力尽きたお祖父ちゃん
朝 身支度をしていると リーンと電話お客様の予約かな?「お祖父ちゃんがもうアカン・・・」お祖母ちゃんの声が震えてる。救急車で運ばれたと言う病院へ行けばいいの?「もう家に帰ってくるから・・・」高速をノンストップで一時間半お祖父ちゃんは 仏間に寝かされていた。今年の正月過ぎ 寝たきりになってたものの食欲旺盛で まだまだ頑張ってくれると思っていたから心の準備が何も出来て居なかった。後で聞くと この夏過ぎから あまり食べてなかったと言う。白い布に覆われ眠っている顔は 滲みひとつなくしわも少ないお祖父ちゃんの優しい人柄そのままの穏やかな顔。でももう 「よー来たな」と言ってくれない。その日は帰り 次の日は御通夜娘 孫達は家に帰し 喪服を着る義姉と義妹の着付けの為 私は泊まる事にして 夫の兄夫婦と枕を並べ 棺の前で寝た。明けていよいよお寺の為 尽力し お坊さんとも親しかったお祖父ちゃんは長い戒名を頂き 6人のお坊様の 鳴り物 歌 お念仏に送られ 盛大なお別れの会 一番年上の孫の結婚を見届けもういいだろうと頃合を計り 夫が呼びに来たのだろうか。お祖父ちゃんと私の親子関係 42年間父なのに何時からお祖父ちゃんと読んでいたのだろう。冷たいほっぺに花を添え おとうさん ありがとう満90歳 頑丈だったお祖父ちゃんは骨になり姿がなくなった。帰り際 42年間儀式の様に交わし続けた会話方言で 「考えて帰れよ」 「うん 分かってるよ」とうとう 無くなった。