|
カテゴリ:冒険少年の憂鬱
バイク事故を起こしてから、バイクの虜になり大学時代はバイクに乗って、全国行脚の旅にでるぞ!と息巻いていた頃のお話しです。
東京の大学に行った友人を訪ねて、バイクで東京まで行ったときのこと。ひとり夕食を食べたいた食堂で、サザンの歌が流れていた。店主が好きなのか、ずっとサザンの曲だった。 「そうだ、湘南へ行こう!」 唐突に単純に安直なる発想なのだけど、前日も前々日も朝のテレビのニュースに出てきた所に出掛けて行ったりしてるので、別に何処でも良かったのだけど、それはやっぱり、動機と言うかキッカケが欲しいやんね。と言うことで、湘南へとバイクを走らせた。 そうそう、一応地図を見ておかなきゃ、と街灯の下に止まり、行き先の道をチェック。そこからは、ほぼ一本道だった。 これなら簡単だ、とばかりに、詳しく調べもせず地図をバッグにしまった。 夜と言うこともあり、快適な小ツーリングは直ぐに終点「湘南の海」に到着。やはり思いつきで来た夜の海は、真っ暗で、しばらく眺めていたけど、やっぱり真っ暗だった。(>_<) しばらくバイクを走らせて、海の見えるコーヒーショップ(当然夜中は閉まってる)の側で缶コーヒーでもと思った、が、自販機は殆ど売り切れで、仕方なくウーロン茶を買って飲んだ。 そろそろ、0時も過ぎる頃なので、帰る事にして、バイクにまたがる。しかし、かせっかく来たのに、と思い、おしゃれなホテルが立ち並ぶ当たりまで行き、ちょっと一服と決め込んだ。 夜のプールで泳ぐ女性らしき姿、ついつい半時間ばかりぼんやり、いや、興味津々で見つめていた。(^^ゞ(笑) その女性も上がって行ったので、そそろそ帰るか、、、。バイクにまたがり走り出した。帰りも一本道だし地図も見る必要もないと思い、ただただバイクを走らせた。 潮風の匂いもしなくなった頃、それは起こった。 赤信号で止まっていると、後ろの方から、なにやらうるさい音が近づいてくる。直ぐ理解した、暴走族の軍団だった。 青信号になり、走り出したときは、300m程後ろに近づいていた。 うっとうしいなと思いながらも、まだそれほど気には留めていなかった。どうせだらだら走ってるんだから、追いつかれることも無いだろうし、こっちの方が速く走れる自信はあったからだ。 し、しかし、次の信号もまた赤になり止まった。 その時は、薄ら寒い風でも吹いてきたんじゃないかと思うくらい、嫌な感じがした。このままだと追いつかれる、そう思いながら待つ赤信号は、いつもの何十倍も長く感じた。もうすでに真後ろまで近づいている。早く青になれっと念じたその瞬間、青に変わった、アクセルと回した、と同時に2,3台のバイクが腋を通り抜けていった。囲まれた。 ヘルメットをかぶっているのとバイクの音で良くは聞こえなかったが、何やら奇声をあげているようだ。次の瞬間、ビックリするような振動を感じた。その時は何が起こったのかわからなかったが、落ち着いて斜め後ろを振り向くと、ださい改造バイクの後ろに乗った男が口をとんがらかして、足で蹴りつけようとしていた。 とっさに、アクセルを全開にして切り抜けた。しかし、それは単なる「いたちごっこ」の始まりだった。蹴られそうになるとかわし、かわすと、また蹴ろうとする。 嫌な予感がして反対側を見ると、バットを振り回している奴の姿が目に入った。「危ない!」うまくかわせたが、今度は反対側のバイクに当たりそうになり、蹴り返された。しかし、もう反対側のバットにやられるのはイヤだ。 とっさに蹴りつけてくるバイクを蹴り返した。 その瞬間、右側にいたバイクが大きな音を立てて消えた。 「やばい!」 軍団が止まった。 アクセルを全開に回した。今の間に逃げ切らないと、絶対ヤバイ。 翼を付けたら飛び立つんじゃないかと思うくらい飛ばした! 「行け!走れ!もっと速く!」叫びながら走った。 その時、地響きのような嫌な轟きが、遙か後方から聞こえた。 「来た!」 これだけ離してたら大丈夫だと思ったのだけれど、やはり気は動転していたのだろうか。。。。 急ブレーキを掛けた。そこに交番があったからだ。 「助けを、、、」と思ったのだが、そこにいたお巡りさんは、気が付くと怪訝な顔つきで、そそくさと奥の部屋に入っていってしまった。一度閉めたドアが、もう一度かすかに揺るのが見えた。 「ちくしょー、カギかけたな」 振り返ると、闇の中に輝く軍団が、まるでナウシカのオームのように、直ぐ近くまで押し寄せて来ていた。 つづく、、、、、 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[冒険少年の憂鬱] カテゴリの最新記事
|
|