私の実家は、祖父母が衣料品のお店をやっていました。
父は、教師になったため、嫁にきた母が、祖父母が亡くなってからも、ずっと後を継いでやっていました。
けれど、私と同じ位の年数がたって、だいぶ古くなったので、昨年11月に店もやめて、家も取り壊すことになったのです。
そういうわけで、私は、サラリーマン家庭でもあり、商売家でもある家に育ったのです。
それが、何もやったことのない農家に嫁いだのですから、縁とは、不思議なものです。
子供の頃、土曜日の午後は、学校から帰ってきた父の車で、仕入れのための問屋さんにくっついて行ってました。
なので、子供の頃から、洋服は、問屋さんで買っていました。
今もって、ちょっと必要な洋品は、実家からもらってきていたので、それがなくなるのは、ちょっと困るし、少し寂しいものがあります。
店なので、学校から帰っても必ず家に誰かいるというのは、幸せなことだったのかもしれません。
もう1軒、私が大学の頃に建てた家が少し離れたところにあります。
本当であれば、私がお婿さんをもらってすむ予定の家でした。
少しだけ、私が一人で住んでいた時期がありました。
父は、もう8年ほど前に亡くなっていますので、その家に母と妹家族が住んでいます。
そして、私が育った店は、今はもう跡形のない更地になってしまいました。
でも、寂しいというよりも、ほっとした気持ちが強いです。
店は、年中休みがなかったので、どんなときでも、お客さんがくると、立っていかなければなりません。
横になっていても、煮物を作っていても、洗濯ものをほしていても、呼ばれるとでなければならないのです。落ち着いて、のんびりはできないのです。
実家に帰ってもゆっくり話しができないときもあります。
これから、母には、ゆっくり、のんびりして欲しいです。
でも、気がつきすぎる性格で、先回りしてものごとをやる人だから、なかなかそうはいかないだろうな。
私も引越しを手伝ったのですが、2軒の荷物を1軒にしたので、物がいまだにあふれていて、片づけがなかなか終わらないそうです。
当分、ゆっくりはできなさそうです。
でも、店をやっているときと違って自分のペースでできるので、余裕があるのではないかな。私も実家に遊びにいっても、落ち着いてゆっくりできるしね。
本当に長い間、ご苦労様でした。