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藍野家の日常

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September 3, 2005
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カテゴリ:病院でのできごと
ごぶさたしています。藍野家長女・すみれです。
「みぃちゃんず」や臨時夏休み、PC故障などが重なりまして、しばらくぶりの
ご挨拶になってしまいました。
留守中、皆様にご報告したいできごとは、たくさんあったのですが、それらを
お話しようと思っていた矢先に、思ってもみなかったことが起きてしまいました…。


長男・バーニィは、2歳の猫。岐阜で産まれ、生後3ヶ月(推定)でライフボート友の会さまに
保護され、2年前の9月に藍野家との養子縁組がまとまり、我が家の一員となりました。
体重5.3kg。我が家の猫たちの中で、いちばん体格のしっかりした子です。
ちょっと内向的ではありますが元気な子。唯一の心配は、去年の夏と今年の新春、
強い吐き気が続いて病院通い(昨夏には入院も)をしたことでしょうか。

その、バーニィの吐き気が、また再発しました。

昨夏には、バリウムを飲んでのレントゲン撮影や、試験的に開腹手術をしたりと
たくさんの検査をしたのですが、結局、原因が特定できないまま食欲が回復し、
結果オーライで終わっていました。
それがあったので、今年再発したときには、病院ではもう検査はせず、
点滴での対症療法でした。

バーニィを病院に連れて行く、と父が決めたとき、母が提案しました。
別の病院に行ってみてはどうか、と。
母が見聞した限り、どうやら獣医学の世界は、人間の医学の世界と比べると、
残念ながら先生同士が意見を交換したり、新しい知識を学んだりする機会が
少ないようです。
ですから、逆に言えば、別の病院の先生の視点から見れば、いまお世話になっている
先生とは別の何かを見つけてくださる可能性があるのではないか。
ひょっとしたら、原因を見つけて、根本的な治療を受けられるかもしれない。
…そう、母は考えたようです。
父もそれに同意し、初めてお世話になる隣町の病院まで、車を走らせました。

昨夜から吐き気をもよおしているバーニィ。
次女・クリス(猫)も昨夜すこし吐いてしまっているので、一緒に診てもらおうと、
キャリーをふたつ抱えて、父母は病院に入りました。

しばらく順番を待った後、診察室に呼ばれました。
たまたまキャリーを置いた場所の関係で、まずはクリスから診察。
若い男性の先生が、「猫の嘔吐には心配のないケースが多い」と、丁寧な
説明で安心させてくださいました。
体温を測りながらも「車で来院して道中鳴いていたなら、体温は上がってしまうので、
この数字はあまり信用できるものではない」との説明。40℃とやや高い体温
でしたが、これは心配しなくてよいとのことでした。
積極的な治療が必要とは思えない嘔吐、との診断。
授乳中であることを考え、投薬もなしで、クリスはすぐにキャリーに戻りました。
(ちなみに、クリスの年齢を聞くと、おそらく3~4歳とのこと。今までの病院では
2~3歳と言われていたので、間をとって「推定3歳」でしょうか?)

続いてバーニィ。クリスと違い、今までにもひどい吐き気を経験しているので
心配はしていましたが、クリスの診断から、割と楽観的にキャリーから出しました。
先生も、優しいお顔で、バーニィのお腹を触って診察していました。
「ただ、2頭で同時に嘔吐したなら、ウィルス性の感染症の可能性もあるし…」
と説明してくださいながら触診をしていた先生の表情が、急に硬くなりました。
「これは、ちょっと深刻なことになるかもしれません」

レントゲン撮影と、猫白血病ウィルスの抗体検査が、あわただしく指示されました。
採血に鳴き声を上げるバーニィに、看護士さんが優しく声をかけてくれます。
それに先立っての、先生の説明は、
「胃の上のあたりで、塊に触れた。腫瘍の可能性がある」
というものでした。
X線写真は、その腫瘍かもしれない塊の姿を捉えるため。また、白血病ウィルスは、
猫の腫瘍においては、猫白血病ウィルスが体にいることが原因になっていることが
ままあるから、というお話でした。

