テーマ:犬(512)
カテゴリ:すみれの母の思い
昨日、12日(日)の夜のこと。
母がふとTVをつけると行列のできる法律相談所を放送中だった。 自転車で歩行者をはねてしまって、全治1ヶ月のケガをさせてしまった、という事例。 自転車の青年は治療費全額の負担を約束するが、更に歩行者の老婦人が 「1ヶ月間、朝晩2回の犬の散歩を頼みたい」と言う。 青年が「学校もありますし、毎日はちょっと…」と答えると、 「では、業者に散歩を頼むので、12万円(1日2回で4000円が相場)を支払って欲しい」 と、老婦人。彼女には身寄りがなく、散歩を頼める身内はいないという。 この場合、青年は散歩代を支払わなくてはならないか…という内容だった。 4人の弁護士の回答は、全員が「散歩代を払う」だった。 こうしてまとめると、「犬に対して理解がある判断で、よかった」と思われるかもしれない。 だが、弁護士の判断理由まで聞くと、やはり、この国でのどうぶつの立場の弱さを 思い知らされる。 「動物の愛護及び管理に関する法律」は 第5条 動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者としての責任を十分に自覚して、その動物を適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。 と定めている。 しかし、この法律の名前を挙げた弁護士は、一人もいなかった。 皆「因果関係の範囲内」「法律的に認めて全く問題がない」といった判断。 「動物愛護法にある『動物の所有者としての責任』を果たせなくなった被害者の 代行を加害者が果たすべき」という声はなかった。 また、散歩代支払いの根拠として「犬自身の健康」に言及したのは、4人中2人のみ。 弁護士のひとりの見解を引用すると 「これは払うべきだと思います。 普通考えると、散歩しないことによって朝晩吠えて、 近所迷惑になるんじゃないかと思うんですよ。 地域社会の平穏っていうのもありますから、 そういう(吠える)犬の状態を放っておいてもいい、とはならんだろう。 とすれば、そういう損害ってのは、やっぱり加害者が負うべきだ ということになろうかと思います。」 とのこと。 確かに、愛護法には 「動物が(中略)人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」 とあるが、この弁護士の見解には「命あるものである動物」という意識が まったく感じられない。 吠えて近所迷惑になる犬を黙らせるために散歩させる…そういう問題だろうか? 更に、弁護士の見解以前に、この事例を紹介するVTRそのものが納得できない。 犬の散歩代を求められた加害青年と、被害女性の会話: 「こんな雑種に、12万円~!?」」 「いくら雑種でも、散歩させなきゃ可哀想でしょ」 犬の散歩に、どうして血統書の有無が関係あるのか、説明を求めたい。 血統によって入手の際の価格が変わるのは事実だとは思うが、飼いはじめた後で 必要な費用(例えば食費や医療費)は、体格や運動量などの要素によって変わることは あっても、血統で左右されるものではないはずだ。 散歩は「雑種でも、しなくては可哀想」なのではなく「血統に関係なく犬にとって必要」な ことではないのか。 人間には憲法で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を 我が国のどうぶつが得られるのは、まだ先のことになりそうである。 追記: TV番組でのどうぶつに関する発言には、まだまだ 動物が命あるものであることにかんがみ、何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない。(動物愛護法 第2条) という意識に欠けたものが多いようだ。 他局の番組宛に送られたメール記事に、この記事をトラックバックさせていただく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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