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カテゴリ:花園三角木馬の宴
決戦の場である砂浜に静かにゴールポストが運び込まれた。
それと一緒に外山水産の生徒達が無秩序に様々な場所から集まって来た・・・ ある者はフェンスを越え、またある者は海から、そして地中からも砂糖に群がる蟻の様に・・・ 心臓がバクバクする。 でも、勝負がサッカーなら俺達には西山が居る。日本代表の!! 振り返るとそこには、雅な風景が・・・ 屏風と傘そして小さな和室に湯気を出す釜・・・ 『茶室だ・・・』(; ̄Д ̄) 優雅に茶をたてる西山。 場にそぐわないその光景に驚く間もなく教官に名を呼ばれ死地に追いやられた。 『西山は出ないのかよ!?』と言う言葉に回りが凍りついた。 西山はゆったりと茶を楽しんでいた。 ピッチに出た11人は絶望的だった・・・ グワァォーッン と銅鑼が鳴り死合が始まった。 一斉にボール目掛け殺到する魑魅魍魎共。 奴らの目がまるで生気が無い事に俺達は怯えた。目の部分に暗い穴がある様で人間を相手にしている気がしない・・・ ビビッている俺達に勝ち目はなかった。 直ぐに1点目が取られ、銅鑼が鳴り響いた。 余りに早い1点。誰もボールを取りにも相手の攻撃を摘む為にチェックにも行っていない。 余りにも情けない。次は止めてやるってばさっ!!(越中詩朗調) センターサークルにボールを置くと再び銅鑼が鳴り轟いた。 また、ゾンビの集団が殺到してきてボールを奪って行った。 中央後方で護っていた俺はボールをドリブルし突進してきた頭に変な模様の入った男に近づいて行った。 まるでパスを出す様子も無い。 ボールを取れるなと思って近づき体を寄せた時に腹に激痛がっ!? 肘がミズオチに減り込んでいた。 息も出来ずにその場に倒れ込んだ。 また銅鑼が鳴り2点目が取られてしまった。 痛みと吐き気。それでも俺は立ち上がった。 口に入った砂を吐き出し顔を上げた。 銅鑼が鳴った。 さっき、俺のやられっぷりを見て皆が完全に腰が引けて負け犬になっている。 またモザイク野郎が突進してくる。汚い手使いやがって・・・ 今度は顎目掛けて肘が飛んで来た。 避けて、膝の皿をスネで蹴り抜いた。 膝を抱えて喚いている。俺は前を向いた所で跳び蹴りを喉元に受け、倒れたところで腹を蹴り上げられ悶絶した。 銅鑼が鳴り、試合再開。 その繰り返し。 その度に支援もないまま立ち上がり、倒れ起き上がり砂を噛んだ。 それでも立ち上がった。こんなに苦しいのに。 寝ていたら、こんな情けない目に会わないのに・・・ 何故か起き上がる。悔しいんだ。悲しいんだ。 そこでボールの模様が見えたところで目が回り暗くなった・・・・ 遠くで、『良い根性である。』と聞こえた気がした。 気じゃないハッキリ聞こえた。 西山だ・・・ そこで意識が途絶えた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007/03/31 05:19:28 PM
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