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May 9, 2023
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齢90歳近い父親の耳が遠くなってきて、数年前から周りに支障が出てている。
これ厄介なのは当の本人は聞こえていない自覚がないこと。老いは徐々に徐々に進行するからこれはやむを得ないのかもしれない。昔は速く走れても今は走れないのに気づかないのと同じ、それの耳バージョンなのだ。もっとも「耳が遠い」と家族から言われて認めたくないのもあるんだろう。昭和一桁生まれは基本的に俺様でプライド高いから。教育や環境は恐ろしい。

聞こえないとなにせ会話が成立しない。繰り返すが当人は聞こえない自覚がないから、話のすれ違いは家族が悪くなってしまう。
それでなくとも加齢で通じない話が益々通じない。

さすがに耳は治らないだろうから、補聴器のお世話になってほしい。

弟が尽力して補聴器の専門店に連れて行ったのが、去年の春のこと。それとて年単位の説得の成果だ。
ただ、家族的には"耳が遠くなった"だが、補聴器店的には老人性難聴なのかそれとも他の疾患なのか専門医の診断がいるという。
ここからまた数か月。老人あるある状態で進まない。困るなー、すまん弟。

めでたくでもないが「声は聞こえてません」という診断がおりて、ようやっと父親も納得した。俺様で言うことは大きいがやることは小さく権威に弱いというのも昭和一桁の特徴とみた。

補聴器もピンキリで、値段の違いが直接聞こえ方の違いかどうかはわからないが、高額品はカスタムが利くらしい。後悔はしたくない。高い! でも何度も作りに来るわけがない。とにかく上級クラスを頼んだ。
援助金や補助金があったかもしれないが、とにかくお値段両耳で70万円は弟が立て替えた。


こと健康においては、父親が通る道は自分が通る道かもしれない。そうすると自分も20年30年先は難聴生活が待っている可能性は低くはない。もうオーディオどころではない、かもしれないしそうでもないかもしれない。上記の通り「老いは徐々に徐々に進行する」ため、身体の慣れの期間も長いから。現に父親も大好きなTVは割と通常の音量で見ている。

以前ステレオサウンド誌で補聴器の特集があった。調べたら2018年の207号で、見落としていないければこれが一番直近の補聴器記事だと思う。オーディオ人口も高齢化の一途で、耳は悪くはなっても良くはならない。メガネをかけても映像は楽しめるように、補聴器を付けても音楽/オーディオは楽しめる未来があるかもしれない。5年前の雑誌記事にはすでに自動補正とかIoTとか記されているし。





ただ現実はそう甘くもなかったようだ。父の作った補聴器はトイレの水流音が非常に大きく聞こえたり、はずれやすかったり、何度も調整することとなった(でもそういうものらしい)。あとは常時着けるよう習慣化してくれれば。
つとに祈る。これで母と父の会話が成立するように。それでも今までも会話できていたと言い張るが。


うまくいかないのがまた人生。
半年経ったころ、冴えてはいるけど身体は要支援の母親から泣きが入った。「お父さんが補聴器を片方無くした。どこかにある、そもそも補聴器なしで生活できると言ってきかない」。そういえば外れやすいと言っていたな。当然のように警察にも届けていないようだ(確かにこのコロナ禍で、外で無くした可能性も低いけど)。自分の非は決して認めず困ったことは他人任せで反論の声だけでかいのも昭和一桁男の特徴だ。

弟曰く「片耳分紛失保障」はあるとのこと。どこかのワイヤレス・インナーイヤー・イヤホンみたいだが、単価が全然違う。いくら老人の行動範囲が広くはないとはいえ、紛失の危険性は若者の比ではなかろう。両方無くす人の方が多い気がする。また、探す行動力も気力も視力も体力もない。そう考えると補聴器メーカー、ぼろい商売なのか(悪

(お願い:オーディオイヤホン・ヘッドホンメーカー様 補聴器業界に参入してくださいませ。老人、お金は持ってます)


で2023年現在、その片耳は見つからず、まだ作りにも行けてもいない。35万円分はいずこへ。
すっかり補聴器に興味を失った父親を再稼働するとなると、周囲の体力も気力も時間も削られるし、上記の通り母親の要支援の方が大変ということもある。免許を返納して車ごと売却したのも(自分達が乗せていくこともできないから)、足腰弱った親の行動面で微妙に効いている。

基本的に全員に訪れる年老いた親の問題は根深く、ドラマのようなきれいごとでは全く済まない。老々介護状態でもある。自分も年老いた親側に片足突っ込んだ状態だから、色々なことがリアルなのだ。





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Last updated  May 9, 2023 09:00:10 PM


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