【鉄】春の18きっぷ (61)アトムワールド
★この回の日記には表記上の誤りがありました。喜多山栄さんのご指摘で修正することができました。ありがとうございました。前回は東海駅西口から原子力展示館無料巡回バスに乗り込む直前までをご報告しました。今回は、無料バスレポートです。これが無料バスですね。まあ、普通のバスなのです。バスのわき腹に無料展示館の名前とイラストがあります。最初に茨城県立原子力科学館に立ち寄ります。非常に短時間の立ち寄りです。原子力科学館の内部です。既に昔のレポートでご報告済みなので、この画像だけにして置きます。茨城県立だけありまして、茨城県の観光地図なんかも掲示されていました。5分間停車しただけで、バスは次の目的地アトムワールドを目指しました。サイクル機構のアトムワールドでございます。サイクル機構というのは、正式な名前を日本原子力研究開発機構と言います。日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が合併して発足した独立行政法人です。旧核燃料サイクル機構というのは、事故を起こしまくって大幅に機能を制限されて再編成された動力炉・核燃料開発事業団の後身だったりする訳です。その任務は幅が広く、かつては、ウラン採鉱(人形峠の施設もここが持っていました。あそこでウランを掘ったり、濃縮からペレット造りまでやっていました。現在は核燃料製造は止めてます)から、「ふげん」や「もんじゅ」などの新型炉の開発、核燃料再処理技術の開発やテストプラントの運転(使用済み核燃料を硝酸で溶かして、残ったウラン235を回収したりプルトニウムを回収したりします)、更には核分裂生成物(高レベル放射性廃棄物ですね)の最終処分なんかの研究開発までやってました。言ってみれば、核燃料サイクルの発電所以外の部分は何でもござれの巨大組織だったのです。しかし、ナトリウム漏れとかアスファルト固化施設での火災などの事故が相次ぎ、機能を大幅に制限されて再編成されました。ウラン採鉱などは民間に行きました。東海村の再処理プラントはその役割を六ヶ所村の日本原燃に譲りました。今は高速増殖炉や高レベル放射性廃棄物の最終処分の研究などをやっているようです。手袋のお化けみたいな箱です。この箱の中で、核燃料の組立てなんかをやっていたようです。と言っても、かなりクラシックな雰囲気が漂っていましたので、60年代か70年代の設備という感じでした。最終処分の技術展示のコーナーの展示です。日本人が一生分使う電力を発電すると、このくらいの大きさの高レベル放射性廃棄物が出ますよ、という意味です。死の灰でございますね。こちらは高レベル放射性廃棄物をガラス固化して処分する容器です。高レベルというだけあって、強烈な放射線を発するのです。熱も発します。ガラスで固めても、強靭な金属容器に入れても何年持つか分からないと言う、恐ろしい代物なのです。マジメにこんな処分を考えている現代日本はましな方で、ソビエト時代には、地面にまいていたみたいです。前の画像で作った、高レベル放射性廃棄物をガラスで固化して金属容器に詰め込んだものを、このような分厚いコンクリートで囲って、地下数百メートルとか地下1千メートルくらいの深い深い穴を掘って埋めましょう、と言うのが、日本の最終処分の方向です。でも、全然始まってません。北海道の幌延町に埋めてしまおうか、という検討は始まっていますが、何分、技術面で分からないことが多過ぎて、実用化がいつになるかは全然不透明なのです。今度は、使用済み核燃料の輸送容器です。キャスクと言うものです。使用前の核燃料は、ウラン235の濃度が2~3%で、二酸化ウランを細かく固めたものです。大した放射線は出ませんし、そんなに危険なものでもありません。しかし、使用後は違います。ウラン235の核分裂で、色々な放射性同位体が出来ていますし、当然死の灰も入っています。