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カテゴリ:離婚と家庭内暴力
週末に図書館通いをして,仕事とあまり関係ない本を乱読していたら,どんどん気持ちが明るくなって楽しい時間が過ごせていました。本は,買うだけではなくて,読まないとダメですね。知識の面で,本を持っていないと不安になりがちなので,ついチラシが届くと買ってしまっていましたが,買えば良いというものではないことがよくわかりました。ネットで目についた本も沢山買っていましたが,世の中どうも「タイトルだけが良い本」というのが多くなっているようで,読んでみて残念な気持ちになることも多くなってきていると思います。
その点,図書館で読んでみるのは私にとっては良いコストダウンです。雑誌も図書館に入っているものは基本的に図書館で読めばいいので,安心して定期購読をカットできました。裁判所でも使っているといわれている判例検索システムが市の図書館に入っているなんてのもちょっと驚きです。このシステム代も経費削減しちゃおうかしら。読む本が増えれば買う本が減るというなんだか不思議な現象です。 そんなことを考えながら図書館に行っていたら,読むのに夢中になって書くのがどうでも良くなっていたのでした。ああそうだった,こういう読んでばっかりいた時期がこれまでも何回かあったよな,と思い出しました。毎日の仕事に埋没してしまうと,目先の仕事をこなすことで精いっぱいで,新しい情報を得ようとすることまで意識がまわらなくなってしまいます。その結果,気づいたときには時代から大きく取り残されてしまっているわけです。社会の変化のスピードは,思ったよりも早くて,それに追いついていくことも大変な時代になっているようです。ずいぶんと大きな気づきになりました。 それに,この乱読のおかげで,長年のトラウマが解消したかもしれないです。今まで気づきませんでしたが,どうも私にはトラウマがあったようなのです。 私には,実家に戻ってきてからずっと胸骨のあたりに何かが引っかかっているような弱い痛みがありました。それが呼吸を邪魔しているような感じで,息を吸っても吸っても酸素が足りないような状態を感じていました。別に病気と言うほどのことでもないし,人間ドックで「息が入って来ない感じ」と説明しても,「肺活量も多いし,肺に問題はなさそうです」と言われるくらいだったのです。 その慢性的な弱い痛みが,ある本を読んで「これだ!」と思って腑に落ちたら,すっと消えてしまいました。そうしたら,息が楽にできて,仕事で不安を感じるレベルが大きく変わったのです。 私には,どうして自分が離婚することになったのか,実はよく納得できていない部分がありました。納得も何も今となっては古典的な暴力もあるDV事例でした。でも,どうしてあんな暴力を受けることになったのか,夫が何に対して怒り,何を考えていたのかずっとわかりませんでした。それを正面から考えるのはしんどいけれど,離婚事件を担当する弁護士としては,DVの相談を受ける時にはいやが上にも自分の場合との比較で事実を推し量ろうとするので,自分の被害の記憶がいつまでも風化しないわけで,どうもかなり辛かったようです。「ようです」と他人事みたいに言うのは,あまり意識していなかったから。私は無意識に事実と感情を分け,辛い気持ちに厳重に蓋をして考えないようにしていたのではないかと思います。それが胸の弱い痛みのようになっていたのかもしれません。 読んだ本は,「愛着障害」という精神科医の書いた本です。そこには,子どもがごく幼いころの母親の監護状況が人格形成に大きな影響を与えることなどが書かれていたのです。弁護士の仕事をしている中で,「愛されて育った人とそうでない人とでは,理解し合えない決定的な何かがある」ような印象を経験上感じていました。その理由がはっきりと理解できたのです。そのいくつかの類型の中に,私のトラウマ解消の大きなヒントがあって,「これが原因でわかりあえなかったんだ」と思い至ったのです。でも,理由がわかれば,その理由に立ち戻って相手を理解することはできるはずだとも思いました。すごい難しそうだけれども,少なくとも恐怖を感じる問題ではない,ということが腑に落ちて,痛みがなくなったのではないかと思います。少なくとも,当時の私にはどうにもならなかったし,無理してやりなおすことが双方の幸せにつながったとも思えないと感じたのです。 でも,たかがそんなことで,痛みが全く消えてしまうなんてことがあるのでしょうか。不思議ですが,呼吸が楽になったら眠りが深くなり,肌の調子も良くなっています。血圧の下がかなり下がって,若いころと同じような数値になりました。110と60とか。別居から20年かかって,ようやく離婚のトラウマ(呪縛?)から解放されたということなのでしょうか?まだよくわかりません。 でも,もし,そういうことが起こり得るのであれば,世の中には怖い記憶で不安を強く感じながら生きている人は大勢いるはず。それに,子どもが愛着障害にならないように,母親をしっかり支えてあげる仕組みは将来の国を支える優先度1位の重要さであることは間違いないでしょう。シックマザーの問題はもっと大きく取り上げられて良いはずです。 さて,こんなことを書いている場合ではないのです。油断したら仕事が溜まってしまって,先週から図書館に行けなくなってしまったのでした。がんばって仕事しなきゃ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2023年06月18日 13時48分05秒
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