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カテゴリ:ドラマ・バラエティ・報道
4時間スペシャルの第1部も、とりあえず観た。
実話を「再現ドラマ」に編集して涙を誘う企画は個人的に好きでない。 テレビというフィルタを通すと、 たとえ実話を元にしていても編集という虚構が介入するからだ。 それがドラマ仕立てならば放送作家の筆も入る。 事実を伝えたいなら単純に取材形式のみにすればいいと思う。 「涙そうそう」だけに、 その企画意図をくめば、涙を誘う演出があって当然ではあるが・・・。 観たかったのは第2部の方、正真正銘のドラマ 「広島・昭和20年8月6日」インターナショナル特別編 日本民放連最優秀賞受賞。 モンテカルロテレビ祭ノミネート、アジアの作品として唯一。 今回は、そのノミネートされたインターナショナル特別編。 (たぶんオリジナルより短縮されたヴァージョン) 出演:松たか子、加藤あい、長澤まさみ、 国分太一、玉山鉄二、冨浦智嗣、西田敏行、他 このドラマ、実は去年も観たのだが、 その時の印象があまりにも濃く、もう一度観たかった作品。 評すと「圧巻」その一言につきる。 前述、第1部の「事実に演出を加える方法」と 第2部の「フィクションを現実に近づける方法」とでは、 同じ「現実を描写しようとする」目的でも全く方向性が異なる。 この「広島」の場合、 リアルに描こうとする努力が並みのドラマと違っていた。 昨年放送前に観た「王様のブランチ」等でのメイキングによれば、 大掛かりなオープンセットが このスペシャルドラマのために組まれた。 戦時中の街角(背景に産業奨励館を臨む主人公の旅館周辺)、 象徴となる、原寸大に近い原爆ドーム(産業奨励館)外観。 その奨励館前に流れる川は全てCG合成で加えられている。 爆撃機による原爆投下シーンもCGで再現。 爆風が列車を襲うシーンまで撮影された。 さらに路面電車の走る街路や駅のシーンは、中国ロケ。 通常の日本映画より、はるかに手が込んだ作品に仕上がっている。 ストーリーは原爆投下の瞬間へ向け、 様々に紡がれる三姉妹の人間模様が描かれている。 いずれ起きることが周知であるゆえ、冒頭から胸が熱くなった。 例えば、映画「タイタニック」で、 出航前のシーンに抱く観客心理と似ている。 しかしこのドラマの場合、半端な救いなど用意されていない。 一発の爆弾が「全て」を焼き尽くしてしまう。 純粋に戦争の悲惨さを描いた、重厚なリアリティ・・・。 髪を短く刈って臨んだ国分太一による入魂の演技が物語を締めた。 黒い雨に打たれながら泣き崩れるシーンが心に焼き付いて離れない。 このドラマが制作目的を見事に達した証である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.09.30 12:04:06
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