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国境なき うずら団

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2008年04月19日
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カテゴリ:東京で
 家から斜向かい、大通りを越えると昔ながらの床屋がある。

 客は全て、判で押したように七三分けで出てくるのだ。子供の頃ならいざ知れずこの年になると無邪気に扉を開ける事も出来ないが、ふと懐しさをおぼえる。立ち去りがたく扉のデコシールを見れば、普段は

 「営業 365日 9:00~18:30」
 と貼ってある。

 ああ、そういえば。
 いつでも大通りを眺める待合席で店主が眼鏡をずらして新聞を眺めているのだった。店主も気の毒に、1年が365日休み無しだ。今年2008年はうるう年だから、流石に1日は休みが頂けるか。良かったな、と。

 そう思っていつ休みを取るのだろうと年が明けてからずっと気にはなっていたのだが。


 本日、了解した。
 シャッターが閉まり、店舗の脇の自宅には黒服の人が何人も出入りしていた。たまたま通りがかったら、店主がきちんと眼鏡を掛けて額縁写真を持って出てくるところだった。成程、そうかそうだったのか。今日がその休みだったか。掌を拳でポンと叩いた。

 そうして店主がまた店を開けてくれるようにと願いながら通り過ぎた。





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最終更新日  2008年04月22日 22時55分34秒
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