異物混入:相次ぐ騒動、未だ原因特定できず
「ネズミ入りセウカン(韓国版えびせん)」「カッターの刃入りツナ缶」事件発生以来、食品医薬品安全庁など関係機関やマスコミには関連情報の提供を求める声が相次いでいる。特に、問題の起きた農心と東遠F&Bに対し通報が集中している。先日、東遠F&Bのツナ缶からカッターの刃が発見されたことを受け、ソウル市内のある大型スーパーの棚には「この缶詰は回収対象製品ではありません」という案内文が掲示された。/写真=朝鮮日報データベース 食品医薬品安全庁は25日、異物混入騒動後に通報を受けた東遠F&Bのインスタント・ライス(イーマート自社商標販売)と緑茶飲料、農心の「コメ・セウカン」と「ヨンガリ・ラーメン」の異物について調査、「コメ・セウカン」を除く3製品については製造過程でなく流通過程での損傷などにより変質したという結論を下した。だが、異物混入騒動は一向に収まる気配を見せず、ミミズ・ハエ・虫などが出てきたという訴えが相次いでいる。 消費者団体の専門家は「これまで不満を持っていたものの我慢してきた消費者の怒りが爆発した」と分析、「こうした現象が感情的な不満の放出にとどまらないようにするには、徹底的な原因把握が必要」と指摘する。このため、今回の問題のきっかけとなった「ネズミの頭入りセウカン」「カッターの刃入りツナ缶」の原因を正確に究明すべき、と口をそろえる。◆「ネズミの頭」混入経路は迷宮入り? こうした指摘にもかかわらず、400グラム入りの大型「カラオケ・セウカン」の袋から発見されたという「ネズミの頭と推定される異物」の混入経路は迷宮入りとなる可能性が高くなっている。17日に食品医薬品安全庁が初めて事件を公開したときは、「中国・青島の農心工場で生産された半製品に混入された可能性が高い」と発表されたが、関係者は「根拠が不十分な推論を安易に発表した」と指摘する。 農心側も、異物を発見した消費者が訴えた後、数回にわたり中国工場に対し調査を行ったが、問題点を発見できなかったと主張している。また、最近行われた中国保健当局の調査でも特に問題はなかったと伝えられた。中国保健当局は、特にネズミが食品に入ることに神経質になっており、ネズミの混入を防止する防護壁を設置するなど、対策を徹底しているとしている。このため、中国保健当局は「韓国で起きたことを中国側に押し付けている」と強く反発、外交問題に発展する兆しすらある。 農心の幹部は25日、「消費者が混入を訴えてから、農心は1カ月も問題を隠してきたと批判されているが、その間は原因究明のため最善を尽くしていた。ネズミが混入する可能性があるのかどうかを調べるため、実験用のネズミを数十匹購入し、製造工程の各段階でさまざまな実験をしたが、あのような異物が混入するのは不可能だという結論に達した」と語った。しかし「結論はともかく、こうしたことをとやかくすること自体、さらに信頼を失わせるので、自制するしかない」とも話している。 このため、複数の市民団体は「食品履歴追跡制」などを導入し、食品製造段階別に問題を把握すべき、と主張している。◆製造効率アップで安全が犠牲に 農心とは対照的に、東遠F&Bのツナ缶にカッターの刃が混入した問題に関しては製造工程で発生したことを食品医薬品安全庁がはっきり結論付けている。食品医薬品安全庁が調査したところ、問題の製品が製造された当時、ベルトコンベヤーが故障し、発見された異物と同種のカッターを使い修理されたことが確認された。この際、東遠F&B工場に設置されているレントゲン異物探知器は、缶詰の外縁から内側へ9ミリまで(図参照)の部分は異物が存在しても探知できないことが明らかになったのだ。 食品業界の関係者らは「異物探知器が缶自体を異物として誤認識するのを防ぐため、一番端からある程度の範囲を探知しないようにしているが、東遠F&Bの場合はその範囲が広すぎるようだ」と話す。金属性の異物が探知されると、自動で製造ラインが停止するため、異物探知器の感度がよすぎて製造ラインの停止が頻発し、生産効率を落とすことのないよう、誤差の許容範囲を広げ過ぎているのではないかということだ。一般的に食品業界では異物が感知されない範囲を外縁から2‐3ミリに設定しているという。 これに加え、「ベルトコンベヤーが切れ、缶の蓋が覆われていない状態のまま、近くでカッターを使い修理したということも、衛生・安全に対する認識が不足している」と批判されている。 東遠F&Bの関係者は「食品医薬品安全庁が発表した調査結果によると2メートル離れていたカッターの刃が飛んできて、缶の外縁に縦に入り込んだということになる。ほぼあり得ないことだが、反論できない状況」と述べている。金徳翰(キム・ドクハン)記者朝鮮日報/朝鮮日報JNS