Esoteric UX-1Limitedを買ってよかったな、と思いますねぇ。
なんたって、ストレスフリーな操作感。ディスクを選ばない利便性。ステレオ/マルチの切り替えの手軽さというのは、「音がどう」という以前の、家庭で使う「製品」としての要件を満たしているのですから。音さえ良ければ何でもいいという考えは全く持っていないのですよ。その前に満たすものがあって、初めて購入に至るわけ。
そのUX-1LimitedのACケーブルにはオーグライン Solid Augline PW-ACHを使っています。1.2mm径のオーグ合金を三つ編みにした構造です。
なぜオーグラインなのか、もちろん理由はあります。
今、いろいろなケーブルが手元にありますけど、純正ペアの一つ?であるEsoteric 8N-PC8100とUX-1Limitedの組み合わせは、正しくUX-1の再生音の欠点を埋めるような、精度はあるけど音楽性の薄いイメージを補完するような、そんな再生音です。妻の言葉を借りれば「音数がすごい増えて余韻が減る」とのこと。
NBS Statement Extraだともう少し艶やかに、若干の肉を付けたイメージ。言い換えれば濃い口。緻密さとゴージャス感を合わせ持つ、一番マニアウケしそうな音ですねぇ。たぶん演出過剰気味なんですけど、それが情感に訴える一因にもなっている感じです。
オーグライン Solid Augline PW-ACHはそういう欠点補完系ではなく、UX-1Limitedの長所を素直に伸ばしたように感じたので、採用しました。銀線なりの音色の光沢感とその裏の鋭さ、腰の強さ。繊細で、解像度高く、踏み込みが深い、それらに「磨きをかける」という言葉がふさわしい。UX-1Limitedも購入してまだ2ヶ月弱ですから、その欠点に目を向けて対策する時期でもないと思いますし、まずは長所を伸ばすのが先かと。長所を「磨いた先」には違う世界が開けるかもしれないですから。
MIT Magnum AC2も実はこちら寄り。ただUX-1Limitedとの組み合わせだと、意図しない方向に助長され、淡泊で素っ気ない感じが強い(分析傾向が強く、音と音の間がやや見える)。もっともその適度な素っ気なさがハイエンド・オーディオには必要だったりするのですが。
で、話変わって。
先日ジローさんがいらしたときに、そのオーグライン Solid Augline PW-ACHが使っている松下電工のプラグWE5018に散々ダメ出しをしていかれました。
「ボクも試したんだ。こんなの使っているからダメなんだ。インレットも安物だ。プラグ代えてみなさい。あと今ケーブルNBSにして。ほら良くなった」。
まぁそんな感じです。
NBSが良いというのは、UX-1Limitedの欠点が薄まるのがお好みだからでしょう。たまにしか来ない客的には正解。でも、ワタシは借り物で人を迎える趣味はないので、これはやむを得ません。
ワタシはプラグに偏見はありませんし、オーグラインのプラグが松下電工製でもいいんですけど、ちょっと「?」とは思ってました。音への疑問ではなく「これ松下電工のプラグだっけ?」というもっとベーシックなものです。。。
そんな疑問はオーグラインの発売元の武藤製作所・武藤さんを久々に訪問して、氷塊しました。
あれはナイフ部をオーグ合金に変更してあるので、外見だけがナショナル・プラグ(WE5018)で、中身は全くの別物だったのです。ちなみにIECコネクターのブレード部もオーグ合金に変更済みだとか。つまりはプラグからケーブルまで丸ごとオーグライン^^ PSE問題で今は売られていないSolid Augline PW-ACHですから、これは大事にしなければなりません。
どうやら、見た目で損したらしい。
それにワタシの腕不足でSolid Aug-Lineの実力を出させ切れなかったようで、申し訳ない感じ。存在能力は極めて高いのにねぇ。
貴金属も値上がりしてますからね。このSolid Aug-Lineだって今仮に売ったら、2004年当時の定価(80,000円/m)では購入できないでしょう。飾らないからこの値段だったと思うのですが、Solid Aug-Lineの外観に優美なジャケットをまとわせて、ちょっと偉そうな能書きと、海外の箔をつけて売ったら、音的には200,000円/本でいけるはず(毒 我が家に来る人の多くは“海外製高額ケーブルほど崇拝度が上がる”傾向にあるので、見た目と値段だけで8割は騙せると思うなぁ。