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エルファの独り言

エルファの独り言

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エルファリア

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ウォロー放浪記 ウォロー1056さん
Jul 7, 2006
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カテゴリ:クロノス小説
とある場所

「ここは?」

 エルファリアはその場所にたどり着くと、開口一番にそう言った。

 不快というわけではないが、自分の体がまるで自分のものでなくなるような、

そんな奇妙な感覚に支配された空間。

「ここはクロノスであってクロノスではない場所。

 クロノスと薄紙一枚隔てた世界……いうなれば精神世界ってやつさ」

 デューイはさらりと言ってのける。

「精神世界……」

 エルファリアはその意味を刻み込もうと、ポツリと反芻して、

はたと思い至った疑問をぶつけてみる。

「! そういえばどうしてわたしをこんなところへ?」

「ん~……まぁいろいろ理由はあるんだが、

 一番でかい理由は俺には相棒がいなくてな……それでエルファリア、

お前に白羽の矢を立てたってワケさ。

 あ~……そんな顔するな、何も引き抜こうってワケじゃねぇ。

 ただ、安心して背中を預けられるヤツじゃねぇと、俺の命がいくつあっても

足りねぇからな」

 その説明にエルファリアは難しい顔をしたまま

「だったらなおのことわたしを選んだ理由が判らないんですけど……

 わたし『D』判定だったんですけど?」と、適正試験での経緯を話す。

「だからこそお前を選んだんだよ。

 知らないだろうから教えておくが、普通適正試験で『全ての判定が』Dなんてことはありえねぇ」

「それって……?」

「まあ最後まで聞けって。

 この世界でのクラスってやつは、その指向性から1つのクラスに判定がついちまうと

『他のクラスには判定がつかない』ようにできてるのさ……

 つまり、全てのクラスに『判定がつくこと自体』ありえないってワケさ。

 ここまではいいか?」

「ええ」

 デューイは確認を取るとそのまま続ける。

「よし。

 で、だ……そんな判定がつくって事は、大きな可能性を秘めてるってことに他ならねぇ。

 俺はそれを買いたいんだよ」

「そういうことですか……

 えっとそれでわたしはどうすれば……?」

 エルファリアの質問にデューイは奇妙な返事をした。

「そーだなぁ……

 まずは『1週間ここで普通に過ごしてろ』」

 そのデューイの返事の意味が判らずに、エルファリアは聞き返した。

「え? 1週間って……期限の日ですよ?」

「あ~……言い忘れてた」

 デューイは頭をぽりぽりとかきながら続ける。

「ここは現実空間と時間の流れが違う。

 向こうの1週間で、こっちの1ヶ月って寸法だ……

 俺の目に狂いがなければ1週間もかからねぇとは思うが」

「買いかぶりすぎですよ」

 思わずエルファリアは苦笑する。

「んなこたぁねぇさ、俺はこー見えても人を見る目は確かなつもりだ。

 とにかく1週間ここで生活してみろ。ここでの感覚を身に着けちまえば何もかも解る」

 エルファリアの声を遮って、デューイは言い放つ。

 こうしてエルファリアの特訓が始まった。



別のとある場所

 一行は途方に暮れていた。

 まさかあれを振りほどくだけの余力が残っていたとは、誰も思いもしなかった。

 辺りをくまなく探したが、結局「それ」を見つけることはできなかった。

 業を煮やして検索範囲を大きく広げたところで、微かに反応があった。

 反応を追おうとしたものの、突然反応が消えてしまったため追跡は不可能になった。

 しかし、一行はその奇妙な反応から、ある結論に至った。

「『それ』は『この世界』とは違う『別の世界』へと渡ったのだ」と……

 一行の1人がキッパリと断言した。

「次に反応が現れたら必ず追える」



精神世界

「どうだ? 何か掴めたか?」

 デューイは意地の悪い笑みを浮かべて、ここ数日繰り返されてきた何度目かの質問をした。

 精神世界に着いてから4日目になる。

「『どうだ?』って聞かれても……

 判ったことといえばこの空間、空気の中に何かが混ざっているような気がするんですけど」

(ほぅ……何も教えてねぇのに、そんだけ判るってのは大したもんだ)

 エルファリアの答えにデューイは感心しながらさらに聞く。

「それがなんなのか判るか?」

 難しい顔をするエルファリア。

「う~ん……

 うまく説明できないんですけど、雰囲気というか……違うなぁ。

 何かの気配? そんな感じです」

 デューイはその答えに満足げに頷いた。

「そんだけ判れば問題ねぇな」

「へ?」

 エルファリアは間の抜けた声を上げる。

「俺が教えたかったことはエルファリア、今お前が言ったような『気配を感じろ』ってことさ。

 それを掴みさえすれば無駄な動きをしなく済む……

 な? 言ったろ、1週間もかからねぇって」

「ホントですね」

「これで訓練の第1関門はクリアだ。

 これから実戦形式でお前を鍛えるからついてこいよ?」

「お手柔らかにお願いしますね」

 苦笑しながらエルファリアはそう答えるのだった。



クロノス城ギルドSSDアジト

「エルちゃん大丈夫かなぁ」

 アルテミスはテーブルに突っ伏してぼやいた。

「またそれか?

