|
|
|
2009.10.17
カテゴリ：カテゴリ未分類
 前回までのあらすじ皮肉にも 精巧にかみ合った 誤解の歯車・・・ 踏み込んで失意に至り、踏み込まず失意を抱える ふたり。 エグ美は、自らの退路を断ち 命を全うすべく決意する。 みか彦も やがて落ちてくる黒い闇に 今は気づかずにいる・・・ 【愛のハーベスト 第7回 ～大人達の仕掛けた罠 後編～】 ●さて、再び プレゼン会場では…  みか彦 『ですから、歴史的に考察しても 【蜜柑】 と古来中国では呼ばれており これは、甘い柑橘を表しています。 また、コタツに蜜柑は冬の伝統的叙情であり、 この大会を機にですね、蜜柑を 蜜甘と呼びかえることが重要かと 反面、甘夏は、逆に清涼感を前に出して 【スイート アシッド サマー】でイメチェンをですね、  甘夏団体 『一方的な事を言うな！今更 定着するか！ 俺達は 1936年、カワノナツダイダイとして発見され 1950年に登録、 しかし1971年の輸入自由化により 海外からのグレープフルーツに活躍の場を奪われた！ 奴らは、今 居酒屋のサワーというスクイーズ市場や 缶チューハイ市場の定番化に成功している 俺達の出荷時期には メロン、スイカ、パインなど競合も激しい その割には 旬が夏だけと短いんだ！ お前達 蜜柑はどれだけ ハウスでヌクヌクして来たんだ！』  みかん団体 『われわれも、1991年の完全自由化により 輸入オレンジに市場を侵食されてきてるんだ！ オレンジ果汁関税減免などにより 奴らは 飲料部門に進出できたが ８月に摘果されるみかんを有効活用し、 圧搾した摘果ジュースは、とてもおいしいんだ！ だが、現行の食品衛生に関する縦割りの法律では 農家がそれを製品化・流通出来きる仕組みになっていない！ だから、殆どが廃棄処分になり、味すら世に出ないんだ！』 みか彦 『ちょっと、みなさん 落ち着いて、静粛に』 みかん・甘夏団体 『うるさい！、お前など用は無い、痛みの無い奴に 司会進行やパネラーが務まるか！』  会場は、騒然となり、もはやプレゼン大会の 体をなしていなかった。 権力者は常に 現場の熱気よりも 予定調和外の不穏ばかり気にする  外郭団体長 『有田さん、話が違うじゃありませんか。両団体をまとめて 自給率を上げると言う 大儀はどこへ行ったのですか！ 第一、タイトル自体 ふざけておる！ これでは甘夏団体が感情的になるのは 当たり前です。 何よりも、私のメンツをどうしてくれるんだ！』 有田部長 『いや、これは 青島が一人で招いた事態で、 私は何も･･･、 実に困ったもんです』 外郭団体長 『なんにしても、それなりの責任はとっていただきますよ！ ふふふ、ははははは。』 有田部長 『ふふふ、先生も、相当なワルですな・・・』 外郭団体長 『なんの事ですかな？ 有田さん、ハハハ』 有田部長 『みかん、甘夏 両団体を友好的に束ね、 輸入果実から 国内作物を守るのが役目の貴方が･･･』 外郭団体長 『まさか、輸入柑橘の促進団体の バイパス役に励んでいる、とでも？』 有田部長 『それは、私の口からは・・・。 しかし、先生も 今回の件で 相当 実りがあったのでは？』 外郭団体長 『誤解の無いように。 種を撒いたからこその 収穫ですぞ、フワハッハッハッ。 しかし、お宅の若い社員は？』 有田部長 『ははは、ご冗談を、あんなの 一山いくらの話ですよ』 有田の策略により、散々な結果で終わった プレゼン大会。 いつの時代も 水と力は 高いところから低いところへ無情にも流れ落ちていく。 有田は、冷酷な処遇を みか彦に告げる 有田部長 『よくも大会を、ブチ壊しにしてくれたね、君を 明日の朝の収穫で 出荷してもらうよう 手配したよ』  みか彦 『そ、そんな、一方的な話、そもそも あのタイトルが』 有田部長 『言い訳無用だ、キミも蜜柑としての役目を果たして本望だろう 私は、これから外郭団体長さんと フォローの会食だ。 これで失礼する』 その後の 有田と団体長の会食の際、 団体運営費として 有田個人へ 動いた実弾は 数億とも十数億とも言われている。 かくして、みか彦は、蜜柑として産まれてきた運命を全うすることになった。 ただ、その運命は早すぎる展開だった。 彼の エグ美への想いは 未完のままである。 お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
|
