間違ったヘアケアで老化が進むのは髪だけではありません。恐いのは顔も同じように老化してしまうことです。 なぜヘアケアと顔が関係あるの?とおっしゃるでしょうが、実は頭皮と顔は密接な関係があるのです。 皆さんはふつう毛が生えている部分は頭、生えていない部分は顔、と分けて考えているのではないでしょうか。 ところがこれは大きな間違いです。たとえば額がハゲて大幅に後退してしまった人の頭を考えてみてください。 どこからが頭で、どこからが顔か、おそらく昔の写真を見なければ区別はつきにくいでしょう。 そうなのです。頭と顔は単に毛が生えているかいないかの違いだけで、皮膚はつながっているのです。当たり前ですね。首から上をまるい球体ととらえれば顔も頭も一つなのです。これを私たちは「山崎球体理論」といっています。 |
| 若いときは誰でも筋肉は引き締まり、皮膚もピチピチしています。しかし花の命は短いように、二十代後半にもなると自分でも気づかないうちに少しずつ老化が始まります。
引き締まっていたボディラインも、輝くように美しかった皮膚も、徐々にシワやたるみとなって頭から顔へ、上半身から下半身へと落ちてきます。頭皮つまり頭部の上半分がたるむとそのたるみはまず、生え際から額、ほほ、あごへ下がってくるのです。
頭皮と顔の関係をわかりやすく説明するために、水を八分目ほど入れた丸い風船を想像してみましょう。 次に、その水が入ってふくれた風船の結び目をちょっと上に持ち上げてみてください。すると風船は上に引っ張られ、ピンと張ってシワもたるみも出ません。
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ところが手をゆるめるとたちまちグニャッとたるみ、シワが寄ってしまいます。頭と顔の関係もこれと同じです。風船の結び目は頭皮です。つまりいくら顔の手入れをしても頭皮がたるんでしまったら無駄になってしまうということです。
詳しいことは後でまた述べますが、皮膚や髪を作っているたんぱく質は、アルカリ成分や化学薬剤に対して極めて弱い性質を持っています。たとえば頭皮はアルカリ溶液がかかるとふやけてふくれてしまう「膨潤」という現象を引き起こします。
つまりふだんは弱酸性に保たれ、引き締まっている頭皮は、アルカリ溶液によって細胞がふやけて膨潤し、その結果としてたるみが出てしまうというわけです。
私たちは日頃、顔にシワやたるみができないよう収れん化粧水で肌を引き締めたり、マッサージをしたりしていますが、その一方で頭皮にアルカリ性製品を使い続けたらどうなるでしょうか。 |
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シャンプーやパーマ液、染毛剤など、球体のてっぺんの毛穴からしみ込んだアルカリ溶液が頭皮を膨潤させ、シワやたるみを促進しているといっても過言ではありません。
とくに染毛剤は頭皮のさらに下にある真皮や毛乳頭にまでしみ込み、強いダメージを与えてしまいます。これではいくら高価なクリームや弱酸性化粧水を使っても、あまり効果は期待できないでしょう。
逆に頭皮がピンと張りつめていれば、皮膚のたるみを最小限に抑えることができます。従って顔や首のシワをなくしたいなら、顔のお手入れと同時に、いかに頭皮をたるませないか、ということを考えるべきなのです。 | |
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皮膚が本来の弱酸性を保った状態であれば、自然な殺菌力が発揮されて頭皮は雑菌の繁殖から守られています。 また表皮細胞の収れん作用も発揮されるため、頭皮は適度な油分と水分を含んで引き締まっています。この状態が皮膚の生理としてはもっとも理想的なのです。
けれどもシャンプーをはじめその他のヘアケア製品、パーマや毛染めなどに使う薬剤は、髪と皮膚の弱酸性の性質をまったく考えていない、強いアルカリ性や中性のものが多いことは以外に知られていません。
同じ皮膚でありながら顔の肌をケアする化粧水は弱酸性が常識なのに、頭皮と髪には弱酸性が配慮されていないというのが現状です。そしてこのことは、まだまだ一般の消費者には知られていません。
頭皮も顔の肌も一枚のつながった皮膚として同様に扱う----考えてみればまったく当たり前のことなのですが。 |
※この連載は以下の著書より引用しております。
「髪は弱酸性でどんどんよくなる」
著者:山崎 光信
発行所:株式会社ドリームクエスト