カテゴリ:グッときた話
◆
人気ランキングに参加しています。 良かったら【ポジティブな暮らし】をクリックお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ 追い詰められた自殺志願を救った……演歌 [下] 【前回】追い詰められた自殺志願を救った……演歌 [上] …………私がたまたま唄った演歌で、 偶然にも……自殺を思い止まられた人がいます。 そんな経験を、これまでの人生で何と2回も しているんです……私。 勿論言うまでも無く、全くの偶然です。 ひとつは、今年の8月の17~18日にアップした 北九州、黒崎での体験です。 いま一つは、それより以前に枝光での経験があります。 かなり以前にブログアップしていますが、 リニューアルして再度、アップしますので、 読んで頂ければ嬉しいです。(^。^) その後編です。 「勝手に冷蔵庫から、ビール出してねっー!」っと、 奥から女将の声。素早く立ち上がって取りに行く国沢。 ………満足げにその国沢を眺める名広。( ̄ー ̄) ……夜は深々とふけていく……。 さっきの宴席で頂いた、お客さんからの様々な情報を、 お互いに確かめ合っている内に女将が出てきた。 国沢「……女将さん………奥のお客さん、良いんですか?」 女将「ええ、ご迷惑かけましたね……。ごめんなさいね。 裏から帰しました………」 名広「裏から………?」 女将「うん、恥ずかしいって言うからね……。 あんた達に会うのがね……(^-^)」 名広「そう………一体どうしたんね……?」 女将「まぁ、いいから、いいから…………」 国沢「………課長、我々もそろそろ………時間」 女将「駄目駄目、ダメよ、まだ、ゆっくりしなさい……。 ハイッこれ開けるけんね………」 名広「なななっ何よ、そのボトル。 ……キープなら俺のがまだ残っとるやろう……」 女将「……実はねさっきのお客、幸チャンんていうんだけどね。 その幸チャンからの差し入れ……。……頼まれたの。 スーパーニッカで良いよね……」 名広「ちょちょちょっと待ってよ。 そんな知らん人から貰えんよ…………」 女将「これは、頼むから貰ってやって……。 あんたの唄が助けたんやから……」 ……と言って涙ぐむ女将を見て二人とも仰天…………? ……………………? 何が何やら分からない。……?……?……? 女将が詳しく話すにつれて、またまたびっくりの二人であった。 幸チャンなる例のお客は、一昨日の夜、 自宅と兼用のお店が火事に遭って、 気の毒にも着の身着のまま焼け出されたらしい。 小さな洋品店だったらしいが…………、気の毒な話しだ。 もちろん全焼……………。 おまけに、同棲していた男性がどこにいったか、 行方不明ということ。 その災難の最中に………捨てられたというのだ………。 運悪く保険も多額はかけてなく、 親戚も無い孤独の人生の上に何もかも失って……。 ……相棒まで……。(;一_一) ――― 絶望。( ´へ` ) ――― 何と!!死のうと決めたということだ……。 着ている下着さえ、人からの支援品の状況だから、 どこに幾らも金が払えるわけでもない。 しかし、幼なじみの女将にだけは迷惑をかけたくないと、 僅かなツケを払いに出掛けて来たと言う事だった。 勿論、女将には火事の事は言っても死ぬ事を言うはずも無い。 払う、貰えない、払う、後で良いと、もみ合っている時に、 丁度、名広達が入ってきた事になる。 ……そして、あの唄だ。 『 …………金も無くした 恋も無くした 明日の行方が分からないから ままよ 死のうと思った迄よ…………♪♪ 』 と、いうところまでは………、 偶然、自分の事を唄ってくれてるなぁ………、 というくらいの気持だったそうだが…………、 『 ♪♪…………それでも この身を包んでくれる 人の情に胸を温め どうせ死ぬなら死ぬ気で 生きて 生きてみようと 自分に言った~~……♪♪ 』 の、最後のフレーズになって…………、 ……女将との長い間の友情の交流の、一こま一こまが、 浮かんできては、消え……そして、また、浮かんできて……。 死んだらいかん……。死ぬ気で生きよう………と、 思い直したそうだ…………。 実はこの歌の「人の情けに胸を温め」のところは。 正確には「赤い夕陽に胸を温め」である。 普段から名広が変えて歌っている。 名広の心意気である。 殆んどの人が知らない歌だから問題は起こらない。 カラオケがまだ無く、覚えている歌を手拍子で 歌っていた時代には、よくあった事である……。 その幸ちゃんなる婦人、 気をしっかり持たなくちゃいかんと、考え直した途端に、 本気で死のうとしていた自分が恐ろしくなって、涙が溢れ……、 大声で泣かずにはいられなかったという話だった。 名広「そう……………そんな事がねぇ……………。 たまたま唄った唄でねぇ…………。うーーーん」 国沢「なんか……………凄い、話ですねぇ……」 女将「だから名広チャン、あんたは命の恩人みたいなもんやから ぜひウイスキーを一本あげてくれって言ってきかんのよ。 こんな物じゃ済まんけど、 今はこれが精一杯って言ってね……。 ……そういう事やから気持ち良く貰ってやって……ねっ。 あたしからも頼むけん」 名広「ウーン……それだったら、それを貰うのは女将さんだよ。 女将さんとあの人の友情が、あの人を助けたんやないね。 なぁ国沢、そうだろう?」 国沢「……ええ、まあ………そう言われれば………」 女将「何を言うんね。唄ったのは名広チャンやないね。 ……あの唄がなかったら、なーんも起こらんやったとよ。 ――― 明日あたり、幸チャンは死んどったかもしれん。 ……………そうなってたら、 私も悔やんでも悔やみ切れんよ……友達として……、 …………、 …………」 名広「うーん…………、でもさ……無一文どころか借金背負って いる人から貰えんよ。女将さん、 気持だけ頂くと言う事にしょうよ…………ね」 女将「私も幸チャンにそう言ったよ。 名広さんは、受け取らないってね……。 ―――― でも、小さいとはいっても洋品店の社長やね。 今迄の僅かなツケを全部払ってね。このウイスキーと、 あんた達の今日の飲み代を全部自分のツケにしてくれって 言うのよ……」 名広「えっ!……そこまで……」 女将「ウン……そしてね。今から、また頑張って、 必ず店を立て直すから……、 人様に借金を払えるようになったら、 まず真っ先にそのツケを払いにやって来るって…………。 あの唄を聞いて泣いた自分を忘れない為に、 借金を新たに作らせてっていうの………涙が出てきた」 国沢「…………凄いですね」 女将「ほんとに……、ホントに小さい頃から、 泣いたのを一度も見た事が無い、 物凄く気丈な人やったんやから…………」 ……といって、また、涙ぐむ女将。 偶然のイタズラというには、凄すぎる…………。 たかが、一曲の、唄で…………。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 勿論、名広も、幸さんなる人の気持を受け止め、そして、 頂いたウイスキーで彼女の再起を祈念し、 三人でカンパイしたことは、言うまでも無い。 そして、女将から封筒を貰い、 なにがしかの「出火見舞」を女将にことづけて…………、 波乱に満ちた居酒屋の、夏の一夜を後にしたのだった………。 『たかが唄…………されど唄……』 <完> 人気ランキングに参加しています。 良かったら【ポジティブな暮らし】をクリックお願いします。 にほんブログ村 ========================================================= ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 今まで蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[グッときた話] カテゴリの最新記事
|
|