カテゴリ:グッときた話
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人気ランキングに参加しています。 良かったら【ポジティブな暮らし】をクリックお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ 追い詰められた自殺志願を救った……演歌 [上] …………私がたまたま唄った演歌で、 偶然にも……自殺を思い止まられた人がいます。 そんな経験を、これまでの人生で何と2回も しているんです……私。 勿論言うまでも無く、全くの偶然です。 ひとつは、今年の8月の17~18日にアップした 北九州、黒崎での体験です。 いま一つは、それより以前に枝光での経験があります。 かなり以前にブログアップしていますが、 リニューアルして再度、アップしますので、 読んで頂ければ嬉しいです。(^。^) ―――― 昭和57年……夏 名広「こんばんわ~~」 女将「いらっしゃ~い……、おおっ名広チャン、遅いねぇ……、 何人……?」 名広「うん、ふたーり……。……今日は接待だった」 女将「そう……それはご苦労さん、そっちに座って…そっち。 ……接待終わったんやね……?」 名広「うん、さっきお客さんをタクシーにお送りして、 ……そのままこっちに回ってきた…………」 女将「そう、いつも、ありがとう……ネ。 ―――ああっ、随分……気を遣った感じやね……。 疲れが顔に出てるよーーー。 今日のお客さん……難しいお客さんだったの?」 国沢「へぇ~……良くわかりますねぇ? 偉くてちょっと難しい方だったんですよ……」 女将「そう、男の人も大変ですねぇ。 ………ほっとしたという所ですか? ……ねっ。(^。^)」 名広「うん、ちょっとね……。冷たいビールちょうだい……」 女将「何を言うんね。ウチは、冷たいのしか置いとらんもんね。 ハイ、どうぞ!」 国沢「わあっ!早い!女将さん凄いや! ビール飲むって分かってるんですねぇ」 女将「一応、プロですからね……。ふふふふっ……。 ハイどうぞ……こちらから……かな?」 国沢「いやいや、とんでもないです。課長からです」 女将「ハイ、じゃー、名広チャン………」 名広「ああっ、ありがとう、ありがとう……」 女将「……………ハイ、こちらも………」 国沢「あっ、すみません。どうも……どうも。 ―――女将さんも注ぎましょう……どうぞ……」 女将「それはそれは、どうもすみません。 名広チャン、気の利く社員さんやね………」 名広「うん、こいつなかなか良いのよ。 これから、ちょくちょく連れて来るけん、 よろしく頼むよ……」 国沢「国沢っていいます。よろしくお願いします……」 女将「どうも……、こちらこそ、よろしくお願いします。 小さな店ですけど……」 国沢「課長から、話はよく聞いてました………」 女将「どうせ、ろくな事は言ってなかったでしよう? ガサツな店ですから………ねっ!名広チャン」 名広「……当然よ、一度でいいからココのこと誉めてみたいよ。 ……ははははっ ( ̄ー ̄)」 女将「よく言うよ、もう……今日はおツマミは無しやね……。 ふふふっ………どうせ、いっぱい食べてきとるんやろう? ――― 漬物でも出すかね」 名広「うん、……頼んます」 国沢「さぁ……課長、注ぎましょう。 今日はありがとうございました。 ……良い勉強になりました」 名広「……そうか、うん……それは良かった」 国沢「ところで……カチョー……!」 名広「……ん?」 国沢「……向こうのお客さん、……気になりません?」 名広「ウン……、お前もそう思ってたのか? さっきから俺も少し気になってる……」 国沢「大きな声じゃ言えませんが……、 なーーんか、チョー暗いですよね……」 名広「うん……女将とは古い馴染みのようだが……」 国沢「深刻な人って、こっちまで気鬱になりますね」 名広「お前も、さすがに良く気がつくなぁ………。 まっ、飲もう飲もう……ホレ」 ・ ・ ・ ・ 女将「おまちどうさん……。はいっ……、もう一本開けようね。 ――どうね名広チャン、良い気分のところで久しぶりに 一曲唄わんかね……?」 名広「うん?……良いの?……向こうのお客さん……。 話があるんやろう……?」 女将「いいの、いいの……話は終わったから……同級生よ……」 名広「へえーっ、……そう? (女将さんは母の3歳年下だ。 向こうのお客もそうらしい……)」 女将「ねぇ、唄って唄って……………(^_-)」 名広「……ん?なにそれ、ウインクなんかして………」 女将「シィーーーー………、もう馬鹿やねあんたは、 さあ、唄いなさい!」 国沢「すみません、女将さん、マイクあります?」 名広「バカ国沢、そんなシャレたもん、ある訳ないじゃないか」 国沢「あっ……すみません」 名広「よし、じゃー、一曲、ノドを聞かせるか………ね」 とは言ってみたものの…………、 接待の折の緊張感からの疲れもあり、 おまけにこの店の何時に無く、深刻な暗い雰囲気にふれて、 名広も、やや、気が滅入っていた。 こんな時は、曲目もなかなか、浮かんでこないものだ。 しかし母親と余り変わらない年齢の女将さんも、 この雰囲気を変えたいと願ってるみたいだし……。 ……と思うと、使命感も少しは働いた。 立ち上がって、背広を脱ぎにかかった名広に、 例のおばさんからパチパチパチと拍手がきた。 ……女将も一緒に拍手している。 とっさに、名広は、小林旭の唄でいこうと思った。 ……根拠はない。何となくそう思って……。 勿論、カラオケなど無い……アカッペラだ。 「♪♪ うらぶれこの身に 吹く風悲し 金も無くした 恋も無くした 明日の行方が分からないから ままよ 死のうと思った迄よ…………♪♪」 得意のアキラの「落日」だったが、唄いはじめて、 しまったと思った。いかにも暗い歌詞とメロディなのだ………。 ………が、もう仕方ない。 止める訳にもいかないので開き直って唄い続ける……名広……。 「♪♪…………それでも この身を包んでくれる 人の情に 胸を暖め どうせ死ぬなら死ぬ気で 生きて 生きてみようと 自分に言った~~………♪♪」 女将と、おばちゃんと、国沢の絶大なる拍手の中を、 にっこり笑って腰掛けた名広だった。 国沢「相変わらず、課長、良い声ですね……。 さあ、注ぎましょう…………」 名広「おお、すまんすまん、サンキュー…………」 次の瞬間、びっくりする事が起こった。 奥に居た例の暗いおばちゃんが、「ワアー…………」と、 大声で泣き始めたではないか。 女将もびっくりして、何やら言いながら慰めているようだが、 少しもおさまらない。 号泣とはこういう泣き方をいうのだろう? 「オンオン…」と、カウンターを叩いて……。 名広も国沢もすっかり興ざめで、 この日の不運を目と目で確かめ合うのだった。 只々、苦笑い………何とも、間が悪い………。 帰ろうと立ち上がる二人を手で制して、 女将が、その同級生の客を奥に連れていった。 ……余程、訳ありの客のようだ。 <続く> 人気ランキングに参加しています。 良かったら【ポジティブな暮らし】をクリックお願いします。 にほんブログ村 ========================================================= ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今まで蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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