着いたのは、海辺の漁師町だった。街に入ったとたん漁協のサイレンが鳴り、お昼を告げていた。民宿は直ぐに見つかった。
「お疲れだったでしょう、直ぐにお昼の用意をしますので、お部屋でお待ち下さい。すぐにお呼びしますので」
2階の部屋に通された。人数が多いので、娘さんの部屋も使わせて貰うことになった。その家族的な雰囲気に、なんだか身も心も和んでしまった。昨日の夜のことがホントにあったことなのか疑わしくなるようだ。真っ青に晴れ渡った空と紺碧の海が窓の外に広がっていた。
新鮮な海の幸と裏山で取れた山菜が、ボクたちを歓迎してくれた。
そう、その時食べた昼食は、細胞までもリフレッシュしてくれ、カラダもそれを喜んで受け入れた。
昼からは街を歩いて回った。潮の香りのする風をいっぱい吸い込みながら岸壁に座り、太平洋の海の暖かさを感じた。
夜は、みんなで雑魚寝だ。それはまるで修学旅行のようだった。
童心に戻ったようにゲームに興じ、そして語り合った。
ボクは誰よりも遅くまで起きていた。ひどく寝相の悪い女の子やいびきのひどいやつがいたりしたが、それらが波の音をBGMにして、それぞれのソロパートは、延々と続いていた。
次の日は、民宿のご主人の船で海に出た。こんなに奇麗な快晴の空と穏やかな凪の海は初めての経験だった。掛かった魚を船に上げ、沖の無人島に船をつけ、大きな鍋で尾頭付きの魚が入ったみそ汁をみんなで作った。そしてメインは鯛飯。これは民宿の奥さんが作ってくれていたのだ。食べる場所によってその味わいもまた違うと思う。しかし、この食事は最高に美味しかった。
ただ、尾頭付きの魚はちょっと苦手だった。(^^ゞ(笑)
時代と共に仲間も変わり、それぞれを取り囲む状況も変化しているのだけれど、その輝きを共有した事実はしっかりと残っている。
仲間っていいものだ。大事にしなければいけないものがいっぱいあることを、思い出しなが噛みしめている。
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