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カテゴリ:愛のハーベスト
前回までのあらすじ
自らの出生の秘密を知った エグ美 そして 夜が明けるまでに みか彦との想いを成就しなければ。 エグ美の運命が… みか彦の住む街へ向かうエグ美 【愛のハーベスト第5回 ~クロスロード~】 一方 三上、温州とのドライブから戻り、 ミカ彦は 一人地元商店街を歩く ミカ彦 『同期って やっぱりいいなぁ。少し気が楽になった。 とは言え、明日は【甘夏って・・・プロジェクト】のプレゼン日 みかん生産者、甘夏生産者、外郭団体を前にしてかぁ あぁまた気が滅入ってきた』 『みか彦ぉー、みーかーひーこー』 みか彦の名を呼ぶのは・・・ ミカ彦 『なんだ くけ子かぁ』 くけ子 『なんだとはなによ、こんな美女が呼んであげてるのにさぁ しっかし、なんて顔してんの。良かったら話してご覧なさい、少しは楽になるかもよ』 ミカ彦 『えっらそうに。話しても分からないと思うけど 昨夜アンナコンナ事があって、明日はプレゼンがあって』 くけ子 『元気出しなよ、よっしあたしがご馳走してあげる ご飯もまだなんでしょ?』 ミカ彦 『いいよ別に、第一 お前こそ 付き合ってる人に見つかったら 大変なことになるぞ』 くけ子 『実は 先月バイバイしました。報告終わり』 ミカ彦 『報告終わり、じゃ無いよ。ったく バイバイされたんだろ?』 くけ子 『では そーゆー事で、 ほらほら行くよっ!』 みか彦 『いつもこの調子だよ。ハイハイ お供します』 夜の帳が下りて来て 行き交う群集の中 ミカ彦を探すエグ美 そんな事は 何も知らず 暖簾をくぐるミカ彦、と クケ子。 2時間ほどの時間が過ぎた みか彦 『だからさぁ、ヒック。俺は そんなつもりじゃ、ヒック。わかる~』 くけ子 『分かるって何度も言ってるでしょ、この酔っ払い! 明日 大事な仕事があるんでしょ、今日はこの辺にしとこ、 すいませ~ん、おあいそ』 みか彦 『わかりました、帰りますよ~』 ガラガラガラ。マイドあり~ シャッターの下りたアーケードを歩く。 しかし、みか彦は既に千鳥足 くけ子 『ちょっと、足もと フラフラしてるじゃない、 危ないなぁ』 みか彦 『な~に言っちゃってるの、まっしゅぐ歩いてますよ~ ほらね、駆け足だって。タッタッター』 くけ子 『危ないよ、あっ!そっちゴミ袋の山が』 ドス、バァサッ! 飲食店の出したゴミ袋の山に突っ込んだ みか彦 くけ子 『あちゃー。やっちゃった~。』 みか彦 『助けて~、ヘルプヘルプ くけ子~』 くけ子 『ほら、手につかまって ヨイショって、 力入れすぎだよ、倒れる~』 ドス、バァサッ! みか彦の制御の利かない力に 引っ張られ くけ子まで ごみ袋の山へ 通行人 『ヒューヒュー 熱いねぇ お二人さん おっちゃんも混ぜてもらいたいもんだ。チリンチリン おっちゃんは、ビールを買い足しに行くよ~』 冷やかされるのもムリが無い状況。 やっと二人が体勢を起こそうとした時・・・ 『み、みか彦さ、ん?』 焦点の定まらないミカ彦の目に映ったのは 彼を探し疲れて、アーケードを途方に暮れていた エグ美であった。 エグ美 『どうしたの、ひどく酔っ払ってるの? 隣の方は・・・』 みか彦 『いやぁ ちらうんだよ、ご・か・い! ヒック。 こいつ、先月バイバイしたから』 エグ美 『何言ってるの?別れた人を 酔って抱擁なんて こんな街中で・・・ ひどい、何て人なのっ!』 クケ子 『いや、あの違うんですよ。これは、その』 みか彦 『そうそう、バイバイだから♪ こいつは』 エグ美 『こいつ、とか仲がよろしいんですね、 バイバイって、こうして 仲良く会ってるじゃないですか。 もう結構です、さよなら』 パカパカと信号がまたたく小さなスクランブル交差点を 去るように渡って行く みか彦 『ご・か・い だって♪。待ってヨ~』 酩酊状態のミカ彦には、追いかける事はおろか 弁解する事もできなかった。 どうして 『誤解』という歯車ばかりが 噛み合ってしまうのか・・・ 飛び込む胸を失ったエグ美が戻る先は、 もぅあそこしか無かったのである。 そして、信号は赤に変わっていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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