧げました。死を恐れずに、しかし決して死ぬことなく、見事に生き抜きました。
信念のために生きる。そのためには死を恐れない。けれども、終わりが来るまで決して死なない・・・
それは政治家でなくても、一人の人間として素晴らしい生き様。そのように生きたいと願っても、なかなかできることではない。だから私は、金大中という人に対し、特別な思いを抱き続けているのです。
金大中元大統領、天国にはあなたが求め続けていた「真の自由」があるのでしょうか。今あなたが、その「自由」を心の底から喜んでいることを願います。