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人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ 病には勝てない かっての暴れん坊 「先輩、先輩!!」 ……という声に振り向くと、側を流れている小川の対岸の 小さな家の縁側で一人の老人が手を振っている。 ……はて、……誰?? 「今から会社ですか……?」 朝一番で歯医者に行って、遅れて出勤の途中……、 駅まで急いでいた時の事だ。 2、3歩寄って良く見ると……どうも後輩の中田のようだ。 「中田か……?」 「はい、ご無沙汰しております」 小中学校の後輩だ。幼馴染的な存在でもある……。 「何してるんだ?そんな所で」 えらく老け込んで、後輩どころか随分年上に見える。 彼の兄貴とは同期だったが……、 確か彼は5歳位は年下のはずだ。 「日向ぼっこですよ……。ここ自分の家です……」 「えっ?お前……団地に大きな家を建ててなかったか?」 「……売っぱらっちゃって、女房子供にくれちゃいましたよ」 「どうしたんだ……?」 「脳梗塞で2回も倒れましてね……。 女房子供にも捨てられました。ははははっ……」 「それはひどいな~……病人を見捨てるなんて……」 「はははっ、その10倍も悪さしてきましたから……、 自業自得です。はははっ……」 「今、どうしているんだ?……生活」 「生活保護貰ってます。交通費が馬鹿にならんから 病院の側に間借りしました……」 なるほど、確かに…………病院の裏だ。(^-^) 「体……不自由なのか?」 「はい、左手と左足が利きません。 歩くのも杖に頼ってボチボチです。 先輩、相変わらず元気いいですねぇ。 歩く姿が若いですよ……」 「いや~……すまんな~……」 (……何で謝ってるのやら…………(^_^;)) 「先輩、今度飲みに行きましょうよ。久しぶりに……」 「酒…………体に悪いんじゃないか……」 「少しなら大丈夫ですよ……大丈夫」 「お前と飲むのは止めとこう。 お前は酔うと暴れるからな……。 ははははっ…………冗談、冗談……」 「先輩、そんなに言ってくれるの、先輩だけですよ……」 「はははっ……馬鹿!泣くなって……」 「暴れる体が欲しいです。 今暴れたら反対にやられちゃいます」 「椅子は持ち上げられないか……?ははははっ……。 まだ暴れたい気持ちは残ってるんだ……?」 「性分ですからね……。よく椅子を投げましたね――。 何か、久しぶりにこんな話をしましたよ…………」 「よし、今度誘うから…………な……奢ってやるよ」 「いや…………焼鳥くらいなら……割勘で……」 「認定国家公務員から金はとれんよ」 「相変わらずやなー……先輩。 確かに国から金を貰ってます……(^-^)」 「お前には、次郎が世話になった…………」 「おおっ…………次郎……幾つになりました」 「40歳過ぎたよ。お前には、良く可愛がって貰ったな……」 「なーーーんか、僕に懐いてましたからね……(^。^)」 「ちょっと、あいつが荒れた時なんか……、 ホント……世話になったよ……」 「いえいえ……、先輩……。 ……電車の時間良いんですか……?」 「おおっ……そうそう、じゃー今度の休みに連絡取るから……」 「うぃーーーーー!! 楽しみにしてまーーーす」 一時期、一世を風びした元気な「悪」でしたが…………、 ……病気には勝てませんね……。 ――――結局、予定の列車には乗り遅れてしまいました……。 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ====================================================== ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 12年間蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZONのKindleストアで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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