カテゴリ:FOOD/DRINK
ワタクシれっきとした日本人ではあるのだが、オトナになってからの食習慣が普通ではなかったせいか、日本を離れてもさほど「日本食が恋しい」とは感じてこなかった、過去形ではなく今現在も、である。 思い起こせば幼少期、家にあった世界の旅シリーズ的なカラー図鑑を何度も何度も食い入るように読んでいたようで、中でも「世界の料理」パートに乗っている異国料理がやたらと美味しそうで、いったいどのような味がするのかを、アレコレ想像膨らませていた記憶がある。そんな小さいころに下手にインプットしてしまった異国への憧憬&異国料理への執着は、ウン数十年後しっかりと達成しているあたり、やはりしぶといしつこい蠍座のオンナなのであった。 ともあれ、気が付けは、炊きたてのごはんにお味噌汁とか、今日はスキヤキよー&ワーイとか、2日目の煮詰まったのが美味しいんだぜーのカレーライスとか、そういう典型的な日本的な食事というのは、多分高校卒業とともにオサラバしてしまい、以降、やれフレンチだイタリアンだインド料理だタイ料理だ・・・と、当時火がつき始めたエスニックブームに後押しされつつ、なんかワケわかんないものを好んで食べるようになった。 さらにロンドンに家出したのちに、若気のいたりで「保守的なイギリス人家庭生まれ→幼少期はシンガポール→少年時代は英国寄宿舎学校育ち→卒業以降アジア大好きバックパッカー」のいまの旦那を連れて帰国してしまい、彼のMixed-upされた食癖と相まって和洋折衷入り乱れたワケわかんない食事が、私の食生活の中心になったのである。 日本で旦那と過ごした20年間、いわゆる日本食的な料理は数えるくらいしか作ってなかったんじゃないかな、と思う。炊飯器すらなかったし。 なので私にとっての日本食って、会社のランチタイムに食べる定食屋とか、飲み会の居酒屋とか、たまにふんぱつする懐石や寿司や鰻とか、ほぼほぼ外食に限られていたわけで、正直いまのロンドン生活とあんまり変わらなかったということか。 まあまあ、そんなこんなで、日本を離れて6年目にさしかかり、ロンドンでは日本の方々ともお知り合いになる機会も多少あり、お話をするたびに話題にあがるのが、やはりなぜか日本食の話。 配偶者も子供も付き合いも現地ドップリの方は、やはり日本食からはかなり離れた生活がデフォルト化しているし、駐在さんや日本人どおしの家族構成の方々は美味しい日本食ライフを維持するため、どこそこのスーパーやデリバリーがお得で美味しい等々の情報が豊富。 私も、たまに納豆食べたい!とか、海苔食べたい!とか、みそ汁のみたい!とか、半年に1回くらい思うことがあるが、納豆以外はたいて普通のスーパーで買えるし、納豆にしてもどの町に必ずある中華系または韓国系スーパーで冷凍ものが入手可能なので、あんまり日系スーパーとかデリバリーとかの必要性は感じてない。 そんな、食の非国民であるワタクシが唯一、日本的なもので恋しいなあ、と感じるのは魚介類。日本料理としてではなく、食材としての魚介類。これがね、なんか切実(笑) ご存じのように英国は四方を海に囲まれた島国なので、当然ふつうに魚介類を食すると思われがちですが・・・、いや、実際皆さん食されてます。フィッシュ&チップスとか、スモークサーモンとか、サバのソテーとか、SUSHIだって普通にファーストフードとしてお惣菜コーナーに必ずあるくらい。 が、しかしですね。島国のわりには魚介の新鮮さが日本と違うというか、生食ではなく加熱調理を前提としているようで。たとえばフィッシュモンガー(魚屋さん)に一歩足を踏みいれると「サカナ臭い」し、大きめスーパーのお魚カウンターで買う生魚は「生食厳禁」のクオリティだ。日本のように刺身用のお魚が欲しいときは、日系スーパーの冷凍ものを買いにいかねばならん、当然高価である。 なのでね、別に日本食ってわけじゃないけど、ちょっと新鮮な浅利やムール貝をサクッとワイン蒸しかなんかで作りたいわーとか思っても、普段使いのスーパーでは新鮮なもの(調理前のもの)まず手に入らない。調理済みの真空パックや生臭いむき身パックなどはあるが、とても食べる気にはならない。 ここのところ、糖分控えるために炭水化物ほぼ絶ちして、タンパク質を積極的に摂るよう心掛けているせいか、なんかお肉はおなかイッパイな感じがし始めてて、もうこりゃ魚介類でしょ~と思って、探しているのだけど、なかなか思うような食材がないの、通常の普通の日常の延長線上では。 海を隔てたお隣の国おフランスでは、食に対する意識&執着が別次元だからか、魚介も普通に日常使いでいただいてらっしゃるのよね・・・。と、知人の話や、Yutubeを見ては、うらやましいわーと地団駄踏んでいるこのごろ。 そんな悶々がずーっと燻っていたせいか、先日ロンドンで友人と休日ランチをしたときには、ついつい我を通して、フランスのブラッスリーとかでよくあるFruits de Mer 魚介類盛り合わせを所望。島国のイギリスでフランス流シーフードを食べるのもなんだかな、と思ったけど、コロナ以降の外食自体も久々だったし、日本人でも美味しくいただけるクオリティの魚介類もひっさびさだったので、相当堪能させていただきました。 ただ、元日本在住者としては、日本だったらこのクオリティって、普通に普段の日常生活の延長線上にあって、決して「ハレのお食事」ではないよなぁ、と、ちょっと寂しい想いも感じたということも付け加えておく。
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