小学生の頃、ベッツィーだかベッキーだか忘れたけど、そんな名前の女の子が主人公の本がクラスメイトの女の子達の間で人気でした。シリーズ化されていて、何冊も学校の図書館にあったので、それこそ早い者勝ちの取り合い。やっと私の手に入った時、胸をときめかせながらページをめくってみた。
う~ん、でも。正直言って、イマイチって感じ。なぜなら、そのベッツィーだがベッキーだかって子があまりにも「いい子ちゃん」だったので。聞き分けが良くって、妹の面倒見も良くって、友達ともケンカしないし・・・などなど。幼心にも、「そんな子いるか?」と思ってしまいました。私って今でもそうだけど、子供の頃から「いい子ちゃん」系は苦手。だって、つまんないんだも~ん!これは実世界でも、小説の世界でも。もっと人間臭いほうが好きなんです。そのほうが何故かホッとするし、興味が尽きません(笑)。
そんな私が次に出会った子供向けの本はラモーナという等身大の小学生の女の子を主人公としたシリーズ。これは、ものすごくハマッた!ラモーナと同じ年齢の頃に読んだということも大きな要因かもしれないけれど、とにかくこの子。すごく面白い!好奇心旺盛で、失敗もたくさんするし、お姉ちゃんともケンカする。お父さんやお母さんのこと大好きだけど言うこと聞かずに怒られたり。また、ラモーナは想像力の名手。それがたまにアダとなって、空想の世界にどっぷりとハマッてしまうが故に周りの人に誤解されることも多い。私も、そういう子だったから、ラモーナ自身に共感したし、その存在に救われました(笑)。
こんなエピソードもあります・・・
両親に怒ったラモーナは、「私、今から悪い言葉を言うから!」と宣言。少し驚いたお父さんとお母さん。しかし、「どうぞ」とラモーナに言わせてみるのです。すると、ラモーナは大声で「ガッツ、ガッツ、ガッツ、ガッツ、ガッツ!」(注:英語で「ガッツ=guts」は「はらわた」という意味)。ここで、両親は大爆笑。お姉さんもお腹を抱えて笑っている。せっかく暴言を吐いたつもりが、ビックリさせるどころかなんだかコメディーになってないか?と困惑するラモーナ。
ラモーナ・シリーズは、そういうプッと笑えるけれど、ハートウォーミングな出来事が満載。子供時代に、そんな素敵な本とめぐり逢えたこと。これは、私にとってすごく良かったと今でも思います。
ちなみに、著者のベバリィ・クリアリーさん。40作以上もの本をこの世に生み出し、それらは今でも世界20カ国・15言語で子供達のみならず大人達をも魅了し続けています。現在は児童作家としてはとうに引退しているけれど、93歳になってもカリフォルニア州で元気に暮らしているそう。
私が幼い頃から今に至り「読書」が好きなこと。また、「読むこと」だけでは飽き足らず「書くこと」にも魅了され続けていること。さらに、「言葉を扱う仕事」に就いたことも。彼女のような作家とその作品が、私の子供時代を明るく照らし、夢中にさせてくれたから。それは、多かれ少なかれ、間違いないと思います。
さて、大人になった今。久しぶりにラモーナ・シリーズを手に取ってみました。小学生の頃は原語(英語)で読んでたんだけど、今度は日本語訳をパラパラと。しかし、言葉の違いなど関係なく、ページ上に広がるラモーナの世界は、やはり。今ではアラサーになっちゃった私のハートでさえもグッと掴んで離さなかった。そして、同時に。あの頃は気づかなかったことも、この歳になったからこそ気づいたり。そんな新たな発見も、再読することで見つけることができました。
そういう意味で、今の私は。シリーズの中で特に、「ラモーナとお父さん」が好き。このことは、また次回にでも書きましょう。