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カテゴリ:愛のハーベスト
前回のあらすじ
温州みか造の親戚、伊東ミカキ(伊豆半島 伊東産)により 規格外を逃れ、早生みかんとして スーパーへ出荷される事になった みか彦 【愛のハーベスト 第9回 ~(I'm) close to you~】 開店前の スーパーでは 開店時間にめがけて忙しなく 入荷された様々な商品が搬入され、陳列されていく 玉恵 『ほら、新顔さん!起きなさい もうすぐ開店時間よ』 エグ美 『は、はい ふわ~ おはようござます。 隣のパックの玉恵さん』 玉恵 『いいこと、開店前に もう1度だけ教えるわよ スーパーに並べられてる全ての商品は、買っていただくためにあるの。 その為に、お店のスタッフは 床・什器などのクリンリネスの徹底 前進立体陳列の実施、POPのコメント、書体、1文字まで 入念に作成されているのよ。 私達も それに胡坐を掻いていないで、自らお客様にアピールするの。 「お客さん、美味しいたまごです。黄身もプルンと鮮度が良いですよ 朝食のタマゴ掛けご飯に、おすすめ。半熟目玉焼きも。 そろそろ寒くなってきましたら、おでんでもいけますよ?」 ・・・ってな感じでね。 ほらほら、あなたも やって御覧なさい! 鮮度が良いうちに売れていくのが たまごの華ってもんよ』 エグ美 『はい、わかりました。 「お客さん、美味しい・・・・・・・・」 あれ、アドリブって即興が利かないもんですね』 玉恵 『もう、しっかりしなさい。 しかし、 世帯人口が2005年 2.56人 が 2030年には 2.27人 家族類型別割合は 2030年には 65才以上の単独世帯がさらに増えるでしょ、あと 親1人と子の世帯が増えて あとは 軒並み構成比ダウン これじゃ 大家族が核家族化が問題になった頃の話が 嘘みたいね~ 今日は バラ売り大市の日、もう大容量の時代じゃないかもね』 アナウンス『本日もようこそいらっしゃいませ。 10時 オープンの時間でございます』 店内には、売り出し品の 威勢の良い 声かけが始まる。 いらっしゃいませ~! 今日は 今年初めての 露地みかんの 初荷が届きました! 早生で青いですが、あまくて美味しいですよ~ 1個から お買い求めいただけま~す みか彦 『よっこらしょっと、 さて、早生みかんとして 店まで来たのは良いけれど この先どうなる事やら。 不安だなぁ・・・』 ミカキ 『よいしょっと ここまで来たら 腹くくりなさい。 お客さんに ちゃんとアピールすれば、買っていただけるものよ。』 みか彦 『おおっ! ミカキさん、同じお店になれたんだね。』 ミカキ 『腐れ縁かしら、もっとも みかんは腐っては いけないけどね さぁ、はじめるわよ 「お客さ~ん、今年初めて取れた 早生みかんですよ~。 小ぶりながら 甘くて美味しいですよ~」 さあさあ、みか彦さんも!』 みか彦 『わかったよぉ~ 「お客さ~ん、え~っと 見た目と大きさは早生ですよ~ 甘いかもよ~」 ・・・・・・・・・・』 ミカキ 『そんなんで 売れるわけないでしょ!』 みか彦 『でも、食品に嘘はイケナイヨ・・・・』 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 玉恵 『な~んか、みかん売り場 大盛況よ! 負けてられないわよ、エグ美ちゃん!』 エグ美 『ホントですねぇ・・・』 『み、みか彦さん・・・』 ついに、巡り合わせの歯車がかみ合いだしたのか エグ美は 高鳴る胸を押さえきれない そうしている間に みかんは次々と売れていった ミカキとみか彦が まさに購入されようとしていた その時、 『早生みかんには、時々 ハズレがありますよ~ 完熟しきれていない みかんを掴まぬよう よぉ~く 考えてからに して下さいね~』 みかん売り場から離れた場所から聞こえてくる 不用意な 声かけ。 人間の耳にはそのまま聞こえはしないが なんとなく、感じる物があるのだろうか お客さんA 『・・・ やっぱり 止めておこうかしら もう少し 寒くなってからにしよう』 そのお客さんは 購入を止め 別の売り場へ立ち寄って行った 同じ声かけは ひっきりなしに続いた 『早生みかんには、時々 ハズレがありますよ~ 完熟しきれていない みかんを掴まぬよう よぉ~く 考えてからに して下さいね~』 みか彦 『!!!!! エグ美さん、この店にいたんだ! ・・・・・・・・・・・・・ しかし、なんて事をいうんだ! 止めろ!やめてくれ! ミカキさんも やめる様、言ってくれ!』 ミカキ 『・・・・・・・・ 本当、女心が わかってないね~』 みか彦 『なんだよ! ミカキさん!』 ミカキ 『みか彦さんが 売れてしまったら ホントにホントに サヨナラになっちゃうんだよ! だから、叱られるのを覚悟してまで ああしてるんじゃないの もしかしたら、売り場から廃棄されちゃうかもしれないんだよ!』 みか彦 『・・・・・・・・・・ 俺はどこまで 青いんだ。』 エグ美の声かけは、止むことが無かった。 やがて 声が 皺枯れて 聞き取れない状態だった。 それでもエグ美は 止めようとしなかった。 そして ついに 力尽きようとしたとき・・・ お客さんB 『あっ、たまご 切らしてたんだ、買っていこ。 これ、新しくて良さそうかな』 なんてことだろうか。 エグ美の入ったパックが 購入され買い物かごに入れられた エグ美 『えっ、そんな。』 購入客は 先を急ぐように たまご売り場を去った。 一瞬の出来事だった。 呆然とする みか彦。 その後 時間ばかりが過ぎて行った。 閉店 10分前 おっちゃん 『ビールの買い足し、買い足し と言っても、第3系ですよっと♪ 麦絞り、金麦・・・ 選べるって幸せだなぁ~ 基本、ロング缶ですよっと。 1本、いや2本にしちゃおうかな~』 幸せというのは ささやかな位が 丁度良い 高いビルから 見下ろす夜景も綺麗だが 立ってる場所から見上げる 空もまた綺麗である。 おっちゃん 『今日は1本でガマンガマン!』 チリン!チリン! そして閉店時間になった 灯りは 消えたのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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