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カテゴリ:植物の生理生態
サクラ切るばか、切らぬばか?
日本で人気のあるサクラ、そのなかでもとくにソメイヨシノに致命 的な被害を与えるサクラてんぐ巣病 についての話のつづきです。 この病気は、カビの一種であるタフリナ属菌の胞子が空中に飛散し、 伝染することによって引き起こされる[こちら]ことをご説明してき ましたが、今回はこの病気の対策編となります。 そこで対策です。 菌そのものに効く薬剤のないてんぐ巣病の対策・・・それは病気に かかった部分の枝を切り落とすことしかありません。胞子が形成さ れる前、つまり葉がおちている休眠期に “茎・枝が異常に密生する奇形症状を示す”部分をひたすら切り落と すことが、現在わかっている唯一で最良の治療法なのです。あした のジョーの打つべし打つべしにならって、ひたすらに切るべし切る べしになるわけです〔そしてこれも基本ですが、その切った枝は焼 却処理〕。 そこで気になるのは、このいっけんして原始的とも思える対策の効 果なのですが、この対策を3年間徹底的に実施したサクラの名所の 例では、てんぐ巣病の発生が1パーセント以下になったとのデータ もあるとのことですから、その効果は絶大ですよね。一般的に こ の病気が激発した場合には、 そのサクラの名所の羅病樹がじつに 6割を超えることもあるというケースのあるてんぐ巣病なのですか ら、この1パーセント以下に病気を押さえ込んだというその結果た るやじつに素晴らしい成果であるといえるでしょう。 そしてこの方法には 忘れてはならないならない大事な点がひとつ あります。 それは、羅病した枝を切り落としたあとの切り口の処理作業が大切 だということです。。ここに切るときにできたキズを癒す効果や消 毒効果、そしてなにより菌の胞子が侵入しないようにする薬剤を塗 布する必要があるのです。 そうなんです、昔から「桜切るばか、梅切らぬばか」といわれてい るように、じつはサクラという樹は 枝を切るとその切り口からと くに腐れが入りやすい樹であるということを忘れてはなりません。 そんなこんなで てんぐ巣病というやまいの蔓延する時代の、現代 版サクラの生育管理に関する格言をつくるとするならば ● 切った枝の焼却処理をしないばか ● 切ったサクラ〔の切り口〕に薬剤塗布処理をしないばか といった格言があてはまるということになりそう です。よ。 ということで 英名が魔女のほうき[こちら]でもあるサクラてんぐ 巣病について、3回にわけてのおはなしでした。 急いでサクラの観光地にしようとしてついつい本数を 植えこみすぎたり、日照の少ない場所で とにもかく にも植えちゃったり などといった、ヒトの はやる 気持ちがてんぐ巣病を呼び込んでいるという面も、お おいに影響しているのかも~ですよ。 さらには天気、開花期に雨天の多すぎる年では次の年 の発生が助長されそうです。 「夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜」 のの お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 4, 2023 05:43:45 PM
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