1980年代後半、科学系各社がバイオ、アグリ、医薬に参入した。それでなくとも時代は多角化経営だったのだ。景気が良かったからともいえるし、多角化で収益の切り口を多くすることが会社を成長させると信じられていた。外資を含めて企業買収は盛んで、国内雇用も極めて順調だった。
が、そういう時代は20年続かなかった。不採算部門は必ず生まれる。多くの企業の新規参入部門は競争に敗れ、会社経営を逆に圧迫し、本道ではない部門を切り捨ててきたのだ。あっという間に収益の期待できる分野への特化の世の中になった。
でかい話から急に個人の小さい話に移る。
音楽を聴くにしても今やルートが山のようにある。
我が家で可能な入口にしても(スペックはともかく)CD、DVD、SACD、BD、サブスク(AMHD、Tidal)、Analog、YouTube、FM/Radiko、etc.。Analogにはアームが3本、ディスクはOppoのユニバーサルプレーヤー、ネットワークはSonoreのストリーマー、中華Bluetooth機もある。ネットワークアプリもroon readyもMPD/DLNA Rendererもあるし。スピーカーだけでオーディオルームに3系統(Pass Rushmore、AE2 Singature、自作モノラルバックロードホーン)だから、もはや再生の組み合わせは無限大といえる。
マニアは新しい前段や方式は可能な限り試したい、多角化したい。
何が言いたいかというと、願望とはうらはらに。すべての組み合わせへの全力投球は時間的にも金額的にできぬ。
これだけ広げると、音の不採算部門はどうしても出てきてしまう。
不採算は切る方が効率的だ。が、使い勝手という利便性と使用欲が特化を許さない。
コロナ禍で在宅日数が増え、スピーカーで音楽を聴く時間も増えた。ではそこで我が家の旗艦であるPass Rushmore+CH Precision C1が最も頻回に登場したかというと、結果的にはしなかった。時間が増えた分はAE2 Signature+Pass Aleph3+SONY TA-DA5600ESの2ndシステムに回った印象だ。短時間聴きだし、何より家族も家にいるので音量も考えればニアフィールドが向いていたからだと思う。購入25年弱のAE2 SignatureにCOVID19が光を当てるとは想像もできなかった。
使用機会が増えると力も入るので、どんどん良くなる。愛着がさらに増す。メイン音源のAMHDとYouTubeも便利なので、悪いところがない。
こちらはかかった金額比だとRushmore+C1組に圧勝するから、高額組が不採算になりかねない。マニア的にはそれも若干不本意で、少々テコ入れを考えたいところ。マニア心として、高い機器を使いたい願望がやはりあるから。
(機器の値段ではなく、音は一システムに絞って愛情持って育てた方がよくなるとは思っている。)