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テーマ:婦人科の病気(1168)
カテゴリ:赤ちゃんまち・筋腫のこと
「うぅぅ~…あ、あつ~いぃぃー…。あついよぉぉ~…」
下半身の異様な熱さに目を覚ました。 辺りは、ベッドライトのみの灯りだけで薄暗い。 足を動かしてみる。…爪先が動いた!…足全体も動く! 手術後、下半身全体が痺れていて凄く不安だったがこれで安心。 足で布団を払い除けた。 頭を左にゆっくり動かしてみる。 点滴の袋が3つもぶらさがっていた。なんだか、『病人チック』な感じ。 そして、右にもゆっくり動かしてみる。吐き気もおさまったようだ。 随分長く寝た為か、頭も大分スッキリした。 時計を見ると、3時5分だった。 看護婦さんが来た。 「あーちまるさん。体、横に向けましょうか?」 え!体動かすの?!…なんだか怖いなぁ…。 痛くないからこのままでイイと言ったが、随分長い時間仰向けだったから 横に向きましょうと言われた。 背中を押してもらって右側に向く。下っ腹がズキズキ痛んだ。 仰向けの状態でも辛くは無かったけど、 横を向いたらもっと楽になった。また、少し眠くなった。 「うぅぅ~…おしっこしたいぃぃ~…」 4時過ぎ、尿意で目が覚める。 管が通っているから膀胱に尿が溜まっているはずは無い。 でも誰かのブログで、管が通っていると『したい感』があるって 書いてあったのを思い出して、これが普通なんだ思った。 …でも、やっぱり変!物凄~くトイレに行きたい! どうにかならないかとモジモジ動いてもどうにもならない。 1時間ほど『したい感』を耐えていたところに 看護師さんが来たので、そのことを伝える。 どうも体の向きを右に変えた事によって尿がチューブをうまく通ってなかったみたい。 体の向きを左に変えてもらったら、スー-っと楽になった。あっという間にスッキリだ! こんな事だったら、早くに看護師さんを呼べば良かった。 スッキリはしたけど、おかげで目まで冴えてしまった。 まだ5時ちょっと過ぎ。本もテレビのスイッチも手の届く範囲に無い。 しょうがない…。術後、血栓が出来やすいとのことだったので 足の指や足首をクニクニ動かして時間を潰す…。 外が明るくなってきた。 6時30分。検温・血圧を計る。 そして、テーブルに点滴のバッグを置いていった。 そっかぁ…ご飯食べれない代わりに点滴で栄養補給なんだ。味気ないな。 8時過ぎ。看護師さんが来た。 「本日担当のAです。よろしくお願いします。 では早速歩く練習をしますよ~。始めは、ベッドを少しづつ起こして体を慣らしましょう。」 看護師Aさんは万田久子を20代に若返らしたような感じの子。 殆どの看護師さんはワンピースなのに彼女はパンツスタイル。 なかなか格好イイ看護師さんだ。 ベッドの背中の部分をホンの少し起こした。30分後、また少し起こす。 一時間後、完全に上体が起き上がった。なんだか不思議…と言うか感動。 24時間前は『起き上がる』なんて全く意識しなかったのに 術後の今、1時間かけてようやく起き上がることが出来た。 「気分はどうですか?少し歩いてみましょうか。」 おぉ~。いよいよ歩くのか。何だか怖いぞー。 ベッドから足を下ろして、そっと立ち上がってみる。 うわぁー。ふわふわした感じぃ!点滴スタンドを引きずって廊下に出る。 うぅぅ~怖い。一歩一歩ゆっくり歩く。 点滴スタンド、上には点滴、下には尿バッグ。 嫌だ~!いかにも『病人チック』で格好悪ぃ~。 しかも着ているのは手術着のままだし。頭もボサボサだし。 他人が見たら『かわいそうに…』って思うのかなぁ。嫌だぁー-! せめて『尿バッグ』は外したい。 