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カテゴリ:SPY de レモン
作戦実行を控えた前夜
【日も落ち、ネオンが彩る繁華街】 眠らない街は 自らを鼓舞させ 欲望の華を咲かす。 ある者は 改札に吸い込まれ 混み合った車両に呑みこまれていき また ある者は 雑踏の中を彷徨い 大人が咲かせた華に惑わされ、群がり 心にささやかな 癒しと英気を蓄え そして 財や時を散らしていく 非日常めいた夜のひと時こそが、 日常と日常を 繋いでいるのであろうか。 【午前零時の向こう側】 街の喧騒も 今は やや息を潜めつつあった 灯りもほとんど消えたアーケード街 深夜のスーパーで買い物を済ませ 家路へ ライム 『あ~疲れた。 仕事とはいえ 今日あったばかりのお客さんに お酒を注いだり お話を合わせたり… …しかし 思い返せば 今日までいろんな事があったな 何人もの男が アタイの横を通り過ぎて行ったわ・・・ 仁、 あいつとの想い出は ギムレット。 ジンライムなんて頃もあったっけ、 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 岡さん、 覚えたてのお酒は モスコミュールだったな… ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 村クン、 ダイキリは 口当りの良いスィートメモリーね。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 酒は 泪か、溜息か… 悲しい恋の捨てどころ、なのかな。』 ガタガタッ! 暗闇から音がした。 ライム 『だ、誰かいるの? そこにいるのは?』 クゥーンクゥーン ライム 『な、な~んだ 子犬か… は~ぁ、脅かしっこナシだよ~』 クゥーンクゥーン ライム 『わかったよ、おチビちゃん。 アンタ お腹が空いてるんだね さっき買ってきた これ、あげるよ』 ライムは スーパーで買った ミルクを子犬に与える。 ピチャピチャピチャ ライム 『ウフフ、そんなに 慌てなくても大丈夫だよ。 よっぽどお腹空いてたんだね…』 クゥーンクゥーン ライム 『そうか、アンタもヒトリボッチなんだね。 アタイもだよ。 でっ でもね、アタイには仲間がいるんだ ちょっとトロイけど 思いやりがあって やる時は ヤル!の 貴李 あと、デジタルギアやコンピューターが得意のハン太 頭の回転が速くて カッコいいんだよ、ハン太は!』 ワン!ワン! ライム 『ふふっアンタも 早く仲間を見つけて 強く生きていくんだよ ごめんね、アタイ アンタと一緒には暮らせないんだ ミルク、全部置いてくね。 名前くらい、つけてあげなきゃね。 う~ん、アンタは 【太助】、いい名前でしょ! 達者でね!』 ワン!ワン! クゥーン スパイは 常に 自らの生死と背中合わせ ひとときの安らぎさえも 借り物の様である。 【続く】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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