カテゴリ:ほのぼの とした 話
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人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ 厳しい老女将が 惚れ込んだ女子大生[下] <Revival> 女将さんはそれなりの店を構えているオーナーだが、 常に質素を心がけていて、……この年齢なのに、 あまりタクシーを使わない……と聞いた事がある。 買物は、大変だろうな……。 「私も古い人間でしょー……。 人様のお世話になるのは、少し意地が働いて、 断わる方でしてね……相手さんにも迷惑ですからね。 何度も何度も断ったんですよ。……ですけど……、……あの子 若いのに何か自然な感じでしてね……言葉も自然で…………。 その物腰から、優しさがふわーっと伝わって来て、ついつい お世話になっちゃおうって……気になっちゃったんですよ。 私、こんな体験……初めてです。 不思議な雰囲気を持った子なんですよ……」 「うん…分かるなぁ。素直に育った娘さんなんだろうなぁ……」 「それで上まで持って上がってくれましてね、 丁度、雨が降って来たもんですから……、 タクシーに乗せてくれましてね。 住所とか聞こうとしたけど、 結局そのまま別れちゃったんですよ……不覚にも……。 私としたことが……」 「名前は聞いてたんだ……」 「ええ、名前だけは何とか……ですね」 「それは良かったね……何と言っても、 人の親切に触れると心が温かくなるもんね……。 ……でも、女将さん、 名前だけで……、 どうやって再会したのよ……」 「……どうもですねぇ、私をタクシーに乗せてからですね、 また、下に降りて行った様だったんですよ。 あの子の降りる駅ではなかった様なんです。 私の為に下りてくれたんだって確信を持ちましたね……」 「へぇー、凄い子だねぇ。……で……?」 「接した感じからして、女子大生ってピンと来てましたからね。 地下鉄のルートから……F大かなって思ったんです。それで、 汐井さんという名前だけを頼りにF大に行きましてね……」 「ええっ!!わざわざ行ったの? (゜_゜>) 女将さんも立派だねぇ……。 何としても御礼の気持ちを伝えたかったんだ……」 「いえいえ、お礼もさることながら……、 何よりも会いたかったんですよ。 人様からこんな気持ちにさせられたのって……初めてですよ。 スカウトしたいって思うようになりました」 「うわーー、女将さん、凄い飛躍だな……」 「……だって、あんな子に店に来て貰ったら、 絶対お客さんが喜んでくれるでしょう。 私も、あの子から、あの優しい雰囲気を学びたいって、 思ったんです……」 「ひゃー……、女将さんも並の人間じゃないね。……でも……、 接客のプロが惚れたんだから……これは逸材だろうね……」 「大学はF大で、グーでしたよ。ふふふふっ……。(^。^) 私も……、なかなか良い勘してるでしょう……? 事務室で彼女の事を克明に説明したら、 珍しい名字だったこともありましてね、 すぐ見つかったって訳です……。 美談ですから、事務室の人もとても協力的で…………」 「それで、スカウト……か……。……でも、良く来てくれたね」 「いえいえ難しかったんですよ。 …………ホントに……難しかった……。 他でちょっとしたアルバイトもしていましたし……、 水商売に対する尻ごみもありましたしねぇ……。 無理もないですよね……」 「……うーん、難しいね……」 「でも、惚れちゃった強みですよ。 (^。^) 時間をかけて説得しました。 あの子のアルバイト先にも一応挨拶に行きました。 相手は、びっくりしてましたけど……」 「ひゃー……、やるねぇー女将さん……」 「一度惚れたらとことんですよ……。ふふふふっ……。 もちろん、お手当も大幅に弾むことにして…… 時間はかかりましたけど……OKして貰ったんです……。 いい子ですよーーーー」 「うん、凄くよく分かる。でも、女将さんだって素晴らしいよ」 「あの子のお陰でですね。 私、最近少しだけど柔らかくなってきてるでしょう……?」 「参ったなーー……『ウン』としか言えないじゃない。 ははははっ…………(^-^)」 でも、確かにそういう感じはする。 水商売一筋60年以上のベテラン女将を虜にする……。 本当に、不思議な子に違いない。 こちらまで、良い気持ちになって心地よく飲んだ一夜だった。 (^。^) <完> 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ====================================================== ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 14年間蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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