出来るだけ急いで、廊下の端まで歩いて病室まで戻ってきた。 病室に戻ると看護師さんに尿の管を取ってもらった。ヤレヤレ。 熱いタオルで体も拭いてもらった。今日の看護師Aさんには何から何まで頭が下がる。 自前のパジャマに着替えて、髪も整え…洗髪はしてないが…とりあえず形はスッキリした。 お昼になった。昼食はまだ食べられない。ご飯が出てきたところでまだ食べる気はしない。 またしても点滴で栄養補給。 歩いたせいか、少し疲れた。ベッドに横になってテレビを見ていると お母がきた。お母の姉さんと妹(アタシにとっておばさん)も来た。 この三人が一緒になると、物凄く騒がしい。 まるで台風が来たようだ。ベラベラと一方的にしゃべってあっという間に帰っていった。 これから美味しい物でも食べに行くらしい。 少しして回診の時間になった。 今日はちゃんとベッドに寝て待っていた。 今日は若いお兄ちゃん先生だ。うちの課の新入社員くらいの男の子だ。 「お腹を診ましょうね~。」 お腹をみせるとちょっとあたふたしている。 「…えーっと…あれ?これは…剥がして良いんでしたっけ?」 と、看護師に確認して傷口のテープを剥がした。…大丈夫か?! この若いお兄ちゃん先生の名札を見ると『研修医』となっていた。 えぇ~!術後一発目の回診が研修医かよっ!大丈夫か?? お兄ちゃん先生にテープを剥がされた。 「あ!あと、背中の管も抜きましょう。」 なんと!そんな危険部位のことも貴方に任せるのですか?!だ、大丈夫? そーーーっと抜かれる。うぉぉーー何じゃこの感触は!ムズムズ気持ちわりー!! そーーーっと抜いてるもんだから、いつまでもムズムズしてる。 早く抜いちゃってくれぇぇー! 抜き終わってバンドエードをペタッと貼って、病室を出て行った。 お腹のテープ、とっても心配だったので、看護師Aさんにもう一度お腹を見せて 研修医にテープを剥がされたことを言うと 傷口を塞いでいるテープはちゃんと残っているから大丈夫とのことだった。 そのことよりも、午前以来歩いていない事を知られて、 「頑張ってたくさん歩いてくださいね!腸閉塞になっちゃいますよ!」と注意されてしまった。 点滴ぶらさげて歩くの、やっぱり嫌だ。 パジャマ姿でも十分『病人チック』なのに『点滴』がプラスされる事で ますます『病人チック』がアップする。 だから朝の『尿バッグ』は、アタシにとって『ありえない!』のだ! 変なところにこだわっているのは自分でもわかる…でも嫌なものは嫌だ。 …でも、歩かないと…腸閉塞は嫌だ。 歩き出すと朝よりも随分と楽に歩けた。 ベッドから起き上がる時と横になる時、お腹の傷がつれて痛いけど 立ち上がっちゃえばそれほど痛くない。 廊下に出れば尚更『しゃんと』して歩いた。 ナースステーションの前をスタスタ歩いてみせると 「うわ!凄い!もうそんなに歩けるの?昨日手術した人には見えないよ!」 YUKI似の看護師さんに会ってそう言われた。 へへへ。やったー!これで一歩『病人チック』脱出だぁ! …でも、ちょっと無理して歩いてたかも。 部屋に戻ったら一気に疲れた。 トイレにも行ってみる。管をとって初めてのトイレ。 終わる瞬間『ツキーン』とした痛みがあった。 管が入っていた為、この痛みはしょうがないらしい。 出血も若干あった。これも子宮や卵巣をいじっている為しょうがないみたい。 一休みをしていると、お父が来てくれた。 仕事でたまたま近くまで来たから寄ってくれたとのこと。 昨日はお父とダンナの2人で手術の説明を聞いたらしい。 手術で採ったブツを見せられ倒れはしなかったが 『クラクラ』っと、してしまったらしい。 お父は先生が話していた事を一生懸命思い出して話してくれたが 『ブツ』の衝撃と女性特有の名称・機能に知識が乏しかったのとで チンプンカンプンだったようだ。 