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カテゴリ:演劇
再演は初演を超えられない。
そう思っていました。 私の経験上、大体がっかりするものです。 役者は慣れきっちゃってるし、とくに演出が変わるものでもなく、 変わっていたら変わっていたで前の方がよかったと思ってしまう。 挑戦するという意気込みがこちらに届かないのです。 でも、今回の「ムサシ」は海外で上演するにあたっての条件などから時間が短くなり、 さらに主役の1人である小次郎が、小栗くんから勝地くんに替わっている。 小栗くんと勝地くんでは持ち味が全く違う。 「犬顔家の一族の陰謀」「カリギュラ」「蜉蝣峠」で勝地くんの芝居を観て その爽やかさ・明るさと渇舌の良さが印象に残っていた。 (ドラマ「未来講師めぐる」でのコミカルな演技も好き♪) いつか竜也くんと共演してくれないかなあ~と期待していたら、思いがけず早く実現して嬉しい限り。 勝地小次郎は、爽やかさや明るさは封印。 小汚く、髭さえ生やした容貌は、武蔵憎しで過ごした2000日を端的に表現。 空気はいつも張り詰めていて、武蔵とのピリピリとした視線の絡み合いも、終盤へ上手く繋がっていてとても良かった。 たまに段取りっぽくなるところも、日が経てば解消されるだろうし、さらに間なども良くなるはず。 今回の「ムサシ」は海外招聘を受けての新バージョン。 台詞は初演と変わっておらず(カットはされていたが)、とくに動き・振りも大きく変更はないのに客席に与える印象がこれだけ変わるのは、やはり演出の功績でしょう。 蜷川さんの力量を改めて感じ入った。 個人的に気に入っていた台詞のカットもあり、残念ではあるけれど、 武蔵VS小次郎の関係が際立ってこそ、井上先生のメッセージもさらに力強く観客の心に届く。 このロンドン・NYバージョンはぜひこれまで舞台を観たことがない人、学生さんなど若い人たちに観てもらいたいと強く思います。 上質な芝居は得るものが多いはず。 6/10(木)まで。@さいたま芸術劇場 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 17, 2010 12:56:27 AM
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