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カテゴリ:演劇
10/20(土)13:00@新国立劇場 中劇場
14列(4列目)下手側 「リチャード三世」3回目。前楽にして見納めです。 8日、11日、20日と3回観たわけだが、やはり見るたびに役者の演技も奥深くなり、油をさしたように潤滑に芝居が進むようになっています。 私自身は11日が一番しっくり、感動できたのですが。 舞台美術がとてもシンプルなのに反して、照明がかなり凝っています。 リチャードが通る道がまるでレッドカーペットがくるくると敷かれるように伸びたり、国旗のように交差したり。 今日は下手側だったので、前回の上手側とはまた違う景色が見えるのが面白い。 下手には錆びた王座(ヘンリー六世とマーガレットの椅子)、ヘンリー六世の遺体、ヘイスティングス卿の首が置かれています。 そこを通るたびに驚いたり顔をしかめたり。 上手席からは見えない表情をついつい目で追ってしまった。 見るたびに魅了されるのはバッキンガム公。 あんな腹心の部下を切るなんて、リチャードも焦ってしまったのね~。忠義の固まりだったのにバッサリと見放されたバッキンガム公の恨みはとても強かった(呪いの場面)。 上から覆いかぶさるように呪っていた。 バッキンガムが処刑される前の場面はとても見応えがあるのですが、ついつい後ろから登場する、まだ照明が当たっていないリッチモンドに目が行ってしまいます。 実は浦井リッチモンドの一番の見せ場は、この登場シーンだと思っています。 新しい時代の登場を、一瞬で見せる。 その姿に説得力がある。 ただ、その後の訓示の長台詞は感情たっぷりに話すものの、台詞が劇場の緊張感あふれる空気に負けてしまって、スコーンと客席に届かない。←私見です そこが少々残念でした。 ラストの王冠に白バラと紅バラをクロスする演出はとても美しく詩的。 (たくさんの血が流れた故の結末だけれど) この「リチャード三世」は、3年前の「ヘンリー六世三部作」(2009年10月)があってこその作品。 だから観ていない私には気づかない箇所がたくさんあると思います。 こんなに観なかったことを後悔する作品もない… ま、そのときは浦井くんのファンではなかったし、3部作の長さにおののいたことも原因の1つ。 長さに負けず観に行こうと決めても、きっとそれは蜷川版「ヘンリー六世」だったでしょう(2010年3月)。 仕方ないですね(^_^;) 岡本リチャードは以前観た、市村さんや古田さんのような極悪で重厚な役作り(古田さんは重厚ではなかったけど)とは違い、どこか夢みがちで駄々っ子のよう。 華奢な体格のせいもあるかもしれないが、他の演出とは違う憐みのようなものを感じるリチャードでした。 シェイクスピア作品は一般の演劇作品とは違い、ストーリーのネタバレとかは気にせず事前に本を読んだり調べたりするようにしています。 今回は小田島先生の講座に参加したり、原作はもちろん、英国史などもざっと読んでから観劇に臨みました。 解釈や演出を比較するのが、シェイクスピア作品観劇の楽しみの1つなんですよね。 ☆ロビーに置かれていた美術模型。黒VS赤 ヘンリー六世 リチャード三世 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
October 20, 2012 10:47:21 PM
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