その後ダンナが来た。 昨日の事を詳しく聞く。 4時半過ぎに手術の説明の為、呼ばれたようだ。 「先生2人とも汗びっしょりだったよ。手術ってのは相当体力消耗するんだナァ」 そうなんだぁ…先生、一所懸命頑張ってくれたんだ。先生、ありがとう。 筋腫大きいのを2個と小さいの1個を採ったということ。 右側の卵巣に嚢腫があったということ。卵巣嚢腫は中の溶液と、 溶液が入っていた袋状のものを卵巣を切開して取り除いたと言うこと。 卵管は右側が完全に塞がっていて、左側は通りが悪いということ。 卵巣嚢腫があったのには驚いた。 でも10年くらい前に卵巣嚢腫の疑いがあると言われたことがあった。 お腹がズキズキ痛くなり病院に行ったら卵巣が7cm位の大きさになってしまった。 でも、一ヵ月後には小さくなってしまったのだ。 自然に治ってしまったっていうか、腫れていた卵巣の腫れが引いたと思っていた。 でもやっぱり卵巣嚢腫だったんだ…。 卵管は覚悟していたので、これはまぁしょうがないねって感じ。 左の卵管がよく判らないから再び検査してみる必要があるということだ。 …『再び検査…』…『卵管造影』…またぁぁ~?! なんで手術中にハッキリさせてくれないんだよぉぉー! アノ検査は出来たらもうやりたくない。 そうこう話しているうちに夕飯の時間になった。 ダンナもお腹が空いたのか今日は早めの帰宅。 術後初めてのご飯。夕飯から食べることができた。 どんなご飯だろう。ま、期待はしてないけど。 運ばれてきたモノをみてびっくり! 重湯は想像していた。重湯のみだと思っていた。 おかずもちゃんと付いていた! でも全部みじん切りになっていた!しかも、かなり細かい状態だ! トマトのサラダも、魚の焼いたヤツも、きゅうりの酢の物も 全部みじん切り。メニューが無かったら何が何だかわからない。 しかもマズイ…マズすぎる。味が薄い上に、このグニャグニャした感触がイヤ! 咀嚼された物のようだ。きゃぁぁぁーー!気持ちわりィィ~! 完食できたのは味噌汁のみだった…。 …はぁ。ガックシ 食後テレビを見ていている時、ふと左腕を見ると 点滴に血が逆流してチューブが真っ赤だ!点滴がいつのまにか終わっていた。 こりゃどう見てもヤバイだろぉ~! ナースコールだな!ポチッと。 するともんの凄い勢いで看護師さんが飛んできた。 「ごめ~~~ん!夜の当番アタシだぁ!忘れてたよ!ゴメンネ!」 …初めて見る看護師さんだ。てか、物凄く元気のイイ方だ… 「おぉー逆血(ぎゃっけつ)しちゃったよ~。おいおい…。 (チューブをグニグニいじりながら) あ!ご飯食べれた?食べれないよねぇ~。重湯ぢゃねぇ~。 ふりかけかけると食べやすいよ。 …新しい点滴をセットして…もうすぐ7時でしょ…よし!2時間で終わらすようにセットしよう! そしたら点滴しないで寝れるようになるから、楽に寝れるよ! あ!そうだ!今夜、バカ殿やるでしょ。アタシあれ好きなんだよねぇ~。じゃ、また後で来るから!」 …す、凄い!機関銃のようだ。一人で喋り捲ってる。久本雅美のような人だ。 でもこういう人、大好き! 2時間後、約束どおりちゃんと来てくれた。 針を抜いてくれるのかと思いきや、そうではなく今日の点滴は『おしまい』だった。 また明日から点滴はあるらしい。甘かったか…。 チューブを丸めて包帯で固定してくれた。 それだけでも随分と楽になった。 今日は長い一日だったなぁ。 明日はどんな一日になるだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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