愛のハーベスト 第6回
朝が来て みか彦とエグ美を待っていたのは各々の現実だけであった。【愛のハーベスト 第6回 ~大人達が仕掛けた罠 前編~】ベットの上で頭を抱える、みか彦みか彦 『やってしまった。 もう決定的だ… エグ美さん。 …………… ハッ! とにかく、討論会に行かなきゃ、 プレゼンしなきゃ、 悩むのはその後だ。』プレゼン会場に急ぐ みか彦会場では、外郭団体の団体長が特別室で見守る中甘夏生産団体・みかん生産団体 両団体がそれぞれ陣取るように 席を取っていた。有田部長 『青島君、今日は頼むよ、私の肝いりの大会なんだから』みか彦 『は、はい。相手を刺激せずに、みかんの良さをアピールし 流通価格を高値に持って行く、という狙いでしたよね。 がんばります、蜜柑の一員として。 しかし、【甘夏って・・・】のテーマは、 返って 向こう側を刺激して、まずいんでは無いかと・・・』有田部長 『私が考えた テーマに意見をするのかね? ゴホン。まぁ、くれぐれも頼んだよ、君も私も 今回が勝負時だ』紀伊半島の温厚な故郷で育った 有田部長だがふるさとを離れ、権力抗争と保身に飲み込まれた者のまなざしにはかつての公正さや、正直さ、やさしさは宿っていなかった。●一方、失意のエグ美は・・・雨の降る日は 傘をさせば 濡れずに済む。しかし、今のエグ美には 溢れる心の雫がこぼれ濡れないための傘も無く冷えていく心をかろうじて 歩き続けることで誤魔化していた。エグ美 『どうしていつもこうなんだろう。 傷つく事を恐れるあまり、結局 傷心してしまう。 これで最後と思えば、踏み出す覚悟もあるはずなのに。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ みか彦さん、何か伝えようとしていたのかな、 ・・・あ~もう、また自分に都合良く 考えてる、ダメダダメダ』 『でも、これで良かったのかも知れない、 元々は私のはっきりしない気持ちが原因だもの』足どり重く、帰ってきたエグ美を見かけ・・・ヒナ代 『エグ美、なんで帰って来たの?みか彦さんは…』エグ美 『ただいま、お姉ちゃん。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ これで、良かったの お姉ちゃん これで良かったのよ… 今日の出荷で ここを出ることにした。 それが産まれてきた理由だもん』ヒナ代 『エグ美・・・』エグ美の表情から 悲恋を察したヒナ代からはなんの言葉も続かず、ただ後姿を見守るだけだった。こうして、エグ美は 他の仲間達と一緒に採取されプラスチック製のエッグトレーで集荷されGPセンター(選別センター)に出荷されていった。そこで洗卵の後、選別される。仲間の1つが割卵されキミとシロミの盛り上がりや 透過光の影などにより特級、1級、2級、級外に格付けされる。エグ美は、パック詰めラインに向かった事から 1級以上の品質でありまた、40g以上46g未満のSSサイズから始まり、以降6g刻みでS,MS,M,L,LL までの規格重量区分においてはMSサイズに選別された。これは、スーパーが 他店競合戦術的にパック1円として仕掛けるサイズでもある。こうして、エグ実は パックされスーパーの店頭に運ばれていった。