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2009/12/24
カテゴリ：灯屋小劇場
１ とおい とおい 北のほうの 森の奥深くに フィールグッドという お化けが 住んでいました フィールグッド 何百年も森で暮らす みみと てと あしの長い 真っ白な お化けウサギです  ２ クリスマスの季節になると フィールグッドは 森をぬけだし 気がむいた どこかの町へと 遊びにやってきます フィールグッドが 町で 何をして遊ぶのかというと それは ひとに とりついて 遊ぶのです  ３ 町の灯りが見えるところまでやってくると フィールグッドは はやく ひとにとりつきたくて わくわく もう 楽しくて 楽しくて その長い みみと てと あしを ハタハタさせながら 町へと 駆けてゆくのです  ４ フィールグッドが とりつくひとは 誰でもよいというわけではありません フィールグッドは 不安・ 心配・ 失望・・・ そういった心を持った人にとりつきます 森の火事の炎の中で 火の精から 新しい命をもらって お化けになった フィールグッドは とても 暑がり だから そういった心は 冷たくて 気持ちいいからです  ５ フィールグッドは 町の中で とりつく獲物をみつけると うしろから じわりじわりと 近づき そのからだを 自由に のばしたり ちぢめたりできるので とりつくひとの 体格に あわせて エリマキのように くるりと首のまわりにとりつきます そして とりついたフィールグッドは 必ず こう つぶやきます 「ああ いい気分」  ６ なぜだか フィールグッドにとりつかれた 気分の落ち込んでいたひとは 胸の中に 小さな灯りがともったように 心が 急にポカポカ 温かくなって ほっとして とっても いい気分 そして 決まって 誰もが 不思議な 歌を 歌いだします ♪ 願い事を 叶えたいなら いい気分になりな いい気分でいれば いい気分になれる わたしが しあわせなら この世界は しあわせ この世界が しあわせなら わたしは しあわせ  ７ 町の中のあっち こっちで フィールグッドに とりつかれたひとが この変な歌を 歌いだすものですから もう 町の中は大騒ぎ ♪ お金持ちになるのなら いい気分になりな いい気分でいれば いい気分になれる わたしが 豊かなら この世界は 豊か この世界が 豊かなら わたしは 豊か  ８ そして フィールグッドにとりつかれたひとびとは 町の あちらこちらから 自然と 広場に集まりだし とうとう 最後には みんな 手をつないで 笑いながら 輪になって 踊りだしてしまうのです ♪ 平和な世界に したいなら いい気分になりな いい気分でいれば いい気分になれる わたしが 平和なら この世界は 平和 この世界が 平和なら わたしは 平和  ９ フィールグッドが やってきた町は どこの町でも 町中のすべて人たちを巻きこんで お祭騒ぎが はじまってしまいます でも そのころには 町の中には 不安・ 心配・ 失望・・・ そういった心を持ったひとが 誰ひとりいなくなって みんな いい気分！ しかたがないので 退屈したフィールグッドは 森へと とぼとぼ ひとりで 帰ってゆきます  １０ 何百年もの 長いあいだ 何百万人という ひとにとりついた フィールグッドは ある ひとつの 法則をみつけました それは いい気分でいる ひとは いい気分な出来事を もっともっと 経験する ということ いい気分でいることは とっても素敵なこと あなたの心配の音叉が 鳴っているときは あなたのまわりの 心配事が共鳴して ふるえはじめる あなたのいい気分の音叉が 鳴りだしたら こんどは あなたの世界の いい気分なものが ふるえだす 町の灯りを ふりかえりながら フィールグッドは こうつぶやきます 「やっぱり ぼくは いつも いい気分でいたいな・・・」 とりつくひとがいなくなって ちょっぴり さびしい フィールグッドだけど ほんとうは ひとにとりつくよりも フィールグッドには もっと いい気分になることがあるのです それはね 自分が訪れた 町の灯りが いく前よりも もっともっと 明るく 輝いてみえること  はるか 天空 高く 漂う 見えない 小さな水の粒たちが 大いなる 自然の意思にしたがって 集まり 形創られ やがて 雪の結晶となって あなたの前に ひらひらと 舞い降りてくるように あなたの中の いい気分な 素敵な願いが やがて 形となって あなたの人生に 舞い降りてきますように  偉大な あなたの中の サンタクロースに Merry Christmas ！ おしまい お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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