カテゴリ:人を育てる
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人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ 地下道のホームレスの御人……ホントにホームレス? <Renewal> 随分以前の事です……。 駅等の周辺にちらほらとホームレスが増え始めた…………、 そんな頃の話です。 福岡から部下の女性を連れて東京に営業に行った事があります。 八重洲の長い地下道を通っている時の事……。 20m程先の通路の脇に、一人の男性がうずくまっていました。 通路の幅は広いので、気を付けて見ないと……、 人の陰で見落とす位の感じです……。 だんだん近づいて行きますと、横を歩いていた部下の女性が、 左側前方に彼を見つけて歩く場所を私の右側に変えて来ました。 ……明らかに避けているのです。 ふと、彼女の顔を見ますと、怖いものを見るような、 汚いものを見るようなそんな感じが入り混じった複雑で、 緊張した顔をしています……。 彼女は、時折この顔をします……。 人間というもの……嫌気や恐怖を感じた時に、 つい顔に出てしまうのは仕方のない事です……。 ……しかし、彼女の場合はちょっと違います……。 今から、社を背負って大きく育って行かなければならない、 第一線のエリート営業マンだからです……。 誠実で頭も良く熱意もあり、人当たりも良く、 何よりも明るい性格なので、現在の所お客様の評判も上々……、 順調に実績を重ねて、成長している段階です……。 勉強も……良くします……本当に……。 私の所に来て2年近く経っていました……。 当初は大企業の部長さんの所などには、 一人ではとても訪問出来なかったのですが、最近は、 単身で積極的に出かけて行って対応するようになりました。 ただ、ひとつ気になっていたのが、今の、この顔です。 営業の局面でも、時々表に出す事がありました……。 感じ方を表情に出してしまうのは、 人間として仕方のない事なのですが……、 どうも、美人顔の人のこの手の顔というのは、 いわゆる「怖い顔」に見えてしまって……、気まずくなり……、 お客様対応上もマイナスになった事がありました。 賢い社員ですから、その事に自分でも気付いている様なので、 特に注意をしたり、諭したりした事はありません……。 その人の良い面をドンドン伸ばして、実績を出させて……、 自信を持たせ、自信から意欲に発展させ、 より高い目標を達成するために、自分で自らの欠点を直そうと 努力する様に仕向けるのが……私の部下の育て方の基本でした。 「丁度良いな……」……と、その時……そう思いました。 客先の場合は、なかなかリアルな教育が出来にくい面が ありますから……ね。(^-^) 「あっ!!ちょっと待っててくれ」と言い残して、 その、ホームレスの人に、つかつかと近づいて行きました。 「こんにちは……」から始まって……、かれこれ、1~2分 話して……、戻って来たんですが……。 彼女、びっくりしたような、 不安な様な……複雑な顔をして待っていました……。 「行くぞ!」と言うなり、その事には触れずに、 グングンと目的の企業に向かって足を速めました。 彼女は懸命について来ながら……エスカレーターに乗った所で、 こらえ切れないような口調で尋ねてきました……。 「部長……さっきのホームレスの人と知り合いなんですか?」 そう言えば……、元大企業の幹部だった人が ホームレスをしているという噂を聞いた事があるな……等と、 思いましたが……返事はしませんでした。 次の、エスカレーターでも、しつこく尋ねてきます。 そこで、やおら……真剣な顔をして……、 「誰にも言うなよ」と口止めをして続けました……。 「実は、知り合いの刑事さんなんだ……。 張り込みされているらしい。ご苦労な事だな……」 「ええっ!!そうなんですか……? わぁぁ……刑事さんも大変ですねぇ……」 「誰にも言っちゃいかんぞ……いいか!」 「さすがに部長、顔が広いですねぇ。びっくりしましたーーー」 そこで、この話は終わりました。 帰りの道すがらで、やはり、地下道を通りましたが…………、 2~3人居たホームレスの人を見る彼女の目が、 少しですが変わっていました……。 恐怖に近い目から、観察するような目に変わっていました。 堅さはありますが…………遙かに良い表情です……。 『刑事さん』というのは……もちろん、嘘です。 怖いと思うものを見て「怖がるな」「顔に出すな」というのは、 無理がありますから、 彼女の中の「ホームレス」に対する感覚を変化させようと したわけです……。 「怪しげな、怖そうな人」という認識に、もしかしたら、 刑事さんが化けているのかもしれない……という考えを 注入する事で恐怖心を緩和させようと試みた訳です。 …………少しですが、うまくいった……と思います。 そして、この事をきっかけに……その後彼女は見違えるように、 自分のマイナスの表情を改善していきました……。 この指導が功を奏したのは、なにも彼女がホームレスの人を 刑事だと信じたからではありません。 ……賢い社員です。 ……半信半疑だったと思います……。 しかし、彼女は、私がぶっつけ本番で何を教育しようと したかを理解したんでしょう……きっと……。 そこが、彼女の優れたところだったと思っています。 その後、彼女は、東証一部上場企業の敏腕の営業課長として、 東京で、元気に活躍する人生を歩みました。 因みに、ホームレスの人との、1~2分の会話はこうです。 「こんにちはーー、スミマセン、時計忘れたもので……」 「えっ!時計……?」 「はい、スミマセン、今何時位でしょうか……?」 「立派な会社員が……、時計位持っときなさいよ」 「スミマセン……時間分かりますか?」 「もちろん……えーと、10時40分やな……」 「ありがとうございます。ところで煙草吸われますか?」 「ああ、吸いますよーー」 「これ、100円ライターですけど、良かったらお使い下さい」 「おうおうおう、それは、ありがとう……」 「ありがとうございました」 この会話を、ひそひそ話の雰囲気で、 彼女からできるだけ彼が見えないように、 自分が、その死角に立って、演った訳です…………(^。^) 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ==================================================== ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 14年間蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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