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愛 こ と ば・心 の 散 歩 路

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2019/08/26
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カテゴリ:和の心






      
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     ^-^◆ 美しき国・美しき日本人の心
    <就職試験前の工業高校生に卓話を頼まれて>
          <Revival>


「日本良い国」という思いを我々自身の胸に抱き、
それを次の世代に伝えていく事が出来るか……。
 これが現代に生きている私たちに問われている
大切な事だと思います。

 では、ここで、ひとつの逸話を読み上げたいと思います。
良い話なので、どうか、聞いて下さい。


        17820.jpg


「稲むらの火」という話です。

『江戸末期、和歌山県の広村というところに、濱口梧陵という
 庄屋さんがいらっしゃいました。
 ある日、大きな地震が起きました。驚きながら海に目をやると
 潮がさーっと引いて行って真っ黒い砂が現れるのが見えます。
 濱口さんは「これは大きな津波が来る。村人を避難させなけ
 ればならない」と考えました。
 しかし、時間に余裕はありません。
 そこで、自分の稲むら、つまり刈り取った稲を積み上げていた
 ものに火を付けて、村人たちが登ってくるための目印にしよう
 としたのです。そして一年分の食糧に火を付けました。
 村人たちはその火を見て「ああ、庄屋さんの家が火事だ」と
 思い、どんどん駆けつけてきます。その後に大きな津波が
 やってきて、村人たちは助かったという話です。


        17994.jpg


 これは、実話ですが明治になってから、この話を聞いた
 ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、
 ”A Living God”(生き神様)という題で、全世界にこの
 話を紹介しました。ですから、多くの国の人たちが知って
 います。濱口梧陵さんには三人の子供さんがいらっしゃいま
 した。一番下のお子さんは学者で濱口担さんといいます。
 その濱口先生が1903年、明治36年にロンドンの
 ジャパン・ソサエティで講演をされました。
 講演の内容は日本の女性史でした。その勉強会には沢山の
 ロンドンの女性たちが集まり、そして濱口さんの話を聞いた後
 質問時間になりました。たくさんの質問を受けた後、最後に
 妙齢の婦人がひとり手を挙げました。
 「濱口さん、今日のお話と違う質問でもいいでしょうか。
 私は濱口という名に大変強い印象をもっております。
 なぜならば、あの”稲むらの火”の主人公が濱口だからです。
 あなたと”稲むらの火”の英雄の濱口とは同じ名前だけれども
 関係がありますか。失礼な質問だったらお許しください」
 そのときのことを濱口担先生は手記に書いておられます。
 まさか自分の父親の話を、遠くロンドンで聞くとは思わな
 かった。言葉に詰まってしまって、目からポタポタと涙が落ち
 るのを止められなかった、と。その様子を見て、司会者が
 「どうしたのですか?」と尋ねます。濱口先生はようやくの
 ことで、「いや、それは私の父親です」と答えたのです。
 そう言った途端に一瞬会場はしーんとなって、そのあと全員が
 立ち上がってスタンディングオベーションになったのです』


        15907蓮花寺.jpg


 どうですか?みなさん、現在の様に簡単にヨーロッパに行ける
時代ではありません。先生がロンドンに行かれた1903年と
いえば、八幡製鉄所の高炉記念公園の溶鉱炉に大きく、
1901年と掲げてありますがあの二年後という事になります。
日本の鉄鋼業の夜明けの時期です。
また、庄屋さんとはいっても、日本の小さな村の庄屋さんです。
まさか、ロンドンで父親の名を聞こうなんて、誰も予想できませ
んよね。海外の人々にも心に残る話であったからこそ……と
いえるでしょう。



  







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        15901伏見稲荷.jpg



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Last updated  2019/08/26 09:56:56 AM
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