プルトニウムも出来てます。強烈な放射線を出しますし、熱も出ます。もう大変な危険物なのです。この危険物をプールに入れて数年放置して(半減期が短い放射能がどんどん減ります)、これをこの容器に入れて、再処理工場まで運ぶ訳です。燃料棒の模型です。今は日本原子力研究開発機構は核燃料の製造はやってませんけど、旧動力炉・核燃料開発事業団(懐かしい「動燃」ですね、まだ、PCで一発変換できます)の時代には、核燃料の生産は表芸だったのでございます。商用原子力発電所は、殆どが沸騰水型軽水炉(BWR)か加圧水型軽水炉(PWR)なのですが、ここでは、高速実験炉「常陽」用の燃料棒とか、今は亡きガス冷却炉(GCR)用の燃料棒なんかも展示されていました。核燃料にも歴史ありでして、その昔は、金属ウランで無濃縮の燃料を使う形式が主流でしたが、余り高出力に出来ないので、濃縮燃料がだんだん主流になって行きます。現在は二酸化ウランの濃縮燃料が断然主流です。今度は燃料集合体です。核燃料と言うのは、中々複雑な構成になっています。ペレットと言う、大き目の錠剤くらいの背の低い円柱状の濃縮ウランを先ず作ります。この小さな円筒を金属筒の中に入れて、長い棒状のものに組み上げるのです。これが燃料棒です。この燃料棒を何十本も組み上げて燃料集合体を形成します。これが原子炉の中に入っている訳です。核分裂反応というのは、本来立体的なものです。核分裂の連鎖反応は、ウラン235核分裂時に飛び出す中性子が、周囲のウラン235に衝突し、更に核分裂を引き起こす訳です。中性子が上手く飛ぶようにいろいろと考えて配置している訳ですねえ。核燃料の組立工程を説明しているパネルです。こちらは高速増殖炉「もんじゅ」の模型です。高速増殖炉というのは、ウラン235の核分裂のエネルギーを取り出すと同時に、核分裂時に出てくる中性子をウラン238に当てて、核分裂するプルトニウム239をバンバン作ってしまうと言う形式の原子炉です。冷却材には熱効率が軽水よりもはるかに優れる金属ナトリウムを用います。ただ、金属ナトリウムは空気中に置いておくだけで発火しますし、水に入れれば苛性ソーダになります。扱いの難しい冷却材なのです。マニュピレータでございますね。放射能は放射線を発するので危険です。人間の身体に直接の悪影響を及ぼすのは放射線なのです。放射線は、ちょっと距離を置くと 被爆 → 被曝 量が急速に少なくなります(逆に体内被曝は悲惨です)。そんな訳で、放射能を扱う時に、このようなマニュピレータを用いて 被爆 → 被曝 量を抑制する訳です。ちなみに動きます。操作は非常に難しいものでした。これの操作には熟練が必要です。 →被曝と被爆の用法が混乱してました。 →喜多山栄さんのご指摘で修正できました。 →ありがとうございました。 →このブログは皆さんのご指摘で少しずつ資料的な価値を増します。 →表記や内容の問題にお気づきになった方は是非ご指摘下さい。この物体は直接は核燃料とは関係ありません。ウランガラスです。ガラスに微量のウランが含まれており、暗い場所で微量の光を当てるとこのように緑の光を発するのです。いい感じです。謎のオブジェです。最後の画像は、私を案内して下さったコンパニオンさんです。ご本人のご諒承を得て撮影致しました。以上で、アトムワールドについてのレポートを終りにします。アトムワールドには上記の他にも、再処理工程に関する展示があるのですが、暗くて撮影できませんでした。次回は原電東海原子力館(テラパーク)を軽くご紹介して、水戸に進みます。宜しければ、引続きお付き合いください。なお、以前に東海村を訪れた際の模様を過去日記に収録しています(JCO臨界事故展示 原電関係)。宜しければ是非!。【昨日のマイレージジャンキー的な成果】 朝食(SUICA) 4マイル(JL)ローソン(JCB) 3×1.5倍≒約4マイル(NH) 良ければ一票お願いします。過去の旅行先の一覧はこちらに!