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August 19, 2005
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カテゴリ:冒険少年の憂鬱
3時間あまりの時間が流れた。
検査としては、大がかりなものだった。
その間、意識は麻酔により麻痺させられて、夢さえも見ることのない、空白の時間がただ、ながれていた。いや、正確に言うと空白のまま、何事もなくそのままでいて欲しかった。

意識は、ぼんやりとではあるが、着実に戻り始めていた。
目もくらむような、手術用のライトをを中心に次第に周辺がぼやけていく、ぼんやりとしたいてハッキリとした光景だ。

思考回路がいつの間にか動き出したのか、
「あぁ、終わったんだな」そう感じた。
それと同時に何か違和感を感じた。胸騒ぎににたざわつきが、しだいに人の声の集合体で有ることがわたった。
違和感を感じた理由も、理解できたのだった。そのざわつきは、人の声だった。10人程の、若い女の子達だ。遠くにいたときは、大きなざわつきだったのが、こちらに近づくに連れ、少しずつ静かになって来たのだ。

それは、まるで、ホラー映画のアングルショットににている。ズームインしながら、カメラが引いていくショットににている。それが、結果として違和感となって不安をあおる事になる。

そうやって、ささやかな不安感を10人の女の子達が、運んで来たのだ。だが、その不安感に気づくにはまだ、意識の立ち直りが、追いついていなかった。
その女の子達は、看護実習生だった。実習が終わったのと、ボクの検査が終わったのが、ほぼ同時だったらしく、
「ちょうど良い機会なので、患者さんを病室まで運んであげてください。」
と、実習の先生らしき女の先生に声を掛けられていた。
「はーい」
と元気よく、10人の看護実習生たちは返事をして、まるで練習でもしてあったかのように、手際よくストレッチャーの周りを取り囲んだ。まるで、TVジョッキーという番組で、女の子が布で出来たカーテンの中で生着替えをする場面を想像させた。その時のボクは、ストレッチャーの上に検査着の前をはだけた状態で、下半身もあらわなままだったのだ。

自分が、どのような状態に於かれているかを瞬時に理解する事が出来ず、只、感覚として寒さを感じているだけだった。
検査室は、ひんやりとしていて少し寒かった。その中で3時間あまりいたのだから、身体は冷え切っていて、ホントに寒かったのだ。

「あの、、、ちょっと寒いんですけど・・・」
と気弱に声を発する。ボクの声は何かに吸い取られ消えていった。
「あの、、、ちょっと寒いんで何かかけてもら・・・・」
また、声は吸い取られていった。
視界がハッキリしてきた目で、ボクの周りに群がる顔を眺めた。そこには、女の子達のにこやかな笑顔があった。そして、輝いている20の瞳が。

そして、不思議なことに20もの目が有るのにも関わらず。どの一つとも目が合わない事に気が付いたのだ。どうしてだ、みんなそんな顔をして何を。。。
その時やっと、自分の於かれている状況を全て把握した。こいつらは、ボクの股間を見ている。それもみんなそろって目を輝かせて見ている!
「やめてくれーーー、だから寒いって言ってるじゃないか!早く何か着せてくれよ~~~~~。」
そう、叫びたかった。
それに、見られて嫌な理由が、それも大きな理由があった。寒いところに長時間さらされたボクのちんちんは、小さく縮み上がっていたからだ。もともと平常時は大きくないのに、それが、今までにないほど小さくなっている状態なのだ。

なぜだ~~~~、昨日からの辱めは、
このためのプロローグ
だったのか~~~~。
やめてくれ~~~、
見ないでくれ~~~
なんでも言うこと聞くから、
お願いだ~~~

そんな気持ちとは裏腹に、10人の看護見習い生に囲まれたストレッチャーは、病院の廊下を抜けエレベーターに乗り、病室へと向かっていった。この光景自体は、何の変哲もない病院の出来事、いや出来事と言うほど大げさな事ですらない。
だけど、女の子というカーテンの内側で何が起こっているか

誰か~~~誰か気づいてくれ~~~~~~~~

そして、病室の扉の前まで来たとき、まるで台本にそう書いてあったかのように、何本かの手がそっと伸びできて、検査着を着せてくれたのだった。そして何事もなかったかのように、自分のベッドに移され、シーツを掛けられた。

6人部屋なのに、まるで広い個室のように感じた。女の子たちが、出て行ったことさえ気づかなかった。しばらく、寝かされたまま、ぼーと天井を見つめ、頭の中が真っ白になったままだった。

しばらくして、その時の女の子の一人が、病室に入ってきて、すごくさわやかでにこやかな顔で、
「17なんやって、わたしらといっしょやね」
と、言った。その笑顔がものすごく可愛かった。
「うん」
それだけ言って、さわやかに帰っていった。

何故彼女は、そんなことをわざわざ言いに来たのだろう。今だに、そのことが不思議でならない。
そして、何故彼女だったのだろう。その彼女は一番可愛かったのだ。その顔とその表情は今でも鮮明に覚えている。

一番可愛かったその子が、言いに来たことの意味することが何なのかは判らないが、それがもう一つの人生の始まりだったような気がする。
そしてそれはそんなに悪くない人生の始まりだった。

おまけはこちら→ もう一つの人生ー始まり(4)





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Last updated  May 28, 2015 01:31:17 AM
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