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テーマ:W不倫について(227)
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いかにもですが
彼と観てきました。愛の流刑地。 いろいろ考えさせられる映画だったなぁ。 原作を読んでいないので映画限定の感想になっちゃうけど。 映画を観る前は 「行為の最中に愛する人に殺してって頼んで 首を絞めてもらう」 っていうストーリーだって事ぐらいしかわからなかったので 実は、私には「???」だらけだったんです。 共感できない2つの部分があったから。 ●心から愛する人を殺人者にしようなんて思わないのでは? (それが愛っていえるの?) ●いくら男に溺れたからといって 幼い子供3人を置いて死を選ぶなんてありえないのでは? 原作者が男だから 命を捧げるほど男に溺れて狂ってしまう 男の願望の理想の女性像を描いただけ? (子供のいる)女の気持ちがよくわかってない? とまでも思ったりしてたんです。 冬香も行為の興奮の中で殺してって口走るけど 本気の本気じゃなかったのでは? 菊治もついうっかり強く締めてしまった事故だったのでは? そうも思ったりしました。 (愛のコリーダの阿部定と吉を思い出します。) でも、実際に映画を観てみると もっともっと様々な想いがめぐりました。 見る側の考えでいろんな受け取り方が出来る 奥の深い映画でした。 浅いを思う人にはすごく浅いと思う。 結局映画なんて観る側次第なんだろな。 その人のその時の環境、状況、心情によって 全く違う映画になってしまう。 なかなか寺島しのぶ演じる「冬香」には 心から共感する事は出来なかったけど 理解しようといろいろ考えを巡らせたりはしました。 (反対に豊川悦司演じる菊治は、リアリティがあって 比較的わかりやすい人でした。 男の原作者だからかな?) 冬香は神秘的で現実離れしてる。 菊治は現実の社会に生きている。 (そして生き続ける。) 対照的に描かれていたと思う。 なぜ冬香は「殺して?」って頼んだのか? なぜ菊治は願い通り首を絞めたのか? この2つがこの物語の核心だと思うので 簡単には答えは出ないし ひとそれぞれがそれぞれに解釈していくしかないと思うけど 一応は次の様な感じです。 今まで良妻賢母だった冬香は 菊治によってはじめて女の喜びを知る。 身も心も愛し抜いてしまい 菊治以外には触れられる事も不可能になってしまい 夫を拒む。 夫はそれなら出て行け!と責める。 子供を捨てて出ていって 毎日罪悪感に苛まされる一生も耐えられない。 かといって夫の求めに応じながら 結婚生活を続ける事も絶対に無理。 どこにも道がない。 八方ふさがり。 「死」しかない。 私が(密かに)思うには、最初に冬香は「心中」を思ったのかも。 だって一度菊治に聞いてるもの。 「私はあなたの為なら死ねるわ。 あなたは私の為に死ねる?」 菊治はちょっと驚いた表情の次に 照れくさそうに微笑みながら首を横に振る。 (悪い冗談はよせよぉ、的な) このシーンはなにげなくさらっと済んでいったけど 私は(密かに)実は、この時の冬香の心の奥の落胆が その後の残酷な決断に繋がっていったような気がする。 私の最大の謎。「どうして心から愛する人を殺人者にできるの?」 それを解く材料になり得る気がする。 死を選ぶなら、どうして一人でイカナイ? なぜ菊治の手で? 何も考えなかったら それはそれは幸せでしょう。 文字通り死ぬほど愛する人の手で しかもつながりながら イケルなんて。 「死」の中では文句なく最高でしょう。 冬香にとっては夢のように幸せな最期。 でもその後の菊治は? 愛する人を失った上に 殺人者としてこれからの一生を生きていかなくちゃならない。 菊治には娘だっているのに。 映画の中では一応次の様な解釈があった。 「最初の女にはなれなかったけど 最後の女になりたかった」 菊治の手にかかって死ぬ事で 菊治を独り占めしたかった。 菊治本人も言ってました。 「私は、選ばれた殺人者なんです」って。 冬香のその非情なまでの容赦ない愛は いったいどこからくるんだろう。 それに十分足りるほどに 私には想像が及ばないレベルほどに 菊治を愛して愛して愛していたっていうこと? (私だけを想いながら殺人者として一生生きていく。 そのぐらい当然でしょっ) て思えるほどに。 そこまでの愛はさすがに想定外だわ@ 私には。 菊治はなぜそれをやり遂げたのか? については 微妙なところです。 冬香に導かれるまま ついやってしまったっていうのが正しいと思うけど 殺意がほんの一瞬でも無かったのかって言うと どうなんだろう。 願いをかなえてこのまま一気にって一瞬思ったかもしれないけど でもそれって殺意っていえるのかな。 行為の興奮の中で芽生えた一瞬の殺意ってあてになるのかな。 よくわかんないところです。 不倫を上手く続けるにはいろいろ条件がいるのね。 夫婦がセックスレスだとか そうでなければ 夫の求めに応じ続ける覚悟や度量や割り切りがあるとか。 いろいろあるけど 不倫妻にとって 夫の求めを拒否する事が、一番修羅場に直結する気がする。 発覚とか、離婚とかの。 「愛する人にしか抱かれたくない」 っていう純粋な乙女には不倫は向かないって事だろうな。 私? 私は来るものは絶対に拒まず。 もとから汚れきってるからいいんです。 (って言い聞かせてみる) 話がそれました。 私は冬香の母の想いに一番共感しました。 (なんだかんだ言っても母が子を想う愛に 勝るものなど) 菊治とはまた別の面で密接に娘を感じていた母。 娘の事を、その選択さえ 理解する母。 娘の女としての想いを理解はしても それでも どうしても菊治の事は許せない。 いくら娘が願っても やってほしくなかった。 別の方法で冬香を生かせて欲しかったって 無理ってわかっていても そう思わずにはいられないんだと思う。 法廷で証言台に立つ冬香の母。 母としての娘への深くて強い想いに初めて触れ る菊治。 殺すつもりじゃなかった、殺してって言われた、 って言い続けてきた菊治が たぶん初めて嵐のように罪悪感が押し寄せた瞬間。 菊治が思わず 号泣しながらなりふり構わず母の前で土下座するシーンは 一番感動して泣けちゃいました。 娘の想い、願い、 理解はできても どうしても許す事が出来ない。 殺して欲しくなかった。 だから菊治に有利な証拠となる冬香から母への「手紙」を 自分の手の中におさめ、 判決が済んでから 菊治にそっと渡した。 間違いなく 本気で冬香が自ら死を決心したっていう 証拠の手紙。 菊治がそれを読んで すとーんとすべてを受け入れたように 「わかったよ、冬香、わかったよ。 8年間、冬香とココで一緒にいるよ。」 って涙を流す場面は じ~んとしました。 あ、、 冬香の母は、冬香と菊治を出来るだけ長く一緒に いさせたいという想いもあって 証拠を出さなかったのかも。 軽い罪では 娘のその愛の深さと釣り合わないから。 たとえ塀の中ではあっても 出来るだけ長い間 冬香と菊治を二人だけにしたかったのかも・・・ 長くなりました。 それだけ 今の私にとっていろいろ考えさせられる映画だったって 事だろうな。 原作、読んでみようかなぁ。 男の原作者だといまひとつ共感できないような気がして 敬遠しがちだけど 男のほうが女をわかってるって部分もあるかもね。 読んでみようかなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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