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「Life」を求めて

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2008.05.20
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玄関を出ると今朝は雨だ。
湿っぽく膨らんだ空気の中に降る強い雨だ。まっすぐに地面を叩き、煙る雨。
なぜだか、東南アジアに降るスコールもきっとこんな感じなのだろうと想像して少し楽しくなった。

1日の中で、本当に1人になれる時間というのは、今の僕にとって朝の通勤時間かもしれない。
生活から、もし孤独になれる時間が完全に無くなってしまったなら、生活はきっと破綻してしまうのではないか。
日々忙しくも楽しく賑やかで幸せな家庭生活において、ふとそんな不安を感じることがある。

きっとそれは家族に対してのイマジネーションを持てなくなるからなのかもしれない。
例えばそれは「感謝」とか、「配慮」とか、あるいは「祈り」いう言葉に置き換えてもよい。
生活に於ける孤独という時間は、きっと人の創造力を育むのだろう。

「寒いことが人の気持ちを暖める。 離れていることが、人と人とを近づける。」
とても大好きなある本の中で見つけたそんな逆説的な言葉をふと思い出した。

年明けから先月まで椎間板ヘルニアに苦しみ、電車でたった3駅20分の時間も痛みで立ってられず会社まで自動車通勤をし、歩かない生活を余儀なくされていた。
徐々に腰もよくなり、今は衰えた足腰の筋骨が歩行の感触を確かめるようにして、駅まで通っている。

自動車の走る道をできる限り避け、住宅街の、とりわけ緑が多く目に入ってくる道を歩いている。
天気良く新緑が映える朝日の道も良いが、雨に煙るような朝の道もいいなとも思った。
8時過ぎにはいつも駅に着くが8:13の電車を駅のホームのベンチで本を読みながらやり過ごし、次の8:21の電車に乗ることにしている。
朝の慌しい駅のホーム、そのたった8分間に読む本ほど集中して読める時間は無い。
ちなみに電車に乗ってしまうと、本も開けなくなるくらいのすし詰め状態である。。。。

電車を降り、ビル風吹き荒ぶ会社までの道のりを傘を壊されながら何とかたどり着いた。
これが太平洋を北上する台風4号の影響で100mmの雨と強風らしい。
会社に着き自分のデスクに着くと、そんな朝の時間とはまったく対照的に異なる別の時間が流れ始める。。。

孤独を育むには、旅に出るのが一番なのだろうと思う。
出会ったことのない人に出会い、見たことのない自然に触れ、時にふと故郷の家族の顔を想像してみたりする。自分が何者でどこに行くのかを、自ら定義していく。「孤独」ということには、それをさせる力がある。
家庭を持ち、日々の豊かな生活の中で、対照的に強く意識されるのはそんなことだ。

ほんの小さな自然と、ほんのわずかな読書、歩行する感触。
これが僕の一時間ぽっちの小さな朝の旅なのである。





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Last updated  2008.05.21 00:29:18
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