X線写真の現像を待つ間に、更に説明を重ねてくださる、先生。
バーニィは昨夏の入院のときにお腹を開ける手術をしているので、その手術の
影響で、腸の一部がくっつきあって塊のようになってしまっている可能性もある。
けれど、もしも腫瘍ならば、猫の場合、腫瘍の9割は、悪性。
腸の癒着であればいいのだけれど…と、先生も祈るような口調でした。

白血病ウィルスは陰性。でも、レントゲンには確かに塊が写っていました。
ただ、写真だけでは、腫瘍なのか腸がくっついたのか、確定できません。
先生からは、
1.試験的にお腹を開ける手術をして、確かめる
 (これで原因がわかって、それを切除できるならば、同時に切除もする)
 手術のときには父母も立ち会って、実際に一緒に見て確かめる
 (それができなければ、ビデオ録画したものを見て確認する)
2.別の先生のセカンド・オピニオンを仰いで、考える
この、どちらかを勧められました。

仮に手術をするならば、バーニィの体が全身麻酔に耐えられるかどうかの
血液検査が必要になります。
白血病ウィルスの検査用に採血した血液の残りを使って、いま検査することもできる、
とのことなので、検査をお願いし、結果を待つ間に父母は話し合いをしました。

数日前から食欲も落ちて、その上吐いてしまっているバーニィ。
日々、体力は落ちていくでしょう。
病院の体重計で今日測った体重は、4.9kg。いつも5.3kgなのに。
また、もしも塊の正体が切除可能な腫瘍だったとしたら、少しでも腫瘍が
大きくなる前に切り取ることができたら、その方がいい。
…それに、正直、セカンド・オピニオンを仰げる先生のあてもない。
この病院で試験開腹してもらおう、と、父母は決めました。

血液検査の結果は、やや脱水ぎみではあるけれど麻酔に問題はないこと、また、
断言できるほどはっきりではないけれど、腫瘍の存在を伺わせるデータも含まれて
いることが出ていました。
先生から、再度、試験開腹かセカンド・オピニオンを勧められたので、
「先生に試験開腹をお願いしたい」と、父母は頼みました。
すると、改めて手術への立ち会いを求められたので、母が「立ち会う」と言いました。

こうして、バーニィはお腹を開ける手術を受け、それに母が立ち会うことが
決まりました。
手術がやや混み合っているとのことでしたが、ちょうど5日(月)が空いていたので
できるだけ早く…と、この日に予約をお願いしました。

父母に手術を決心させたのは、先に挙げた他にも、いろいろな理由はあります。
初対面の先生でしたが、父母は先生を「信頼できる」と思ったようです。
帰宅後に「人間の医者も含めて、自分からセカンド・オピニオンを仰ぐように
勧める先生に会ったのは、初めてだ」と、父母は口を揃えました。
他の先生の診断が、ひょっとしたら自分の診断を否定するかもしれない。
それでもセカンド・オピニオンを勧めてくれるのは、自分が恥をかく云々より
バーニィと父母のことを大切に思ってくださっているのでしょう。
手術への立ち会いにしても、密室で手術すれば、もしも見当違いの結果でも
自分のいいように言いつくろうことだって可能でしょう。
けれど、普通なら素人など入室させないであろう手術室に父母を招き入れて
実際にバーニィのお腹を見て、一緒に確かめて欲しい…とおっしゃる、先生。
父母は、先生のそんな心構えに、賭けてみる気になったのかもしれません。

…もちろん、先生がここまでのことをおっしゃるということは、それだけ、
もしも結果が悪いものであったときには事態が深刻である、という意味ですが。
仮に、塊の正体が悪性腫瘍ならば、大きさなどから考えると、バーニィの余命は

最長で、6ヶ月。恐らくは、3~4ヶ月

とのことでした。


5日の日記に「この2日間の心配は何だったのでしょう? 母が手術に立ち会いましたが
結局、全然問題ありませんでした」と書くことができるよう、祈ってやみません。

[体重5.3kgのときの、バーニィ(8/26撮影)]





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Last updated  September 4, 2005 06:14:40 AM
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