今をさかのぼること20年前。「マトリックス」というサラウンド方法が流行ったことがあります。流行らせたのはもちろん故長岡鉄男氏です。
当時も今も長岡派のワタシは、FMfan誌に掲載された「スーパースワン」を作成し、その対となるサラウンドスピーカー「F-111 クレーン」を組み立てました。
そしてそれらは引越し、AE2Signatureの購入とともに、密やかに引退していったのです。。。
実家には、スワンの対になる「F-111 クレーン」が静かに復活の時を待っていました。使っているユニットはオリジナルのフォステクスFE106Σと異なり、スーパースワンに合わせたFE108Super。今では経年劣化は免れず、コーン紙は変色が進んでいますし、一部しわも見られますが、エッジは問題なさそうです。
これなら軽いし、底面積は200×200ですので、自由にリアスピーカーの位置を検討することができます。
クレーンは、96dBとも言われた高能率のスーパースワン用のサラウンドスピーカーですから、Rushmore用にも使いやすい、かも。高能率スピーカーの反応の良さには、やはり何かがあるんですよ。
実家に帰り、早速梱包し、茨城に向けて発送だ!
長岡氏はその著書「最新スピーカークラフト(1) スワンaとその仲間」(音楽之友社)の中で、サラウンドスピーカーの要件をこう述べています。
筆者の考えるリアスピーカーの条件
- できればフロントと同じユニットを使うこと。
- なるべく高い位置に設置できること。
- 壁掛けとか天吊りでなく、自由に設置場所を選べるものがベスト。
- 占有床面積はできるだけ小さいこと。
- レンジは狭くてもよいが中域の質がよいこと。
- ふらつきのないこと。
一般にマトリックス方式のリアスピーカーに低音はないので、今のDTSやDOLBYとは異なります。だからこそ(昨日の話と矛盾する)低音の出る大きなスピーカーが欲しいと書いたのですが、非常に参考になる意見だな~。(1)は無理だとしても、あとはどうにかなることばかりだ。
現在主流となっているサラウンドは、スピーカーで怨憎を置き換える方式なので、センター定位用にセンター・スピーカー、リア定位用にリア・スピーカー、サイド定位用にサイド・スピーカー、上方定位用に天吊りスピーカー、無数のスピーカーで取り囲む必要がある。これも趣味としては結構だが、音質、音場という点ではかなり低級なものといわざるをえない。
センタースピーカーを最後まで否定した長岡氏らしいコメントです。マルチチャンネルをやり始めて、またあらためて氏の著作を読み返していますが、非常にためになるんだなぁ。