 アルは心配しすぎ」

「シュウは心配しなさすぎだよ!

 エルちゃん連れてったのはアイツなんだよ!?」

 苦笑するシュウにアルテミスは怒りをあらわにする。

「落ち着きなよアルさん。

 デューイも何か考えがあってのことだろうから無茶はしないはずだよ」

 悲魔がそう言ったことで少しは落ち着いたものの、まだ納得しきれていないようで、

「それにしたって連絡ひとつしないなんてどーゆーことよ」と、頬を膨らませる。

「『連絡しろ』って念を押しても、デューイには効き目ないからなぁ……

 信じて待つしかないだろ」

 シュウの言うことはもっともだが、それでも不信は拭いきれず、

アルテミスは頬を膨らませたままぼやく。

「戻ってきたとき、エルちゃんにもしものことがあったら絶対許さないから」

 ふたりにそれが聞こえてしまって、お互い顔を見合わせて肩をすくめるのだった。



精神世界

 精神世界で29日目。

 その日、数合目の剣を合わせたデューイは、彼女の上達ぶりに舌を巻いていた。

(やっぱり俺の目に狂いはなかったな……

 こいつは想像通り……いや、想像以上だ)

 考えことをしていたせいか、噛み合っていた剣の力が緩んだところに突然ひねりを入れられる。

(!? しまっ──)

 キィンッ!

 甲高い音と共に持っていた剣が弾き飛ばされて、気がつくと首筋に冷たい感触。

 そしてエルファリアはデューイを見据えたまま、落ちてきた剣を左手でダイレクトにキャッチした。

「……お見事」

「試合中に考え事ですか?」

 エルファリアはイタズラっぽく笑うのだった。



「ふぅ……これで教えることは全部教えた。

 明日1日は体を休めるか……」



 精神世界30日目。

 ゆっくりとくつろぐエルファリアはふと思ったことを質問する。

「そう言えばここに来たとき言ってましたよね?

『わたしだからこそ選んだんだ』って。

 あれってどういう意味なんですか?」

「あー、あれか……

 俺には相棒がいねぇってのは話したな?」

 エルファリアが無言で頷く。

「じゃあ素朴な疑問だが『なぜ相棒がいねぇのか』って話になってくる。

 それはな……俺の身体能力が絡んでるからなんだよ」

「身体能力?」

 そう聞き返すと、

「あぁ。

 説明するのはめんどいな……

 エル、お前ちょっとそこに立って構えてみな」

 エルファリアは言われるままに剣を抜いた。

「いいか、なにがあっても絶対動くなよ……

 数ミリでも動けば命はないと思え」

 デューイはそう言うとわずかに腰を落とし、鞘に収められた剣を左手で支えて

右手を柄にのせた。

「念を押して言うが絶対動くなよ、判ったな」

「……はい」

 コクリと喉がなる。

 次の瞬間、一陣の風と共に戦慄が駆け抜ける。

チンッ!

と、鍔が鳴った。

 気がつくと相対していたはずのデューイがエルファリアの後ろにいた。

「一体なにを?……痛っ!」

 左の頬がほんの僅かだが、浅く斬れていた。

「これが俺の能力ってわけだ。

 これのお陰で食っていけるんだが、仲間を危険に晒すことも多くてな……

 こんな『異端』な俺が相棒を作るわけにもいかなくてな」

 デューイは自嘲的な笑みを浮かべて続ける。

「そんなときお前の事を聞いた」

「わたしの?」

「聞いたと言うより、頼まれたんだよ。

 お前のことを少し面倒見てやってくれってヘガーからな。

 ま、そんなワケだ。

 っと……これは悲魔たちにはオフレコにしといてくれ」

「はぁ……」

とエルファリアは曖昧に返した。

「よし。そろそろ戻るか」

 そう言ってデューイは来たときと同じようにナイフを一閃させた。


-to be Continued-





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Last updated  Jul 7, 2006 06:47:13 PM
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