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テーマ:旅のあれこれ(10281)
カテゴリ:旅の中の日常
ニューヨークでの交通手段はタクシーと地下鉄だ。夜の地下鉄は危ない感じが否めないので、夜中の移動は殆どタクシーを使う。所謂イエローキャブだ。イエローキャブの運転手は、外国人が多い。もちろん地元の人もいるにいるのだが、どうも日本人の目から見ると外国人の方が見た目で目立つ分、そう思うのかも知れない。
ひとしきり遊んで、夜のバッテリーパーク(自由の女神が見える公園)から、ホテルに帰るためにイエローキャブを止めた。 乗り込んで宿泊しているホテルのある通り名を告げる。 「ところで、あんたら音楽はすきか?」 車を発進させるとすぐに、運転手はそう聞いてきた。 「音楽、好きですよ」 そう言うと、大音量でロックがなり出した」 「どんな音楽が好きなんだ」 「ロックやジャズ、などなど」 「そうか、最高だな、ラップはどう思う?」 キツイ口調でそう聞いてきた。 「オレは、あんなもんは認めん」 「そうなんですか?」 「ありゃ、音楽とちがう」 「第一、下品だ、なぁ、そうだろ」 一概にはそうとは言い切れないと思ったけれど そんな微妙なやり取りを英語でするのは大変だ。 「・・・そうですね。」 「だろう、やっぱり音楽はこうでなくちゃな」 そういって、またボリュームを上げた。 リヤーウィンドウの下には、家庭用のステレオスピーカーが 取り付けられており、車内に音が充満した。 車で20分ぐらいの移動だったので、4,5曲は聴かされたと思う。 運転手は上機嫌で、代金も端数は切り下げておまけしてくれた。 「ニューヨーク、音楽は最高だよ」 次に乗ったのは、ターバンを巻いたインド人のイエローキャブだった。流ちょうな英語を喋るのだけど、道が分からないという。 「1週間まえにここに来たんですよ、この仕事は昨日からなので、道を教えて貰えますか?」 タクシーに乗っているのに、道案内をしなきゃいけないなんて。 行き先をハッキリ言えなかったので、一旦車を停めてもらい、地図で確認しなければならなかった。 そして、料金の端数はまたもや、まけてもらった。 普通ならチップを上げなきゃならない方なのに、なぜかいつもまけてもらっているのが不思議だ。 次に乗ったイエローキャブは、アメリカ人の運転手だった。 街角のソニーの看板をみて、 「ソニーはいい会社だ。アメリカの誇りだ」 「でも、ソニーは日本の会社ですよ」 「そんなことないだろう!そんなはずはない・・・じゃ、あれはどうだ、いい会社だ」 「東芝ですか?」 「そうだ、アメリカの誇りだ」 「あれも日本の会社ですよ」 運転手は、意地になってきたみたいだった。 「じゃ、あれはどうだ、あの会社は誰がなんと言おうとアメリカの誇りだ。」 看板をみたら「HITACH」と書いてあった。 「すみません、残念ながらあれも日本の会社です」 料金を払ったら、当たり前だと言わんばかりに、つりはくれなかった。 この曖昧な認識には、面食らった。 しかし、アメリカ人にそう思わせるような何かが有るのだろう。 ユダヤ商法が世界にはびこるのとは、別のやり方で、周到に世界の消費社会に浸透していった日本の会社のやりかたをかいま見た気がした。 ニューヨークのイエローキャブは面白い、運転手は気取らず陽気で、会話してみると親近感が持てる。そしてあらゆる人種、あらゆる状況の人がいるのだ。ニューヨークの旅の楽しみのひとつとなった。ただしみんながみんなそう言う運転手じゃないということも忘れないで欲しい。(^_^) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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