カテゴリ:グッときた話
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人気ランキングに参加しています。 良かったら【ポジティブな暮らし】をクリックお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ カラオケ演歌が人の命を救った<下> 【前回】カラオケ演歌が人の命を救った<上> ママ「はい、寿也ちゃんコレ……」 下田「えっ!なに?リザーブじゃない。こんな高いウイスキーを えっ?えっ?くれるって言うの?…………?」 ママ「そう。(^-^)……でも、私からじゃないわよ。 中野社長からよ。 さっきのお客さん。……建設会社の社長さんからよ」 下田「えっ?なんで?……頂く筋合い、無いよ。(゜_゜)」 ママ「まぁ、聞いてよ。これが泣かずにいられるかね―――。 あの社長さん、今夜死ぬつもりだったのよ……。 その前にツケを払いに寄って下さったの……」 高宗「死ぬって……ママ。えっ?……自殺…………(;一_一)」 ママ「そう……そうなんよ。びっくりでしょう? 社長さんね、裸一貫からたった一人で今の会社を創業して 特にここ10年は大発展だったのよ……ところがね……、 私、詳しい事は分からないけど『手形』のトラブルで、 倒産なんだって……。すっかり落ち込まれてね」 下田「『不渡り手形』だな……。 でも、死ぬなんて……。なにもそこまで……」 ママ「私もそう思うけど……、 全く普通に話していつもの社長さんだったから、 まさか死ぬつもりなんて……思いもよらなかったわ」 下田「えっ?えっ?じゃーどうして分かったの? そして、そのボトルの意味は???」 ママ「何言ってんの、犯人は寿也チャンなのよーーー(;一一)」 栗原「ねっねっ、ママさん、ちゃんと話してよ。 下田さんがどうしたって……?」 ママ「ちょっと、ビール注いで…………ふぅぅぅぅぅぅ。 五木ひろしよ。 寿也ちゃんさっき、五木ひろしの歌を歌ったでしよう」 下田「えっ?……うん、確かに『灯りが欲しい』を歌った。 この二人がね、気持ち吹っ切れたくせに、 あの暗い歌をリクエストしたんよ……」 …………五木ひろしの『灯りが欲しい』は、好きな歌のひとつで 随分、昔から歌っているが……歌詞が、暗いので、 何時でも、どこでもという訳にはいかない歌なのだ。 この店でも多分、初めて歌ったと思う。 歌詞を示すとしよう。 一、日陰育ちの この俺が 見つけた道は 遠すぎた 疲れた足を ひきずって きのうに続く 雨の道 灯りが欲しいよ 道があんまり 遠すぎる 二、自棄でおぼえた 酒もある 酒でおぼえた 恋もある 男の過去の 苦っぽさ 昔を早く 忘れたい 灯りが欲しいよ ひとり歩きは 暗すぎる 三、恋という字が あるかぎり 俺はあいつを 追いかける ほんとはひとり 欲しかった こころの杖に なるような 灯りが欲しいよ 日蔭暮らしは 長すぎる ママ「社長さんね、私と他愛もない話をされてたんだけど、 この歌の途中で、突然泣きだされてね。 ホント、ビックリよ。 ……でね、話されたのが……さっきの話よ。 世話になったお店だけには迷惑をかけたくないと言って、 死ぬ前に支払いに来られたんだって……お金無いのに」 下田「……そんなこと…………(一_一)」 ママ「ところがね、ところが、寿也ちゃんの歌を聞いてね。 苦労した昔の事が次々と思い出されてきたんだって。 そういう歌詞よね……。 子供の頃から青年時代にかけて相当苦労されたらしいの。 ……お父さんが戦死されて母子家庭よ。 頭が良かったらしいんだけど……中学を出て働いて、 土建の世界で修行よ……。苦労して苦労して……、 血の滲むような苦労をしてとうとう30代で創業よ。 凄いよね!! どんだけ悲惨な苦労があったんやろうね……」 栗原「あの歌で、その苦労時代を思い出されたんですね」 ママ「そうそう、そうなんよ。 あの頃の苦労に比べたら、今度の事はまだまだ小さい。 死にたいほどの苦しみをどれだけ乗り越えてきたことか。 涙流しながら……話されてね。 よし、もう一度、あの頃の気持ちに戻って、 やり直してみよう……頑張ってみようって気に、 なられたみたい。 叩き上げの人間が、武士の切腹みたいに考えてた。 思い上がりも甚だしい……って。。。。(-.-)」 下田「…………凄い方やね…………。 こっちは、3人で盛り上がっていて、 全然気が付かなかったよ……そんな話になってるなんて」 ママ「それで、歌ってくれた方に、ボトルを贈りたいって事。 社長さんは昔話をあまりしない方だったから、 何も知らなかった……人には色々とあるんやね……」 高宗「じゃー、今夜、いそべにお出でになっていなかったら、 下田さんの歌を聞かれていなかったら……ゾッとするね。 こういうのを縁って言うのかなー―。……縁ですよ。 栗原、リクエストした俺たちも若干の功績があるぞ」 下田「……うーーーん。 でもママ、そんな大変な状況の社長さんから、 こんな高価な物を貰って良いのかね―――(;一_一) 歌ったのも、まったくの偶然よ…………」 ママ「寿也チャン、お願いだから貰ってあげて。 あの社長の再出発の心意気なんだから。 受けて!!(゜_゜)」 下田「分かった、今度会ったら丁重にお礼を言おう。 なんか、サムライに出会ったような感じやな――――。 時間はかかるかもしれないけど、きっと、社長さん、 立ち直られると思うよ。……祈るよ……」 ママ「まぁ、嬉しい事を言ってくれるね―――。 よし、私も奮発して…………、 今日のお代はママの驕りにしましょう。(^。^)」 …………3人の大きな歓声と共に、黒崎の夜は 深々と更けていきました。 後日談だが、その社長さん、数年は掛かったものの 大手顧客からの支援も得られて、立ち直られたとの こと……。メデタシ、メデタシ。。。。 <完> 人気ランキングに参加しています。 良かったら【ポジティブな暮らし】をクリックお願いします。 にほんブログ村 ========================================================= ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今まで蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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